二十六話 パリスのイタズラ!
パリス「どうやら、今日は僕のようだね。ま、みんな言ってるけど、前書きって何も言うことないんだ。だからこれしか言えないんだけど・・・・・・。本編をよかったら見ていってね」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
な、なんとか間に合った・・・・・・のか?
俺は、犬の時を遥かに凌駕するスピードで森を駆け抜けた。
そして、魔王街の俺の小屋の前に着いた訳だが・・・・・・。
「・・・・・・よくよく考えてみたら、あの魔女はどこにいるんだ?」
そう。着いたはいいが、パリスの場所がわからないのだ。
テレポートとか使えるあいつは、もう着いていてもおかしくないのだが・・・・・・。
先に着いててもらっちゃ困る。すごい困る。
俺は泥まみれの足を眺めながらそう思った。
ちなみに、ここに来るまでにスピードの調整に失敗して、木やら魔物やらに激突したのは秘密だ。
「おっ。もう着いていたのかい?」
犬の時と同じように、小屋の前で街ゆく人々を眺めていると、しばらくしてパリスがやって来た。
「やっと来やがったか」
「これでも本気で嫌がらせしようと、飛ばした方なんだけどね」
魔女が本気で嫌がらせしたら相当だろうから、すごい怖いな。
「・・・・・・なんでそんなボロボロなの?」
「俺って想像以上にすごくなってた」
結構速かったんだ。なんで人の状態の方が速いのか。
「ふーん。肉体強化作用もあったのかな。緑の方に」
まあ、確かにそれはありうるな・・・・・・。
「副作用が怖いね」
・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・ないよな? そんなもん」
「さ、じゃあ、次の検証に行こうか」
流しやがったこの野郎。飲んだ自分が一番怖いわ。
「おーう。パリスじゃねえか」
と、そこに現れたのはマトイ。
「やあ、マトイじゃないか」
「なあ、聞きたいことがあるんだけどよ、ケルベロス知らないか? あいつ朝からいなくてよ」
なんだ、また飯に誘おうと来たのか。
「ああ、ケルベロスならそこにいるよ」
そう言って、パリスが俺の方を指さす。
あ、別にそれは隠さなくていいんだな。
「・・・・・・なんの冗談だ?」
訝しげに俺の顔を覗くマトイ。
いや、まあ確かにそうなるだろうとは思ったけども。
「こんなもふもふでも何でもねぇ、ボロボロの人間があの愛くるしいケルなわけねぇだろ!」
・・・・・・ケルベロスを褒めて俺を貶してる気がする。
まあ、両方俺な訳だが。
というか、俺愛くるしいのか。マトイに言われても気持ち悪い以外の感想が思い浮かばん。
「おい。さんざん言ってくれるじゃないか、マトイ」
「・・・・・・なあ、パリス。実際本当は・・・・・・」
「そこにいるみすぼらしい人間がケルベロスだって言ってるだろう?」
これだけ言っても信用しないのか、俺を観察するマトイ。そのせいでなんかパリスからさらっとダメージ受けたんだが。
・・・・・・こう言えばいいのかな?
「おい。前に、俺の毛を使ったお前の布団の制作を見せろって言ったよな? この姿なら見に行けるから、案内しろよ」
「あー・・・・・・本物だな」
なんでこれで本物だとわかるのか。いや、まあわかるか。
「じゃ、いつ見してくれるんだ?」
「ちょーっと今日は無理かな〜」
「なんで?」
「いや〜・・・・・・ぱ、パリス! これはどういうことなんだ?」
こいつ逃げやがった。
と、マトイの頬を伝う汗が目に入る。
・・・・・・めっちゃ焦ってんじゃねえか。
今度問いただすとしよう。
「ん? この人化のことかい?」
「そうそう。俺のいた世界では想像の中では擬人化っていうのはあったんだけどよ」
「うーん。まあ、君の想像通りだと思うよ? その“擬人化”であってるかな」
「なるほどな・・・・・・」
・・・・・・そんなジロジロ見られると結構照れるな。
「で、こいつはこのあとどうするんだ?」
「薬の完成の報告と一緒に魔王のところに連れていくよ」
「待て、そんなこと聞いてない」
まあ、この姿ならもふもふされる心配はないから、別にいいんだけど・・・・・・。
「どうしたの? なんか不都合でもあったのかい?」
「いや、案外不都合なかった。大丈夫だ」
いつものノリであいつと会うのを避けようとしていた。
「ま、一回どっかで体は洗ってもらうことになるけどね」
・・・・・・まあ、今のこの姿は見せられるようなもんじゃないからな。
「じゃあよ。俺の家寄ってくか? 風呂ぐらいは貸してやれるぞ」
「ほんとかい? だったら助かるな。僕はこっちに家を持ってないからさ」
「ついでに布団工房は」
「それは別の場所だから無理だな」
・・・・・・どさくさに紛れて見ようとしたんだがな。
まあ、いつかは見してもらうとしよう。
「じゃあ、マトイの家に向かっておいてくれないかい?」
そう言いながら、パリスが何やら地面に魔法陣を書き始める。
「ん? なんだ、お前は来ないのか?」
「やだよ。元勇者の家なんて。何をされるかわかったもんじゃない」
「別に俺なんもしないし、元勇者関係なくないか? つーか、俺そんなんに見えるの?」
若干ショックを受ける元勇者。
・・・・・・・・・・・・。
「何もしないよな?」
「なんでケルがそれを聞くんだよ。俺はホモじゃねえぞ・・・・・・」
ホモ? 何だろう。それ。まあ、こんなからかいをしてると俺もそういうやつに見られそうだし、やめておくか。
そんなやりとりをしていると、パリスが魔方陣を書き終わったようだ。
「じゃ、楽しんできてね」
「何を?!」
「おう。布団の製作を見れるとか楽しみだ」
「見せないって言ったよな?!」
楽しそうな笑顔を見せながら、パリスが魔方陣の光の中に消えていく。
「よし。じゃあ、お前の家に向かうとするか」
「はあ・・・・・・いつもは俺がからかう側なのになあ。・・・・・・疲れた・・・・・・」
ため息を吐くマトイと、家に向かった。
パリス「最後まで読んでくれてありがとう。どうだったかい? この人に変える薬。どうやらマトイのいた世界ではみんなが喉から手が出るほど欲しがるって噂なんだけど・・・・・・いるかい? じゃ、また次回もよろしくね」




