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十話 いざ! 探検へ!

番犬祭! 開催! セリフが多くて読みにくかったら申し訳ないです。

「あー! 楽しかった!」

『つ、疲れた・・・・・・』


 元気よく伸びをするアレッタに、動き過ぎて疲れている俺。そして、俺の体の上で眠る子供たち。


『無事、仲を戻せてよかったじゃないか』

「そうだな。お前の毛も堪能できたしな」


 アレッタが、よかったとうなずく。


「で、探検はどうするのさ」

『さすがに今日は無理だよな。こいつら寝ちゃったし、もう夕方だし』

「んー。そうだな」


 というか、またこいつらを送ってかなきゃならないのか・・・・・・。しかも寝てるしな・・・・・・。


「ケルベロス」

『なんだ?』

「送ってくの手伝ってあげようか?」

『おう。助かる』


 そう言って、レンを抱っこするアレッタ。


「子供ってさ。大変だけど、こう見るとかわいいよな」

『そうだな』


 最初はあんな風に言っていたのに、今や尊げな眼で子供たちを眺めている。

 そして、それは俺も同じだ。


「さ、日が暮れる前に行こうか」

『ああ』


 そして、俺たちは子供たちを送り届けに行った。


『・・・・・・なあ。アレッタはこいつらの家知ってるのか?』

「ん? あたりまえじゃん。だって近所だもん」

『そ、そうだよな』


 それを聞いて、俺はちょっと安心した。


 ―― ―― ―― ―― ――


 翌日。

 今日は寝坊をせず、いつも通りの時間に遠吠えをする。


「おはようございます!」

『おはよー』

「今日は大丈夫でございますね?」

『おう。今日は大丈夫だ』


 いつも道理兵士たちにモフモフさせる。

 街もいつも道理に機能しているのを見て、俺は複雑な安心を抱いた。


「ありがとうございました。では!」

『行ってらー』


 兵士たちを見送り、今日の予定を思い出す。

 そうだ、小僧たちと遊びに行くのか。

 この辺りなら、危険な魔物もいないし、どっか適当にぶらぶらするとしよう。


「ケルー!」


 独特な名前で呼ばれる。

 ・・・・・・この呼び方は・・・・・・。


「今日も毛を」

『ないぞ』

「えええーーー!」


 来たのは、やけテンションが高いマトイ。

 そんなに「えー」とか言うなし。


「そんな嫌いですか!」

『違う違う。単純にないの』


 そう。昨日の雨のせいで、毛が全部押し流されてしまったのだ。


『というか。まだ二日だろうよ』

「え? ああ、そうでしたっけ?」


 たとえ残っていても、全然溜まってなかったと思う。


『で、なんだ? また飯か?』

「そうっすよ! そろそろかな〜って!」


 そんなに俺と行きたかったのかと言いたいぐらいの嬉しそうな表情。


『お前。俺以外に友達いないのかよ』

「いやー。やっぱ営業先とは仲良くしたいじゃないですか!」


 なんだ営業先って。謎に敬われてるんだが。


『まあ、行きたいんだがな・・・・・・』

「じゃ! 行きましょうよ!」


 だが、断らなければならない。


『悪いな』


 行きたいのもやまやまなのだが・・・・・・。


『先客がいるんだ』


 通りを走ってくるアレッタ達を見て、俺はきっぱりと断った。


 「それなら仕方がないか」と言って、去っていくマトイを見送る。

 今回ばかりは間が悪かったな。

 というか、あいつは仕事ちゃんとやってんのか?

 いっつも誘いに来るからだんだん心配に・・・・・・。


「ケルベロスー!」


 そんなことを考えているうちに、アレッタたちがやって来た。


「さっきの人だれー?」


 竜人のアレンがそう尋ねる。


『布団屋さんだよ』

「布団屋さんー?」

「あれでしょ! 快床商店でしょ! あたし使ってるわ! あれすっごい気持ちいいの!」


 薔薇(ローズ)のサリーが、自慢げにそう語る。

 そうか。なんだか、自分の毛を使われていると思うと、いろいろと複雑なのだが・・・・・・。


「? どうしたの?」

『俺の毛の行方を案じてた』

「あ、あんじる・・・・・・? まあいいや! で、今日はどこに?」


 ゾンビのカイが、目をキラキラさせながら、尋ねてくる。

 どこ・・・・・・ねぇ。


『ま、魔王街の外をぶらぶらする感じかな』


 あの辺りなら危険なモンスターも来ないし、大丈夫だろう。

 と、俺はアレッタの持っている大きな荷物に目が止まる。


『なんだ? その荷物』

「えっ、あ、こ、これは、ご飯とかタオルとか敷物とか・・・・・・」


 水を吸っていない状態の、おどおどしたアレッタが答える。

 なるほど、準備は万端なわけか。


『なんかピクニックみたいだな』

「そ、そうですね・・・・・・」


 この前魔王(親父)と行ったピクニックはさんざんだったからな。今回は、まったりできそうだ。


「あ、あの・・・・・・」

『ん? なんだ、アレッタ』


 深くかぶったニット帽を抑えながら、アレッタが話しかけてくる。


「わ、わたし。昨日の記憶が途中からなくて・・・・・・。気づいたらベッドで寝てたんですけど。なにかご存じですか?」


 昨日?

 ああ。そうか。たしか、水を吸った時のアレッタは、『あたしは知ってるけどあっちは知らない』って言ってたっけか。

 これは伝えた方がいいのか・・・・・・。

 いや、きっとそれはあっちのアレッタに失礼だろう。


『昨日か? たしか、通り雨に打たれてお前気絶してたぞ? だから、俺がお前の家まで送ってったんだ。』

「そ、そうなんですね・・・・・・。あ、ありがとうございました」


 嘘のことに感謝されるのも複雑だが、こう偽るしかあるまい。


「ねえ。ケルベロス隊長」

『ん? なんだ? カイ。俺隊長なの?』

「うん! そうだよ! でね、この探検隊に名前を付けてほしいんだけど・・・・・・」


 名前?

 いつの間にか探検隊の隊長になってたのは置いといて、名前か・・・・・・。


『”ちびっこ番犬隊”とかでどうだ?』

「いいね! よし! それにしよう」


 多少はまともな名前を付けれただろう。

 ネーミングセンス? どっかに飛んで行ったんじゃないか?


「ねー。行く? もう行くのか?」


 と、火竜(サラマンダー)のレンが、待ちきれないと言わんばかりに、燃える肌を赤くしながらそう尋ねてくる。


『おう。いつでもいいぞ』

「よーし! みんな!」


 カイがみんなの前に立つ。


「“ちびっこばんけんたい”! レッツゴー!」

「「「おおー!」」」


 静かな早朝に、元気な子供たちの声が響いた。

 最後までお読みいただきありがとうございます。いかがだったでしょうか? 自己紹介の難しさをしみじみと感じます・・・・・・。今日はあと二本投稿いたします!

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