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六十二話 大森林

マトイ「今回は俺だな。よかったら最後まで見ていってくれ」

「さあ、手順はいいかい?」


 大森林にやってきてから一日。パリスがソファでくつろぐ俺たちに向けて言う。


「今日は調査一回目だ。とりあえず、最初は空を飛べる人たちで上からの情報収集だ。おそらく、木々のせいで全然見えないだろうけどね。しないよりはましさ」


 空を飛べる人たち、か。

 ちなみに俺は今人の状態だ。なぜかというと、こっちの方がごちゃごちゃしている森の中でも身動きが取りやすいし、的も小さくなるからな。


「だから、空中捜査班は僕とウィンとアイーダでいいね」

「うん」

「わかったわ」


 女子班が頼もしげに応える。

 というか、空中捜査班……なんかかっこいいな。いや、今はどうでもいいんだが。

 だが、となると俺たち男子班は何もすることがないな。それを察してか、パリスが俺らの方を見て言う。


「もちろん、マトイとケルベロスにも仕事はしてもらうよ?」

「だよな」

「なぁ……」


 渋々と言った表情のマトイと目が合う。


「なんだ、お前そんなに嫌か」

「なんかぽっくり逝きそうで怖え」

「そりゃ違いねえけどな」


 凶王の領地。どんなことがあってもおかしくはない。

 ……まあ、作風的にそんな大惨事にはならんだろうけどな。ん? 作風ってなんだ?


「君たちには、地上で魔物の生態を調査してほしい」

「生態?」

「ああ。どんな種類がいるのか。どんな攻撃をしてくるのか。攻撃、防御力はどのぐらいか。群れで行動するのか単体で行動するのか……みたいなことをね」


 おお。何気盛りだくさんだな。

 ……いや、結構重要な役割じゃないか? これからの行動にも関わってくるわけだし……。


「じゃ、あたしからちょっとしたサポートだけしとくわね」


 そう言って、悩んでいる俺たちの元へアイーダがやってくる。そして、俺とマトイの手を握る。すると、その手が淡く輝きだす。

 ……一瞬握られてドキッとしたのは内緒だ。


「何をしたんだ?」


 何か魔法を掛けられた気はするが、特に体には異常や変化が見られない。それが気になって俺はアイーダに尋ねる。


「何って、一応毒攻撃があったときのために、あんたたちに毒属性付けといてあげたわ。これであんまり影響はなくなるはずよ。ついでに、この大森林に魔力吸われないようにもしておいたわ」


 そ、そんなことまでできるのか……。


「属性を変えるとか、どんな能力だよ……」


 と、俺の隣でも驚いた表情のマトイがふと呟く。

 それにアイーダは答える。


「何って、あたしのスキルよ?」

「それがどんなスキルだってんだ……」

「さあ? あたしも忘れちゃったわ」


 忘れていたとしても、その能力は確実にチート級だな。属性を時間制限無しに与えられるとか、絶対にありえないし。

 まあ、とりあえずこれで準備はできたわけだ。


「準備はいいね。じゃ、行こうか」


 パリスの後に続いて、俺たちは家を出た。


 ―― ―― ―― ―― ――

「うへぇ。やっぱ苦手だ」

「何がだ?」

「虫だよ」


 まあ、犬の時と違ってか、なぜか人の時の方が幾分かましだが。いろいろと変化が激しいな。

 今、俺たちはパリスとわかれて地上の方を探索中である。周りを見渡せば、ただただ緑、緑、緑、そして時々――


「やっべえケル! バレットダンゴムシだ! 避けろ!」

「何?!」


 俺はばっと身を翻す。すると、そこをビュンと何かが通り過ぎて行った。

 今通り過ぎたのは、現状一番厄介な魔物、バレットダンゴムシ。小さい癖してとんでもない速さで飛んできて、体に命中するとかなりのダメージが入る。武闘派の俺たちでも当たり所が悪ければ骨が逝ったり貫通しそうだ。


「ここに来て変な雰囲気だな。こんなこと前まで無かったぞ?」

「そうだな! 生きて帰ろうぜ!」


 いや、それバリバリフラグなんだがな。

 まあそんなことを気にしている場合ではない。


「俺の魔力探知(マジックセンサー)も、魔力の無いやつには無意味だからな。めんどくせえ敵だ!」

「頑張って視認するしかねえな。とか言ってるうちに、前、ウォールフオルンだ」

「了解」


 ウォールフオルンについて軽く説明を。ウォールフオルンは、生きた木の壁である。俺たちの何倍も高い木が、俺たちを塞ぎ――


「《強化》《巨大化》」

「おらぁ!」


 ――きるなんて、不可能だった。


「――手が痛ぇ!」

「マトイは素手だしな」

「お前は強化があってうらやましいな!」


 ウォールフオルンの残骸の降り注ぐ間を通り過ぎ、俺たちはそんな会話をする。

 というか、あれ何気強度もあるのに素手で壊せるマトイが怖いな。――昔はこれよりも力があったわけだ。


「さあ、なかなか奥に来たし、一回戻るか?」

「だな。別の方角にでも――」


 チクッ。


 俺の右腕に、何かが刺さる感覚。それを見ると……。


「――ちっ。刺された」

「オーケイ。飛んできた方向的に――そこだ!」


 マトイがビュンと石を投げる。それは、とてつもないスピードを出し――木に潜む巨大な毒蜂を貫いた。


「ナイスショット」

「だろ?」


 調子にのってやがるな。

 俺は刺さった針を抜く。返しがついてなくて助かった。それでは抜くのも一苦労だしな。

 それにしても、アイーダにかけてもらった毒属性はよく仕事をしている。今の毒、完全にアウトなやつだったからな。


「ようし。帰るか!」

「だな」


 俺たちは一度あの家へと帰ることにした。 

マトイ「最後まで読んでくれてありがとよ。どうだったか? 今回は、みんな暴れるって感じだな。この酒風にあってないぞまったく・・・・・・。ああ。よかったら、評価やブクマも、よろしく頼むな」

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