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五十話 番犬。灼熱の永炎に降り立つ

ケルベロス「よう。俺だ。なんでこんな暑いところに行かねばならんのか・・・・・・。ああ。よかったら見ていってくれ」

『あっっっつい!』


 俺は光が晴れた瞬間にそう叫ぶ。

 零雪原のときとは真逆だ。ただただ暑い。これは毛を切ってもらって正解だった。こんな中あの長い毛があったら即ダウン確定だ。


「そうっすか? 別に暑くはないっすけど」

『なんでおまえら幹部どもは揃ってそう言えるんだ』

「属性値が高いからじゃないっすか?」


 こいつ。最近発見された単語をなんなく使いこなしやがって・・・・・・。

 最近、パリスとアイーダの手によって、属性値の研究が行われた結果、その要素が発見されたらしい。あいつらほんとよくやるな。


『まあ、もう触れない。お前らがバケモンってことはわかったからな』

「幹部以上に化け物以外は存在しないっすよ? それに、ケルベロスさんも結構強いっすよ」

『そうか?』


 というか、俺は戦った経験も少ないから、自分の実力というものがよくわからん。平和が一番だから戦いたくないし。

 ま、帰ったら属性値ぐらい調べてもらうか。


「じゃ、まあ一回俺っちの家に行くっすかね」

『そうだな。というか、他に部下はいるのか?』


 俺は、ところどころ溶岩の吹き出る地面を歩きながらそう尋ねる。すると、グレンが笑って答える。


「いるわけないっすよ。こんな灼熱地獄に来るなんていう物好きなんて、魔界中のどこにもいないみたいっす」


 まあ、そうだろうな。俺もこんなところで暮らしたくはない。もって三日・・・・・・いや、二日も危うい。


『寂しくないのか?』

「そりゃ寂しくないわけないっすよ!」


 力強くそう言い切り、「でも」とグレンは続ける。


「でも、今はファイアがいるっすから。別にどうってことはないっすね。一人いるだけで大分変わるっすよ」

『ま、そうだろうな』


 孤独というものは恐ろしい。自分のことを理解してくれる生物が存在しないのだから。

 まあ、それを好むやつもいるがな。・・・・・・パリスとか、家に誰かを招き入れる気すらない。

 と、俺のすぐそばの地面が震える。


『?!』

「危ないっす!」


 地面を突き破って、真っ赤なマグマが噴出する。それを、グレンがーー飲んだ。


「ゴクリ」


 俺はマグマが吹き出したことよりも、そっちの方に驚く。

 ・・・・・・生物は、マグマを食べれるのか・・・・・・?


『んなわけあるか。おい。お前マグマなんて食えるのか?』

「む? あぶぁ、ごべあ」

『あぶねえ! 飲み終わってから喋れ!』


 少し間違えたら、グレンの口から飛んできたマグマが俺にかかるところだった。天然の二次災害とか。ごめんだ。


「ゴクッ。いや、さすがにそれは無理っすよ。俺っちも一応生き物なんで! ・・・・・・まあ、これはファイアの恩恵なんっすよ」


 そうして、また歩き出してグレンが説明してくれる。


「ファイアが何を食べるか知ってるっすか?」

『いや、まったく知らない』


 そもそも、五大凶王が食事を必要とする事実にも驚く。サンドは魔力を食べるとは言っていたが、アイスは何を食べるのだろう?

 などと考えていると、グレンが続きを話す。


「若干パシリなんすけど、あいつ、マグマを食べるんっすよ。なんで、なぜか友達になった証にマグマを体内に貯める能力を貰っちゃって」


 ・・・・・・それは、バケモンだな。

 いや、シクルもそうか。近寄っただけで凍りつくようなアイスに近づけるのと同じなのだろうか?


「ま、てなわけっす」

『・・・・・・まあ、ちょっと理解できたかな』


 なかなか理解しづらいところもあったが、とりあえずこいつが生物をやめたことはわかった。


「みたいな話をしてる間に着いたっすね」


 そう言うグレンの後ろの俺の視界に写ったのはーー大きな洞窟。


「ようこそっす! ここならまだ少し涼しいっすよ」


 ・・・・・・ふむ。涼しい。


『なんか洞窟の中赤くないか?』

「み、見た目に惑わされたらだめっすよ!」


 本当か? なんかごうごうと効果音が聞こえてきそうだが・・・・・・。

 まあ、話も進まないし、覚悟を決めて入ってみるかな。 

ケルベロス「最後まで読んでくれてありがとうよ。どうだった? ・・・・・・洞窟の中の感想は、また次回だな」

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