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ヨネシゲの記憶  作者: 豊田楽太郎
3章 海からの悪夢
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第69話 大混戦の南ヨネフト島

 まるで花びらが宙を舞うが如く。

 マロウータン海賊団の軍勢はヨネシゲ達によって次々と吹き飛ばされ倒されていく。


 海賊達もただやられている訳ではなく、武器を使用して必死に応戦しようとしているが、今のヨネシゲたちを止めるのは彼らでは不可能かもしれない。


 ユータは得意の植物系特殊能力で発生させた大木を転がして海賊達を次々と轢いていく。


 ヨネシゲは拳や脚を物凄い速さで振り回し海賊達に突進していく。傍から見るとただがむしゃらに暴れている様に見えるが、その攻撃は凄まじく海賊達は一発KOと言ったところか。


 ゴリキッドは草の茂み隠れながらピストルで海賊達を狙っていた。彼の放った銃弾は海賊達の急所を確実に狙い撃ち絶命させていく。


 マッチャンとジョーソンも負けてはいない。彼らは今高速で回転している。鋼鉄化させて拳と腕を使用したローリングパンチやローリングラリアットが炸裂していた。


 マッチャン一家四人衆のノア、ジョン、チャールズ、ムラマサも地味ながら鉄パイプや金属バッドで海賊達と応戦していた。


 それでも尚数え切れない程押し寄せてくる海賊の軍勢をマックスが特殊能力を使用した青い白い光線でなぎ倒して行くのであった。


 更にヨネシゲ達を援護するように、ナミエや漁師たちが銛で海賊達を突き刺していく。それはまるで魚を狩るように手慣れた様子だった。


 南ヨネフト島のすぐ側の海上で巨大な爆発音と共に巨大な水飛沫が所々に上がる。そして海上を漁師たちと海賊たちが飛び魚の様に跳ね回っていた。海中でもイソマル率いる漁師軍とカワシン率いる海賊軍の熱い戦いが繰り広げられている様子だ。


「どうした?お前らの力はその程度か!?」


 ヨネシゲが海賊たちを挑発するかのように言葉を発する。それを聞いた海賊達は激怒するも、最早彼らの力ではヨネシゲに勝つことはできなそうだ。


 悔しそうな表情を見せる海賊達をドヤ顔をしながらヨネシゲは見下していた。


「ヨネさん!!挑発なんかしてどうするつもりですか!?」


「ドンマイ!!ついやってしまった。」


 調子に乗るヨネシゲをユータが注意するが、彼はあまり反省してなさそうだ。






 恐らく数千人は居たであろう海賊達の殆どがその場に倒れて戦闘不能となっていた。それでもまだ数百人程の海賊達が残っていた。


 幹部クラスと思われる海賊達が炎や雷などの特殊能力を使用してヨネシゲ達に攻撃を浴びせようとするも、それをヨネシゲ達は跳ね返したり無効化していく。


「つ、強い……!」


 ヨネシゲ達の強さを目の当たりにした海賊達は後退りしていく。その様子をヨネシゲは腕を組み王立ちしながら眺めていた。


「勝負ありかな?」


 ヨネシゲはニヤリと笑いながらそう言う。


 しかし事態が一変する。

 それはある一人男の登場によってだ。


「そこまでだぁっ!!」


「マロウータン!!」


「ウッホッハッハッハッ!!派手にやってくれたな!だが、この男の命が惜しかったら、その辺にしておくんだな。」


 突如姿を現したのはマロウータン海賊団の頭領であるマロウータンだった。そしてマロウータンの左腕には血だらけでぐったりした様子の副領主テツが抱えられていた。


「テツ!テツは無事なのか!?」


「ウッホッホッ……それはお前ら次第だ。まあ、生意気だったんでちょっとばかしお灸を据えてやったがな。」


「き、貴様……」


 悔しそうな表情を見せるヨネシゲにマロウータンは不適な笑みを浮かべる。


「アンタ達……」


「キャ、キャロルだっ!!」


 先程のヨネシゲの地割れに落とされキャロルが早くも這い上がってきて戦線復帰の模様だ。


 形勢逆転となってしまうのか!?


 するとマロウータンはとんでもないことをヨネシゲに持ち掛けようとする。


「おいオヤジ!取引しようではないか。」


「取り引きだと!?」


「そうだ。この男の命……惜しいだろ?」


「当たり前だ!」


「ならばお前の命と引き換えだ。お前の命を差し出せばこの男を助けてやる。だがそれができないのであれば……今すぐここで殺す!」


 なんとマロウータンはテツを解放する条件として、ヨネシゲの命を差し出すよう要求してきた。


 一同困惑した表情を見せる中、ヨネシゲ早々に答えを返そうとする。


 ヨネシゲの決意に満ちた表情を見たユータの顔が青ざめる。


(まさかヨネさん!?ダメだそんの!!ヨネさんが死んでしまったら意味がない!)


 ヨネシゲの事だからきっと自分の命を差し出してテツを救おうとするに違いない。ユータはヨネシゲを止めようとするが、既にヨネシゲは口を開き始めたいた。









「断る!!」


「ウホッ!?」


「お前は馬鹿か!そう簡単に自分の命を差し出せる訳ねぇだろ。本当にお前はバカ野郎だな!もう少しは頭を使え!!」


 予想外の答えにマロウータンは間抜けな顔をして立ち尽くしていた。ユータもヨネシゲの言葉に呆気にとられていた。


 しかしこれが全て作戦だったとはユータは後で気付かされる。


「ウホッ!?」


 一瞬の事であった。

 マロウータンが呆気にとられている一瞬の隙を突いてマックスがテツを奪取する。


「ウホオォォッ!!しまった!!」


 絶叫するマロウータンを横目にヨネシゲがマックスにガッツポーズを送る。それを見たマックスは軽く笑みを見せる。



 ついに人質となっていたテツを取り返したヨネシゲたち。


 人質が居なければもう怖いものはないぞ!



つづく…

豊田楽太郎です。

毎度投稿が遅く申し訳ありません。

物語もいよいよ大詰めとなっております。

できるだけ早めに投稿できるよう努力しますので、次回も宜しくお願い致しますm(__)m

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