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三十九話 番犬。無事人化

今野「どうも! 今野です! すいません。本日は僕です。最後に報告がありますので、よければ見ていってください!」

「あー。やっちまった」


 木造の天井を仰ぎ見ながら、俺は大の字になって布団の上でそうこぼす。

 今、俺が人になってから一日が経った。

 昨日は初めて俺が人化した時のように、一日中を寝て過ごすはめになってしまった。

 話によれば、今日副作用を中和する薬が届くようだが・・・・・・。


「・・・・・・今度本格的にこの副作用をなくすように言わなきゃな」


 中和の薬を忘れるのはかなり痛いからな。どうにかしてもらうとしよう。

 と、部屋の扉がこんこんとノックされる。


「おーう。ケルベロスさんよ。薬だ」

「おう。ペンか。ありがとな」


 勇ましいスキンヘッドのペンが、薬を持ってやって来た。


「・・・・・・なんだそんなじろじろ見て」

「いや、まじで人になってんなと思ってな」


 まあ、やはりそういう感想を抱くのが普通だろうな。何せ、動物を人に変えるなど、パリス以外にはそんな薬を作るようなやつはいなかった。

 そう考えると、あいつもつくづく不思議なやつだ。


「で? これを飲ませればいいのか?」

「ああ、そうだ」

「じゃ、口開けとけな」


 俺は言われたとおりに口を開き、そこにペンが薬を水とともに流し込む。

 薬が体の中で溶ける感覚を味わい・・・・・・。


「復活! ってな」


 無事自由になった体を動かし、きちんと治っているかを確認する。

 と、そこでもう一つのことに気づくのだ。


「あ、服こっちに置いてあるからな」

「ん、ありがとよ」


 そういえば、人化すると毛皮が無くなるので裸体になるのだった。

 ・・・・・・つまり、シクルの前で倒れた時は・・・・・・。

 まあ、想像しないようにしておこう。倒れてないか心配だが。

 そんなことを考えながら、俺はペンのいなくなった部屋で厚手の服に身を包む。

 毛皮のない今、外での寒さ、体感温度は未知数だ。だから、多めに重ね着をして――


「・・・・・・寒い」


 それでも尚、零雪原というのは寒かった。

 いや、よくこんな寒さの中、シクル隊のみんなは調査をしているものだ・・・・・・。本当に人間か? 俺こんなに厚着してるのに寒いんだぞ?

 穏やかに降る雪の中で体を震わせていると、俺をここに呼んだ主がやってきた。


「ケルベロス殿! もう大丈夫なのか?」


 それは、こんな極寒の中でも手足を露出させたシクル。


「ああ、もう大丈夫だ。というか、お前それ寒くないのか?」

「この前も言ったが、なぜ皆寒がるのかがよくわからないのだが・・・・・・」

「そりゃ病気だ」

「病気?!」


 若干ショックを受けるシクル。

 そのシクルがごほんと咳払いをして話を切り出した。


「今から例の雪山の洞窟の調査に行くんだが・・・・・・ケルベロス殿の力を借りたくてな」

「俺なんもできねえけど」

「いや、中には突然出現した雪山にもかかわらずなぜか魔物が存在していてな。それに加え中も相当な寒さなので、私とともに奥地の調査に行ってほしいのだが・・・・・・」


 ペラペラとなめらかな口調で説明をするシクル。その顔を、いぶかしげな視線で見つめる。


「・・・・・・どうかしたか?」

「いや、えらく今日は喋るじゃないか」

「へっ?! そ、そうか・・・・・・?」


 指摘した途端にもじもじとしだすシクル。

 なんだそれ。さっきまでの堂々とした姿勢はどこに言った。


「ま、別にどうでもいいが。さっさと向かおう」

「あ、ああ。そうだな・・・・・・。そんな変だったかな」


 最後にそう呟いたのに気づかぬまま、俺たちは雪山へと向かった。 

今野「最後までお読みいただきありがとうございます! いかがでしたか? さて、報告です! このたび、この拙作のPVが一万を突破いたしました! 拝読してくださる皆様、ありがとうございます! と、いうことで、六ヶ月ぶりに番犬祭を開催いたします! 日程はまた後ほど。それでは、よければ評価などよろしくお願いします。では!」

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