十九話 デイジー一家は怖すぎる!
魔王「おっ。やっと俺の出番か。・・・・・・何話そう。そうだ! 俺のケルベロス愛を語ってやろう! あれは今から二百年前のこt(本編どうぞ)」
「みんなー! ご飯よー!」
「「「「はーい!」」」」
遊び始めてからだいぶ経った夕方。ご飯の声がかかりようやく俺は子供の波から解放される。
もうやだ。鬼族と遊びたくない。
俺は拗ねていた。
「ほっほ。ありがとねえ。いつもは準備の時にみんなが暴れて全然はかどらないもんだから。また今度来てくれるかい?」
『いや、それは遠慮しておく』
だって、軽くトラウマなのだから。ベルにいじられたときよりも子供に弄ばれる方がたちが悪いんだよ。
『屈辱だ・・・・・・』
思わずそう呟いてしまう。
「おや・・・・・・そんなにかい?」
『そんなにだ』
正直。もう二度とここには来たくない。
ほら、ちらちらこっちを見てくる子供の目線を感じただけで・・・・・・。
ああ、気にしないのが一番。うん。気にしない気にしない。
「あれでもまだ半分ぐらいしかいないんじゃぞ?」
・・・・・・は?
『おい。まじかよ・・・・・・。いったいあんたんとこは何人家族なんだ?』
「ざっと百人くらいかのお」
ひゃ、百人?!
『あ、あの子供だけでか?』
「そうじゃ。大人も併せたら二、三百人くらいかのお」
あ、あのわんぱくな子供が百人・・・・・・それで全体で見れば三百人・・・・・・。
多すぎるだろ。
「ほれ、そろそろ他のみんなも帰ってくるぞ?」
『まじかよ。じゃあ帰るわ』
またもみくちゃにされる予感しかしない。
そして、できれば帰り道でも会いたくない。
「そうか・・・・・・。じゃあ、またマオちゃんによろしくねえ」
『ああ、じゃあな』
俺は足早にその場を去ろうとする。
「あ、そうじゃ。ケルちゃん」
すると、後ろからデイジーに呼ばれる。
「今日はありがとねえ」
『・・・・・・別に、大したことはしてないぞ』
そう言って、その場を去った。
「ただいまー!」
「あら、みんな。お帰り。そこにケルちゃんが・・・・・・」
危ねえええええええ!
デイジーが俺のいた場所を指さすが、そこには俺の姿はない。否。居るが見られていない。
声が聞こえた瞬間。咄嗟に前身の透明化をしたのだ。
ちなみに、全身を透明化すると、うっすらと姿が見えたりはするが・・・・・・。まあ、この夕方の薄暗さだったら見えないだろう。
「ほんとだー!」
「いるー!」
「とーめいー!」
嘘です見られました。逃げます。
なんで子供に見つかるかな。大人はみんな首をかしげているのに。
「老化って怖いわねえ」
「ねー」
そう言う問題なのかよ! ・・・・・・はっ! もうすでに子供たちがすぐそこに。
「つーかまーえ・・・・・・」
『じゃあな!』
「たっ! ・・・・・・あれえ?」
俺は足の強化を行って全力で飛び出す。
あ、危なかった・・・・・・。もし捕まっていたらまたあの屈辱をされるところだった。
と、とりあえず。手近な地面に着地して・・・・・・あっ。
全力で飛び出たはいいが、俺は忘れていた。ここが木々の生い茂る高い山の上であることを。そして、とても急な斜面を昇ってきたことを。
『やっべえええー!』
柄にもなく叫んでしまうのも仕方がない。だって、崖からダイブしているようなもんなんだから。
と、とりあえず落ちる速度を下げないと木に刺さってしまう! ど、どうにかしないと! ・・・・・・一か八かだ!
俺は尻尾を最大まで大きくし、それを広げて速度を落とす作戦・・・・・・ちょっとゆっくりになったかな?
いや、全然だめだわ。このままじゃ串刺しルートまっしぐらだわ。
そ、そうだ! この尻尾を回転させれば・・・・・・!
俺は強化を尻尾の付け根の筋肉を使って、そこの力で大きな尻尾をぐるぐると回す。
すると、ゆったりとした速度まで落とすことができた。
・・・・・・意外と快適だなこれ。アイーダが持ってる《たけとんぼ》なるものを使っているところを思いだせてよかった。
このまま小屋まで戻れるかな。っと、ぶつかるぶつかる。
体を左右に傾けてコントロールをする。
俺は、不格好ながらも、快適な空の旅を楽しんだ。
魔王「・・・・・・ってなわけだ。どうだ? 俺の愛は伝わったか? 何? 本編見てて聞いてなかっただと? 今回のあんな短いやつより俺の話の方が絶対におm(ry」