七十七話 番犬、人に出会う
今野「お久しぶりです! ここに何を書けばいいのかも忘れました! ただ、書いていて久しぶりに楽しかったので、どうぞ!」
……一通り海でできる遊びを満喫してしまった。
いや、まあ楽しくはあったがな? ルーケルとダイアも最後の方はきゃっきゃしてたけどな? あと俺達も。
……なんのためにここに来たんだっけか。
夕焼けを眺めながら、ふと黄昏れる。
『というか、ルーケルとダイア。お前たちこそなぜここにいたんだ』
「遊びたかったからよ」
未来人は少し正直すぎるな。
俺は呆れてふんと鼻を鳴らす。
「と、いいながら別の目的があるんだろう?」
その俺の隣から、にやりと見透かしたような口調で話す魔王。
それに、二人は顔を見合わせた。
「……まあな」
「緊急じゃないんだけれどね」
本当は言わないつもりだったらしい。適当に言葉を濁して、それ以上は話さないと立ち上がる。
「ま、何かあったら頼ってくれよな。こう見えて、俺はこの国の王なんだ」
『……と、ちゃんと働いているのかもわからん王が言っているが』
「ちょっと?」
『こう見えて腕は確かだ。……あんな話を聞いたからな。頼ってやってくれ』
珍しく褒められて狼狽える魔王を無視して、じっとダイアとルーケルを見つめる。
「……わかっている。だが、俺たちにしかできないこともあるのでな」
「そーゆーことよ。まっ、時々こうして遊んでくれるのは嬉しいけどね」
「身バレの危険があるからそれは避けたいな」
「いいじゃない。どうせバレるんだし」
「今バレても困るだけだ……」
楽しそうに二人が話す。なんとなくだが、こんな雰囲気をどこかで感じたことがあるような気がした。
正直、こいつらの正体は気になる。だが、相手から干渉するのを待つのがマナーだろう。
『わかった。だが、いつかは教えてくれよ? 今この世界にいる誰かなら、たぶん、出会うかもしれない』
「かもしれない、な。まあ頑張って探すといい」
ふむ。そう言われると探したかなるのがオスの性。こいつらの匂いでも覚えておくか。
「それじゃ、あたしたちはこの辺でおいとまさせなもらうわ」
「なんだ、帰るとこがあるのか?」
親父が素で驚く。
「まあな。仮拠点、というような感じだが、ロマンのある家はあるぞ」
「ほう……ロマンと聞くと見てみたくなる。なぁ、ケル?」
『俺に聞くな』
確かに見てみたくはなるけれども。先に親父に言われたから素直に行こうとは言いにくいじゃないか。
……こっそり教えてもらうか。
『なあ、ルーケル。こっそり教えてくれよ』
「個人的にテレパシーを送ってまで知りたいのか……」
おい。それをお前が口に出したら、しっかり親父にも聞かれてしまうではないか。
「なぬっ?! ずるいぞ、ケル!」
『くっ。ほんとはちょっと見てみたかったけど堂々と言うのは恥ずかしかったからテレパシー送ったのに……』
「長文で返せるぐらいには楽しんでるのな、このやりとり」
ご明察。いや、図星だからそんなこっちを見ないでくれ。
「ま、あたしにはあれの良さなんてさっぱりだけど」
「そういう割には夜空が見えて良いわって言ってたじゃないか」
「……あれは卑怯よ」
くっくと楽しそうにルーケルが笑う。言い当てられたダイアがそっぽを向くが、やはり楽しそうだ。
「それじゃ、ほんとにこの辺で」
「じゃあねっ!」
「ああ、また会おう、未来人よ」
『またな』
親父が手を振り、俺も尻尾を振って見送る。二人はあっという間に夜の森林の中に消えていってしまった。
「あらぁ? あの二人はぁ?」
「まさかっ! もう行っちゃったの?!」
それからワンテンポ遅れて、二人の声が聞こえた。
アクアとマリンが、てってと駆けて来る。
『ああ。今行ったな』
「あらぁ、ほんとぉ……」
「見せたいものがあったのになー」
真底残念そうな表情で、二人はため息を吐く。
『にしても、何をしてたんだ?』
「気になるわよねぇ?」
「きーにーなーるーよーねー?」
……なんかうざったいな。いや、気になるが、気になるがそう言われると気にならん。やっぱり気になる。
「それで、どうなんだ?」
「ふふっ。これを見なさい!」
マリンが、ばっと手を掲げると、背後の海から水しぶきが上がった。
「捕まえちゃったんだ〜♪」
「捕まえちゃったのよぉ〜♪」
なにを……と言いかけてやめた。
それは、すこし驚いてしまうものだったから。
「……まじか」
それは親父も同じらしい。目付きが鋭くーー魔王の目付きに変わる。
「そう、マジよ!」
「えへへー、五十年ぶりっ!」
水しぶきの中から飛び出た大きな雫。それはあのルーケルたちが入っていたのと同じ大きな水の牢獄。
「「人間よ!」」
その中に、二人の人間の男が入っていた。
今野「最後までお読み頂きありがとうございます! いかがでしたか? またぼちぼちあげていこうと思います! 受験生の身で忙しくはありますが、これを書くのが楽しみになってきました! どうしよう! 次回もよろしくお願いします!」




