二十話 通りすがりの魔女
今野「どーも! 作者の今野です! 今回は、ブックマークが十個超えたって言うことで、番犬祭の予告と感謝を述べにやってきました! 誠にありがとうございます! と、言うことで、第二回。番犬祭を四月の五日に開催しようと思います! と、いうことで本編をどうぞ!」
・・・・・・イカ墨パスタが食べたい。
朝。日課を終えた俺はそんなことを思っていた。
変なこともあるものだ。昨日食べたばかりなのに今日も食べに行きたいだなんて。だが、俺の腹は昨日食べ過ぎたせいで行くのを拒んでいる。
くっ。昨日四回もおかわりするんじゃなかった。
仕方なく俺は寝ることにした。
・・・・・・そうだ。昨日新しく身に着けたあの技を試そう。
俺は寝るのをやめて尻尾の巨大化をする。
何気に楽しかったのだから、三百歳越えとて仕方がない。遊びの誘惑には逆らえないのだ。
・・・・・・おい。かわいいとか言うな。恥ずかしくなってくる。
とりあえず。一度跳ぼうか。
足を強化し、半分ほどの力で上へ飛ぶ。みるみるうちに街が小さくなっていき、俺の隣には雲が並んでいた。
よし、じゃあここで尻尾を広げて回せば・・・・・・。よし完璧だ。やはりというか、空からの眺めとは新鮮でいいな。
ゆっくりと降下しながら、俺は空からの景色を眺める。
あれだけ大きかった魔王の城はもうそこらの草花と同じぐらいにしか見えない。それは街も同じだ。
そうして眺めていると、様々なことに気づく。
あれは《サンド》の《無の砂漠》か。今は砂嵐が舞っていないということは、異常がないのだろう。その反対側にあるのは・・・・・・《リーフ》のテリトリーである《大森林》か、五大凶王とは、名前がシンプルなのに凶悪なのがまた恐ろしいな。あっちには《アイス》の《零雪原》。その反対には《ファイア》の《永炎》か・・・・・・。さすがに《アクア》のところまでは見えないか。
普段は見ることのない景色に、俺は感嘆の吐息を漏らした。
だんだんと地上が近づいてきた。もう魔王の城が随分大きく見える。魔王の城って、上から見ると六角形なんだな。なんてことに気づきながら。
さて、俺の小屋は・・・・・・うん。あるな。そうだ。これからは俺がいなくなった時様に看板を下げておこう。その方がわかりやすいだろうしな。
俺の小屋の前でうろちょろしているマトイの姿を見てそう思った。
「やあ番犬様。こんなところで何をしているんだい?」
突然声をかけられる。空中なのにだ。
・・・・・・心当たりがあるのは一人。
『・・・・・・やはりお前か。《パリス》」
「なんだ。僕の名前覚えてくれたんだ。フフッ。うれしいな」
居たのは魔王の幹部が一人。一人称が僕とか言っているが女だ。闇属性を操る魔女。《パリス》の姿だった。
小柄な体に小さな胸。昔、『そんなんじゃ男が寄ってこないぞ』って言ったら実験台にされたという恐ろしい過去がある。
黒のミニスカートに黄色のトップス。その上に黒く染めた白衣(白衣と言えるかは置いといて)を羽織り、風になびく縦ロールの長い金髪のツインテールを丁寧に掻き上げ、箒に腰掛けてふわふわと浮いている。
『今日はどうしたんだ?』
「今日は新しい薬ができたから、それの実験台を探しに来たんだ」
ぞわぞわっと俺の体に鳥肌が立つ。
実験台・・・・・・それだけは嫌だ!
『じゃ、俺は帰る』
「えー! 待ってよー。もうちょっと話そうよー」
『そう言ってさりげなく俺を実験台にするんだろう?』
「確かに君目当てで来たけどさー!」
こいつ隠す気ないな。よし。このまま帰ろう。
「そう言えば、君はなんで飛んでるの?」
話を変えつつ俺の前に立ちふさがる。
『この前新しく習得したんだ。尻尾の巨大化と強化の応用だ』
「へー! 前会ったときはそんなの覚えてなかったのにすごいねー!」
わざとらしくおだてるパリス。だが、俺はそんな手には乗らない。
もう無視して帰ろう。
「じゃあ、小っちゃくなったらどうなるんだろうねー!」
・・・・・・小っちゃく?
『おい。何の話』
「えいっ!」
白い粉が俺の体に掛けられる。
なんだ・・・・・・これ?!
目の前がぐにゃりと歪む。同時に、激しい不快感。
「あれ?! 副作用なんてないよ?! これ!」
何かを叫んでいるが、俺にはもう聞えない。
ぼんやりと霞む視界の中。俺は思いっきりパリスを睨んだ。
この野郎・・・・・・覚えてやがれ!
俺の意識がそこで途切れた。
今野「最後までお読みいただきありがとうございます! いかがだったでしょうか? 僕っ子ロリ魔女とのお話になります! これは、番犬祭の時にこの編は完結する予定です! 番犬隊の時は中途半端で終わってしまいましたがね。それでは! 次回もよろしくお願いします!」