最初からクライマックス
初投稿です。ご都合主義満載ですので生温く見守って下さい
亀投稿なので気長に待って下さい
「ふ、ふぉぉおおお・・・・・・」
何も無いだだっ広い荒野。
見渡す限りの石と土。
日本ではまずお目にかかれない光景が眼前に広がっている。
私こと、椎木弥花は目の前の光景に思わず間抜けな声を挙げた。
雄大な大地に感動した訳じゃない。
私は体感で三時間ほど前まで自宅でのんびりとおやつを食べながら趣味のジュエリーサイト巡りをしていたのだ。
それが、軽い眩暈がして目の前が真っ白になったと思ったらこの光景である。
最初は気を失わせるなりして誘拐され、放り出されたのかとも思った思った。
だが、三十歳も目の前のしがない派遣社員を攫った所で何の意味があるのだろう。
容姿も悪くは無いとは言え、攫われる程では無いし、第一容姿で攫われたのならばいきなり荒野に放置なんてのもおかしい。
それに何より、私は立った状態で荒野に居たのだ。
本当に、気が付いたら荒野に立っていた。
よく、酔っ払って気が付いたらとか無意識に移動しててとか聞くが、あくまでもそれは見知った場所か思考力が無いか、痴呆なのかである。
それでも、凡そ日本とは思えない荒野は無いだろう。
大体、どうやってここまで来たというのか。
精神的な乖離があったと仮定してもアグレッシブ過ぎるだろう。
最初の三十分程はそんな事を考えながらその場で過ごした。
誘拐であれ何かの事故であれ私をここに連れてきた人が戻ってくるかも知れないと思ったからだ。
しかし、照り付ける太陽と、どう考えても、どう目を凝らしても見晴らしの良いこの場所に人気も無ければ動くものも無い。
若干堪え性が無い私にとっては耐え難い焦燥感を煽るには充分な時間だった。
此処は何処なのか、何故私はここに居るのか、助けは来るのか、そもそも助かるのか、私は此処で死ぬのか。
何一つ答えの出ないままに私はフラフラと足場の良くないその場所から歩き出し、今に至る。
そして、漸く見付けたのだ。
人類の痕跡、文明の香り!
道だ。
綺麗に舗装されている訳では無いが、石がそれなりに避けられ、土もそれなりに均されている。
アメリカ映画やオフロード車の大会映像に出てくる様なフリーウェイっぽい。
此処が何処であれ、道があるという事は人が通るという事だし、街もある。
自分の置かれた状況は何一つ分からないけど、希望が見えたのだ。
「アメリカ的なフリーウェイなら街は無理でもガススタかコーヒーショップはあるかも!」
映画でよく見るシーンだ。
イケメン俳優の隣には美人女優。
オープンカーを走らせ、補給の為に点在するコーヒーショップへと立ち寄り、情報を得る。
狭い日本、歩けば10分以内の圏内にコンビニが幾つもある感覚で私はいた。
もう少し歩けば誰かに会うはず、もう少し頑張れば誰かが通るはず、もう少し、もう少し……
「ふ、ふぅぉぉおおお!!何でっ、何で何も無いんじゃぁ!?」
何も無い荒野の中心かどうかは分からないけど私は叫ぶ
オープンカーの外人さん達は金髪だから我慢出来るかもしれんが私は生粋日本人。太陽光をこれでもかと集める黒髪なのだ。
そして、普段使うことの無い色々な所の筋肉や関節。
インドア舐めんな1時間も炎天下で歩いたら瀕死になるに決まってるだろう!
大自然の雄大さに私が勝てるわけも無い。
あぁ……もう、嫌だ……
熱射病と脱水症状、それとこの訳の分からない状況と苛立ちと焦燥、それに、絶望感。
色んなモノが綯い交ぜになり私の意識は混濁して行く。
私・・・死ぬのかな…
そう思った瞬間に私の身体は力を失い目の前が真っ白になって行く。
遠くの方で誰かが呼ぶ声がする・・・酷く懐かしい、記憶の中にある声・・・あれは・・・
「・・・お父、さん・・・・・・」
そして、私の意識は完全に閉ざされたのだ。