表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/137

四十八話 番犬。悪魔に捕まえられる

カミラ「こんにちは。こんばんはかしら? 今回は私よ。それにしても、題名の悪魔ってなんのことでしょうね? ふふ。じゃあ、本編よ」

 ふぅ。美味しかった。

 ジミーのパスタに満足した俺は、マトイと別れて自分の小屋への道を歩いていた。ついでになんかさわりに来るやつもいるから、時々足を止めたりはしているが。

 そんなこんなで時間を掛けて小屋の前に着く。

 着いた、が・・・・・・。


『・・・・・・なんか前も感じたな、これ』


 小屋の中に誰かが隠れているというあれだ。

 何ヶ月か前にもあったな。そう、その時は無視すると急に飛び出てきたから・・・・・・。


『まあ今回も無視するか』

「うおおおい息子よ!」


 ほら、やっぱり出てきた。

 出てきたのはいつも通りの親父。


『お前、魔王のくせして仕事ないのか? 母さんをねぎらってやったらどうだ。最近忙しそうだし』

「くっ。返す言葉もない・・・・・・が、残念ながら今回はカミラからの命令なのでな!」


 命令って言っちゃったよ。完全に尻に敷かれてんじゃねえか。天下の魔王様も残念になったものだ・・・・・・。


「おい、その悲しそうな目線をやめろ。単純にきつい・・・・・・」

『ん、ああそうか。わかったよ』


 俺はさげすむ目線を取り下げて、一つため息を吐く。


『で、母さんからということは・・・・・・』

「二ヶ月ぶりぐらいの新任務だ」


 ああ。やりたくない・・・・・・。

 秋ぐらいゆっくりさせてくれよ。睡眠の秋とか言うだろう? だからさ、ほら、ほのぼのと昼寝でもしたいだろう?

 ・・・・・・まあ、そんなことを言っていたら母さんにまた叱られるからな。


『で、内容は』

「聞き分けがいいな。ま、詳しくは城でってことだ」


 とりあえず、俺たちは城へと向かう。

 そして俺は、城に入った瞬間にその任務が何であるかを悟った。

 なぜなら・・・・・・。


「ちっす! ケルベロスと魔王さんこんちはっす!」


 おそらく二章ぐらい先で出てくるはずのグレンがなぜか城にいるからだ。

 しかもその隣には微笑みを絶やさずに無言で立っている母さんが・・・・・・。


『・・・・・・ようグレン』

「あれ?! なんでそんなテンション低いんすか? もっと上げてきましょうよ!」


 グレンが真っ赤な炎の髪をなびかせてそう話す。というかいちいち声がでかい。熱血キャラはこんなもんとアイーダから聞いていたが、本当にその通りだな。

 それにしても、なんで本当にこいつが・・・・・・。二章先じゃなかったのか? なあ作者よ。面倒だしキャラが鬼ノ子狩りで立っちゃったから出したとか、そういうことなのか?


「じゃあ、任務説明をするわ」


 唐突に母さん喋りだすし、これはもうこのまま行けと、そういうことなんだな。

 俺は諦めて任務の内容を聞く。


「この前の鬼ノ子狩りの時に、幹部全員にケルベロスの言っていたことを全て伝えたわ」


 ふむ。あの零雪原であったやつか。

 ・・・・・・おっと、もう何をするのかわかったぞ。


「その時に、みんなに五大凶王について調査してもらったんだけど、グレンくんがその報告に来てくれたのよ」

「俺やっぱ行動的っすからね!」


 行動的が過ぎるな。本当はもっと後だったろうに・・・・・・。

 しかもまた五大凶王関連ときたか。また忙しくなりそうだ。・・・・・・まて、炎のグレンに関係する五大凶王? ってことは・・・・・・。


「だから、あなたには《永炎》に向かって貰うわ」


 ・・・・・・・・・・・・永炎か。


『母さん。一ついいか』

「何かしら?」

『零雪原の時は、毛深くなることで寒さをしのげた。だが・・・・・・』


 寒さなら、重ね着をすれば我慢できる。が、暑さは・・・・・・。


『この毛並みであんな暑いところに行ったら俺死ぬぞ?』

「あら、それについては大丈夫よ?」


 いや、何も大丈夫な要素が見当たらないぞ。だって、どれだけ頑張っても暑さをしのぐことは不可能だろう。それこそ、冷却魔法のついた服でも開発されないかぎり・・・・・・・・・・・・。

 俺はカミラの後ろから現れた二人のメイドを見て絶句する。正確には、そのメイドが手に持っているものだが・・・・・・。


「今から少しさっぱりしてもらうわね♪」

『ちょ、ま、それは嫌だぞ?!』


 俺は自信に強化と透明化を掛けて全速力で城を飛び出す。

 俺のこの美しい毛並みをカットされてたまるか・・・・・・! 自分で言うのもなんだけどな! しかもあの雰囲気、少したりとも残す気配がないじゃないか!

 とりあえず、どこかに逃げ


「あら。母親から逃げようなんて考えるものじゃないわよ?」


 ・・・・・・確かめよう。俺は今《強化》と《透明化》が掛かっている。

 ・・・・・・この人、たかがカットのためになんでちょっと本気を出しているんだよ。


「じゃ、カットしに行きましょう♪」


 母親が悪魔に見えた瞬間であった。 

カミラ「最後まで読んでくれてありがとうございます。どうでしたか? それにしても、「ちょっと本気を出している」なんて言ってるけど、あんなの本気の内に入らないのよ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ