表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヨネシゲの記憶  作者: 豊田楽太郎
3章 海からの悪夢
65/76

第62話 波乗りマロ

ここは西ヨネフトの西側からアライバ峠へと続く“ヨネフト林道”

通称“ヨネの細道”と呼ばれている。

冬季であるこの時期は雪の影響で路面状況が悪くなるため封鎖されている。

そんな林道を大勢の西ヨネフトの村人たちが北アライバへ向けて避難中であった。

そんな村人たちをクラフト三姉妹の三女“リタ”と十数人程のクラフト兵が護衛していた。

敢えてこの道を選んだ理由は、マロウータン海賊の目を逃れるためだ。

残虐非道なマロウータン海賊団なら村人たちを皆殺しにするためどこまでも追ってくるはず。

追い付かれたら最後である。

そのためジェツェモンが囮役として海賊たちを南コーケン街道に引き付けた。

その隙に村人たちは人目につきにくいヨネフト林道を経由して海賊に気付かれないよう避難中と言うわけだ。

林道には雪がしっかり残っていて歩きにくい状態だ。

村人たちは歩き慣れない悪路に悪戦苦闘していた。

とはいえ西ヨネフトから林道入口までの道中に雪は残っておらず、スムーズに林道へ身を隠すことができた。

おまけに足跡を残すこともなかったため、海賊が後を追ってくる可能性も低い。

しかし、遠くの方から時折聞こえる海賊たちの雄叫びに村人たちは恐怖で震え上がっていた。


「うわぁっ!海賊たちの声だ!リタ様、オラたち海賊たちに気付かれたんじゃ!?」


「大丈夫!随分遠くから聞こえてきた雄叫びだし、気付かれていないわ。もし海賊が現れたら、私が抹殺するから安心なさい!」


「流石リタ様!逞しいですな!」


(とはいえ…奴らもこの20年で驚く程成長している。油断ならない連中だわ。予想外の所から現れてもおかしくない…急がねばっ!)


リタは恐怖する村人たちを落ち着かせながら、海賊たちの突然の奇襲に備えて周囲の警戒に当たっていた。







ここは西ヨネフト南側の海上。

そこでヨネシゲたちが乗るイソマルの漁船は巨大な波に襲われようとしていた。


その大きな波の上に見える人影…

人影の正体はマロウータン海賊団頭領の“マロウータン”だった。


まるでマロウータンに操られてるかのように動く巨大な波は漁船との距離を瞬く間に縮めていく。


「やばい!このままじゃ飲み込まれる!」


ユータは突如現れた巨大な波とマロウータンに焦っていた。

そんな時は頼れる男たちの出番だ!

ユータは背後に居たマックスやイソマルに視線を送る。


「あの波…奴が操ってるんだろう…」


「その様だ。なら俺が…!」


巨大な波を操ってるのは恐らくマロウータンであろう。

マックスがそう推測しているとイソマルが海に飛び込もうとする。

歩く魚雷であるイソマルは海中からマロウータンを攻撃するつもりだ。

するとイソマルに待ったがかかる。


「待ちな、父ちゃん!その服誰が洗うんだい?」


「か、母ちゃん!」


海に飛び込むイソマルを制止したのは、彼の妻ナミエだった。


「ここは私に任せな!」


そう言うとナミエは銛を持って海に潜り込んだ。


「結局海に飛び込むんじゃ俺が行っても同じだろう…」


海に飛び込むつもる気満々だったイソマルは不貞腐れながらそう言った。


ユータが海に潜り込んだナミエの様子を見守っていると、突然驚きの行動をとる男が居た。


「ヨッシャー!俺も行ってやる!」


ヨネシゲだ!

彼はそう言うと海に飛び込んだ!


「ヨネさんっ!!」


突然のヨネシゲの行動にユータは驚く。


「おい、あのオヤジ大丈夫なのか!?」


ゴリキッドもヨネシゲの突然の行動に驚いた様子だ。


そうこうしている間にも巨大な波が漁船に迫っている。


「ウッホッハッハッハッ!海の藻屑となって消えるがよい!」


巨大な波に乗ったマロウータンは不気味な笑みを浮かべていた。

マロウータンが腕を振り上げると巨大な波は更に高さを増していく。

どうやらマロウータンが波を操ってるのは間違えなさそうだ。


「チェックメイトだ…!」


マロウータンがそう言って腕を振り下ろすと高さを増した巨大な波が漁船を飲み込もうとする。

まるで高層ビルがこちらに向かって倒れ掛かってくるかのような光景だ。


「飲み込まれる!!」


ユータとゴリキッドは思わず声を上げた。

その時である。

突如、マロウータンの足元からナミエが姿を現す。

ナミエは持っていた銛でマロウータンを仕留めようとするが間一髪のところでそれを回避した。


「喰らえっ!」


「…ちっ!」


マロウータンは右手から水を纏った衝撃波のようなものを繰り出すと、その攻撃を受けたナミエは海面に叩き付けられ姿を消した。


「ナミエさん!」


ユータは心配そうにナミエの名を呼ぶ。

しかし、夫であるイソマルはあまり心配してない様子だ。


「大丈夫さ!俺の女房はあの位じゃ死にはしねぇ」


確かに、クラフト三姉妹と肩を並べる存在なら大した心配はいらないかもしれないが…


ナミエの奇襲を受けて止まっていた波が再び動き始める。


「下らない真似をしやがって…!」


怒りの表情を見せているマロウータンだが、再びある人物から奇襲を受けることとなる。


「お前は許さねぇっ!」


「!!」


今度、マロウータンの背後に現れたのはヨネシゲであった!

彼はナミエ奇襲の隙をついて、泳いでマロウータンの背後へ移動していたのだった。


そして…


「ウホォォォッ!!」


ヨネシゲの固い拳が顔面にめり込んでいた!

殴られたマロウータンは並みの頂上から落下するようにして海面に叩き付けれた。


「お前は絶対に許さない…!」


ヨネシゲは落下したマロウータンを波の頂上から見下ろしていた。


ヨネシゲ、怒りの拳炸裂!



つづく…

豊田楽太郎

投稿遅くなってしまい申し訳ありません。

今後しばらくの間この様に投稿が遅くなると思いますのでご承知おきください。

お待たせしますが、次回も宜しくお願い致しますm(__)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ