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異世界美術館『アムール』  作者: りしゅん
9/10

9話 シャプナー班

「館長ぉ!どういうことだよ!?」

「さっきのミーナさんの話は聞いてんですか?」


部屋に怒号が飛び交う。まぁ…そりゃ、そうだよな…。

一体、ワシタカさんは何を考えてるんだ…。


「館…長…。」


さすがにミーナさんも、動揺しているようだった。

いや、俺が館長であれば、すぐ許すのだが…。


「館長、一体どういうお考えをなさっているのですか?」

副館長のシャプナーさんが、初めて自ら声を上げた。それほど、この状況はかなり予想外だったと言える。


「………。」

ワシタカさんは何も言わない。むしろ、目をつぶり、下を向いた。

すると、アルも発言した。


「館長!俺からもです!彼女は先ほどの話で、この騒動の反省の意と、ここに居ることの意義を証明してくれました!なので……館長がミーナに対して、どう思っているのかはわかりませんが……

許してやってください!!!!!」


その言葉には、アルの強い思いが直接その言葉に表れている様だった。


「………。」


「館長、何かご返答を。」

シャプナーさんがそうつぶやくと、やっとワシタカさんは口を開いた―――――。


「ミーナ、君のここに居ることの関心はよぉく分かった。」

よかった。聞き流してはいなかったようだな…。

「じゃが、結論として、この美術館に迷惑をかけたのは間違いないであろう?」


!!!!!!!!

一時、部屋がざわついた。いや、そうなんだ。そうだけど…。だからこそ、今の話は…

「だからこそ、今の話はそれへの謝罪だったじゃないですか!!??」


アルが激しく、怒鳴った。夜での静寂が、一層彼の声を引き立たせる。


「お主らは……。」

ワシタカさんの声が震えている。どうしたん…

「お主らはいまいち、この場所の神聖さが分かっておらぬ!!!」


!!!!!!!!

その声は、アルよりも響き、何より力強さがあった。


「ここは…お主らだけのものでも、わしのものだけでもないんじゃ…。」


「アムールは、通称『愛を紡ぐ場所』。この愛には、言葉では言い表すことのできない様々な意味が込められておる。その意味は、建てられてから300年の今現在でも語り継がれておる。」


愛を紡ぐ場所…。初めて知った…。


「この信念は決して揺れず、壊れることあらず。わしたちは、その意をこの場所に捧げる必要があるのじゃ!!」



………………………。


その演説は、とても強い執念があった。自我は一切無く、何も迷いがないようだった。


「……。少し熱くなりすぎたわい……。ミーナよ。」

「…ハイッ…!」


「わしは、先ほどお主に辞めろと言ったが、何もアムールを辞めろとは言っていないぞ。」


「……………え……??」


「今現在の配属先を辞め、これからシャプナー班に転属することを、推進する。」


!!!!!!!!

「シャプナー班だって…!」

「あのシャプナー班に、ミーナが挑戦するのか…!!??」


ん…なんだ…シャプナー班って…。


「シャプナー班って、もしかして…。」


「うむ!シャプナー班とは、学芸員ながらも、自らの技能を高め、独立した展覧会を開くことのできることが、唯一認められた班じゃ。」


な…なんだってぇ……………!!


「そんな…私が…そんなところに…。」

ミーナさん…何を迷ってるんだ…。夢に近づく最善の策じゃないか!…もしかして…ミーナさん…


「悪いと思ってるのか。入ることに…。」

アルがふいに言った。まるで、ミーナの心めがけて、ストレートに球を投げ込むかのように。

「いや!そんな……そんなこと……な…い…。」


「こんな騒動起こして挙句、ここに転属することになった、みんな申し訳ないな……そうじゃないのか…?」

「う…うん…。」

ミーナは、頭を下した。


………………………。



「果たして、お前の話を聞いてから、そう思うやつはどこにいるんだ?」

!!!ミーナはもう一度、顔を上げる。

そこには、嫌そうな顔したものは一切いなかった。皆、誇らしげに、ミーナの方に顔を向けていた。


「何もたついてんだよ…!ミーナ!」

「あんたの夢なんでしょ?頑張ってきなさいよ!」


愛を紡ぐ場所…。俺が思うに、今この状況下において、それは今成しえているのかもしれないな…。


その時、ミーナさんの頬には、喜びにあふれたような川が流れていた。


「……決まりじゃな。」


このとき、ミーナさんの転属が決まった―――――――。


「さて、ミーナだけが行ってもいいとは言ってないぞ。」

!!!!!!!

「これを機に行きたいと思うもの、今すぐ名を名乗れぃ。」


「おい、お前行けよ…」

「いや、あんなとこ俺には無理だよ…」

「相当意欲高い人じゃないと…。」


俺は…だめだ…この気持ちをおさえきれなかった!!!!!





「行きてぇ~。」




バッッッッッ!一瞬で皆の視線が集まった。

おっと、これは……。どうなんだ…?

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