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ヨネシゲの記憶  作者: 豊田楽太郎
3章 海からの悪夢
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第67話 上陸

 ついに南ヨネフト島に上陸したユータたち。

 漁船から降りるなりマロウータン海賊団たちの猛攻を受ける。

 海賊戦闘員たちは機関銃をユータたちに向かって撃ってくる。無数の銃弾が上陸したばかりのユータたちを襲う。


 こちらもこの程度の攻撃で屈する訳にはいかない。

 先陣を切ったのは鉄拳のマッチャンと鉄腕ジョーソン。彼らは自慢の鋼鉄化した拳と腕で銃弾を受け止める。それでも銃弾はこの二人をすり抜けユータたちを襲ってくる。


 ユータは自身の植物系特殊能力で分厚く木の盾を召喚する。その盾をいくつか召喚させるとヨネシゲやゴリキッド、マッチャン一家四人衆に分け与えた。

 ユータの召喚させた木の盾は鉄並みの強度を持つ。受けた銃弾を弾き返す。とはいえ木は木である。銃弾を受ける度に盾には凹みができていく。この木の盾が壊れるのも時間の問題だろう。

 

 そうなる前に海賊たちの攻撃を封じ込める必要がある。

 ユータは今度無数の木の矢を召喚させると、一斉に海賊戦闘員に向かって放った。


 ユータの放った木の矢を受けた海賊戦闘員たちからは悲鳴が聞こえてきた。そして次々とその場に倒れていく。中には即死だろうと思われる戦闘員もいた。


 ユータの中に自分の攻撃によって人を殺めてしまったという罪悪感が生まれ始めていた。現実世界では勿論、この空想世界でも人を殺めた事など今までなかったのだから。しかし今は罪悪感に苛まれてる暇などない。殺るか殺られるかの瀬戸際だ。

 ユータは無我夢中で木の矢を解き放った。


 ヨネシゲはユータから貰った木の盾片手に群がっている海賊戦闘員たちに突進していく。ヨネシゲに突進された戦闘員たちは派手に吹き飛ばされる。今のヨネシゲはブレーキを失った暴走機関車のようだ。


 戦闘員たちが混乱し始めるとヨネシゲはその場で旋回を始める。まるで竜巻のように回りながらヨネシゲは周りの戦闘員たちに怒りの拳を浴びせて行く。


 ゴリキッドも拳銃で海賊戦闘員たちと応戦する。ゴリキッドは狙撃の才能があるのか、戦闘員たちの急所を狙い次々と仕留めていく。


「うっひょ~、俺って銃の才能あるのかもな……!」


 自分の腕に酔いしれているゴリキッド。そんな彼に銃口を定めている一人の海賊戦闘員がいた。しかしゴリキッドはそれに気付いていなかった。


 そしてゴリキッドを狙っていた戦闘員は銃の引き金を引いた。その瞬間、辺り一面に銃声が鳴り響くと同時にゴリキッドの体は宙に浮いていた。


 宙に浮いたゴリキッドが背後を確認すると、そこにはマックスの姿があった。この時ゴリキッドはマックスによって首根っこを掴まれていのだ。


「マ、マックスさん!?」


「敵に隙を見せるな。」


 間一髪のところでゴリキッドはマックスに掴まれ空中へ回避したので、銃弾を免れることができたのだ。ゴリキッドはマックスから隙を見せるなと注意を受けた。


 ちょうどその頃、停泊中の複数の海賊船から爆発音が聞こえてきた。その様子をマックスは宙に浮きながら確認していた。


「イソマルたちも始めたみたいだな……」


 海賊船からの爆発音は西ヨネフトの魚雷の異名を持つイソマルと西ヨネフト漁師たちの仕業のようだ。海中に潜った彼らは船底に凄まじい攻撃を与えているみたいだ。次第に海賊船は沈没したり火の手を上げていく。ユータやヨネシゲもその様子を確認していた。


「それにしても船にテツさんが乗っていたらどうするんだ?」


 容赦なしに海賊船に攻撃を浴びせるイソマルたち。その海賊船に人質であるテツが乗っている可能性もあるというのに、イソマルたちはその事を考えているのだろうか?

 疑問に思うユータであったが、この世界の人々に常識が通用しないのは今に始まったことではない。

 こうなったらテツの無事を祈るまでだ。







 海中に潜っているイソマルは正しく魚雷の如く、物凄い勢いで海賊船の船底に体当たりしていた。正直人間とは思えない動きだ。

 そのイソマルと共に潜っていた漁師たちも一緒になって船底に体当たりをお見舞いしていた。


「ヨッシャー!次行くぞっ!!」


 イソマルはそう言うと隣の海賊船へ攻撃を開始しようとした。


 その時、イソマルに体当たりする一人の男が現れる。


「お前は……海蛇だな。」


「俺の事を知ってるとは光栄だぜ。西ヨネフトの魚雷!!」


 イソマルの前に現れたのはマロウータン海賊団幹部のカワシンであった。


「アンタにはここで死んでもらう……!」


 カワシンはそう言うとニヤリと笑みを浮かべた。








 地上のユータたちの前にも厄介な敵が姿を現していた。


「思った以上に来るのが早かったじゃないの!」


 ユータたちの前に姿を現したのは、マロウータン海賊団最高幹部のキャロルであった。彼女は挨拶代わりに鎌鼬(かまいたち)を発生させると、ユータたちの持っていた木の盾は一瞬で切り裂かれてしまった。


「今からアンタたちをその盾のように切り裂いてやるわよ!!」


 そう言うとキャロルは無数の鎌鼬を発生させるとユータたちに襲いかかるのであった。


「かかって来いやっ!!」


 ヨネシゲはそう言いながら鬼の形相でキャロルを睨み付けると、渾身の力で地面を殴るのであった。



次回、領主VS最高幹部


つづく…

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