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練習作品:石ころ

作者: 紲空現

投稿練習と現状把握のために投稿。

2017/11/52つ完成

 

 石を投げたら、水に落ちた。



□□□□□



 私は石を投げた。なんの変哲もない只の石。直径はおよそ10cm程だろうか。


 石は真っ直ぐ斜め45°10m/sで空へと飛んでいく。


 しかし、重力に引かれて下へと落ちていく。9.8m/s^2の自然の摂理。下には一面の水がどこまでも、どこまでも、水平に続いている。


 端が水に触れた。ここまで約1.443秒。そのまま石は水の抵抗を受けながら潜っていく。

 後には小さく波紋が残り、やがて消え失せた。



□□□□□



 私は川沿いの道で石ころを拾い上げた。何かがしたかったわけではない。ただ目についたため、気紛れに拾ってみただけだ。


 石はそれほど大きくもなく、小さくもない。丁度握りやすい大きさで重さも抜群だ。


 ふと川の方を見てみる。川は静かに流れていて、風は凪いでいた。綺麗に澄んだ水は川底の藻でさえくっきりと見える。小魚が流れに逆らって泳いでいた。


 川の方へと向き直り、私はおもいっきり腕を振りかぶる。重心を少し後ろに倒し、体をひねって腕を曲げる。片手を前に出し、さらに手の力を抜き最適な加減で体に貯めたエネルギーを解放する。


 踏み込んだと同時に手が、腕が、体が、足が、全身が躍動する。腕が天を指すのにつれて腕は伸ばされ、腰の捻りが解放されていく。


 静かに、指から石が離れてゆく。一面の青、天空を駆けて彼方へと進もうとして、しかし、無情にも天上からの迎えが来ることはなかった。


 まわりにみずからが切った風を纏い、水に迎えられてゆく。水は相変わらず透き通り、大空を写し出していた。



・・・・・バシャッ____



 水しぶきを上げ、その白にかき消されるかのように石は姿を見せなくなった。後には緩やかな水の揺れがしばらく留まっていた。


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