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二十二話 番犬。モフモフされる。

今野「どうも! 今野です! え? 今回もお前なのかって? みんな番犬祭で忙しくて・・・・・・。まあ、番犬祭の間は僕になります! ひとまず。番犬祭! スタートです!」

「やっば! 何これ気持ちいい!」

「だろう? それ僕が作った薬で小さくしたんだよ」

「まじかよ! それ俺にも一個くれ!」

「ふふっ。完成したらね」

『お願いだからやめてくれ』

「「それは無理かな」」

 こいつら・・・・・・!

 もういいや。あきらめてモフモフされよう・・・・・・。

「おっ。なんだ。あきらめたのか?」

『もう無理だろ・・・・・・』

「じゃあ遠慮なく」

『やめろー!』

 ああ。屈辱だ・・・・・・。

 女騎士がよく言う『くっ。殺せ!』と叫びたいほどだ。

 くっ! 殺せ!

「さて、僕はその番犬様を持っていろんなところを巡る予定があるから、貰ってもいいかい?」

『おい待て。俺そんな話聞いてないぞ』

「おう。わかった。また今度もお願いするぜ」

「ああ。わかったよ。じゃあね」

 マトイからパリスに俺が受け渡され、マトイがどっかに行く。

 まじかよ。俺これからいろんなところ巡らされるのかよ。お願いだからデイジー一族とは会いませんように・・・・・・。

「あー! たいちょーだー!」

 ・・・・・・その呼び方はあいつらか。

「やあ、子供たち。どうしたんだい?」

「そのわんちゃん・・・・・・たいちょー触りに来たー!」

 声と喋り的にこいつはアランか。パリスに抱きかかえられているから見れない。

「隊長?」

『この前遊んだ時に成り行きでそう呼ばれるようになったんだ』

「へー。ほら。触っていいよ」

 まるで自分のペットを触らせるかのようにパリスが俺をアランの前に差し出す。

 扱い雑じゃないか? そう思いながらアランの方に顔を向けると、カイやサリーの姿もあった。

「わー。たいちょーなんで小っちゃくなってるのー?」

「小っちゃいたいちょーかわいいー!」

「た、隊長・・・・・・」

 反応はさまざまだな。カイはなんか引いてるけど。

『どうした? カイ』

「どうして小っちゃくなってるんですか?」

「僕が作ったお薬の力だね」

「欲しい!」

 目をキラキラさせながらカイがそういう。

 この目・・・・・・。こいつにあげたらダメなパターンのやつだ。

「ふふっ。子供はまた大人になってからね」

「えー。・・・・・・はーい」

 ナイスだパリス。そっちの方が助かる。どんないたずらをするかわかったもんじゃない。

「じゃ、僕はまた行くところがあるんだ。じゃあね」

「うん! バイバーイ!」

 まじか・・・・・・。まだどっかに連れてかれるのか。

『なあ。どこまで回るつもりだ?』

「ふふふ・・・・・・。これはさっきの仕返しも入ってるからね。あと三件ではまず済まないかな」

 いや、さっきの自分で自爆しただけだろ・・・・・・。

 というか、あと三件以上って、俺ほんとにトラウマになりそうなんだが?

「さてと、じゃあ次は・・・・・・」

 そう言ってパリスが城の方を向く。

 おい・・・・・・まさか・・・・・・。

魔王(親父)さんのところだね」

『おい。俺が悪かった。やめてくれ。おい・・・・・・。それだけは! それだけはやめろー!」

 俺のむなしい叫びが遠吠えとして響いた。


 魔王城。魔王の間。

 そこにいるのは、俺と、パリス。そして・・・・・・。

『おい。魔王。そんな気持ち悪い愛おしげな眼で見るんじゃねえ』

「かわいい・・・・・・」

 いい年した爺がかわいいとか呟いてんじゃねえよ。

「パリスよ。今までお前のことをヤンデレぼくっこロリババアと思っていたことを許しておくれ・・・・・・」

「僕今までそんな風に思われてたんですか?!」

 若干ショックを受けているパリス。

 ヤンデレぼくっこロリババア・・・・・・確かに間違ってはいない。まあ、そんなことを言っていしまったらとんでもなことになりそうだから絶対に言わないでおこう。

「パリスよ・・・・・・」

「なんですか? これ以上の告白は受け付けませんよ?」

「いや、普通にその薬をくれ」

『おい。やめろ。一国の主が薬物になんか手を染めるんじゃねえ』

「完成したらですよ?」

「ああ。頼む」

 パリス。お前もほんとやめてくれ・・・・・・。

 これはなんなんだ? 新手のいじめか?

「パパー。あたしの実験施設のことなん・・・・・・だけど・・・・・・」

 ノック無しに扉が開いたかと思えば、入って来たのは白衣姿のアイーダ。

 そして、そのアイーダが口を両手で抑えながらキラキラした目で俺を見てくる。

「か、かわいい・・・・・・」

 なんだ。かわいいものを見たらそういうポーズをとるのか?

 だが、俺はアイーダの姿を見て確信したことがある。

 絶対にあいつのもとの方がいい。

「ち、ちょっと貸してもらえる?」

「ええ、アイーダ嬢。どうぞ。心ゆくまで・・・・・・」

 そう言って俺はアイーダのもとへ渡される。

 よっしゃあ。

 思わずそう思った。

「ああ・・・・・・。気持ちいい・・・・・・。久しぶりのモフモフね・・・・・・」

『それはよかったよ』

 とりあえず。アイーダのところに居ればひとまずは安心・・・・・・。

「じゃ、僕は今から番犬様を使っ・・・・・・番犬様に聞かなきゃいけないことがあるから、一回渡してもらってもいいかな?」

 まじかよ。今絶対俺を”使って”って言おうとしただろ。

 だが、心優しいアイーダならそんなことは

「ええ。頑張ってね」

『待ってくれ』

「え? どうしたの?」

 どうしたのじゃないだろう。どう考えても危ない。

「だって、パリスがその薬を作ってくれれば、このかわいいケルベロスといつでも会えるんでしょう?」

『そうだけど・・・・・・。そうなんだけども・・・・・・!』

「その通りだよ。じゃ、僕らはまだやることがあるから。またねー」

「ええ。頑張ってね」

 ・・・・・・俺そんなに小っちゃくなってる方がかわいいのかなあ。

 いや、そうじゃなくて。連れてかれる。

「えっ。待って、まだ俺触ってない・・・・・・」

「あ、魔王様はまた今度ね。バイバーイ」

『待て! 嫌だ! お前の家とか行きたくない!』

「お、俺の扱いひどくない?」

 一人悲しそうな魔王を置いて、箒に乗ったパリスが外へと飛び出した。

 ああ・・・・・・。地獄の幕開けだよ。 

今野「最後までお読みいただきありがとうございます! いかがでしたか? 実は、こんな朝に投稿するのは初めてなんですよね・・・・・・。まあ、次の投稿は本日十二時! そちらもよかったら見ていってください! では!」

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