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異世界美術館『アムール』  作者: りしゅん
7/10

7話 法隆寺 中編

俺は異世界召喚された。それは俺が異世界にはびこる悪を制裁し、ハッピーエンドを迎えるんじゃないのか。


なのに…


なのに…


今現在俺は何もしていない!!!!ただの脇役じゃねぇか!!!!どういうことだ!!!!

この状況、俺はどうすれば…。


「ここでお前たちが暴れたら、この美術館の評価がガタ落ちになる。ただでさえ、お前たちが正面から入ってきたせいで、客も勘づき始めてるっていうのに。」


「評価って…そんなの、私たちのものになれば、関係ないじゃないか。」


「本当本当…ワロスワロス…。」


「ここで、ひれ伏せば、被害が格段に抑えれるっていうのも、分かってるはずだと思うんゲスがねぇ。」


やばい…明らかに、俺たちが不利だぞ…。

500万円なんて、即返せない。力が圧倒的。この状況下は変わらない。


「もう、拉致があかねぇ。お前たちのために私が仕方なぁく、もう一つこれでもいいと言う条件を加える。これを満たせても、お前たちの勝ちでいいよ。」


「………なんだ、教えてくれ。」


「真珠よ。」


「真珠だってぇぇ!!!!!」

「こいつら、舐め腐ってる!!!」

「無茶な注文ばかり押し付けやがってぇぇぇ!!!」


シンジュ…。

「お頭、正味この辺の作品よりも真珠のほうがいいと思ってるっすよね?」


「だってぇ!あんな神秘の宝石なんて、滅多に無いじゃない!今やダイヤモンドよりも値打ちのあるこのご時世、真珠がないと、やってられないわ!」


「ここ最近、真珠の生産量がダダ下がりで、いまや、真珠のネックレスの価格は一つあたり2000万から6000万にも上るという……!!そんなの、俺たちの状況は変わんねぇじゃねぇか!」


ねっくれす…。


「お頭ぁ…真珠って何千万の価格なんゲスよね?それなら、ここの作品全部奪ったら、何百億なんゲスよ…。明らか作品かっさらったほうが、はやくないゲスか?」


「なに?あんな絵などのほうが、真珠よりも良いって言いたいの!!??」


「いや、まぁ、そんなところ…いや、なんでもないゲス…。」


「お前ら…ここの作品もけなしやがって、いい度胸だな!!強引なことばかり言いやがって!!」


「何?私が優しさで、増やした条件に難癖をつけるつもりかい?もういい。これから、5秒カウントダウンする。それで、結論が出なかった場合、強制でこの美術館を頂くよ。」


シンジュのねっくれす…。


「あ…あぁ……。」

5―――――――――――――――――――――。

「もう、だめだ…」

4―――――――――――――――――――――。

3―――――――――――――――――――――。

2―――――――――――――――――――――。

「ごめん…みんな…。」

1―――――――――――――――――――――。

!!!!!!!!!!!!!!

0―――――――――――――――――――――。


―――――――――――――――――――――――。


「決まりだね。」

「そうみたいっすね。」

「よし、今から占領作業に取り掛かるぞ。今すぐ、客を追い払え!!」

「ういっす!お頭!!!」


「あの…」

俺は思わず声に出してしまった。

すると、辺りにいた学芸員とヤンキーを含めた、計50人程の目線が俺にわたった。

だって…だって…だって…


この気持ち抑えられるわけないじゃない!!!!!





「真珠のネックレス、俺のポケットにあります。」

俺はネックレスを天に掲げる。
















「……………………。」














沈黙が続く。俺はどうしたら…











「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」

「なんで、あいつが持ってんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



「あいつって、今日入ったっていう、新人じゃね?」

「そうだな…あんな見た目からして、冴えなさそうなやつがなんであんな代物持ってんだ…。」

「タツヤ君!!!!なんで!!!!」


「いやぁぁぁぁぁ!!!!!、その輝きはまさしく、本物じゃない!!!!!」

「うわ…ガチじゃないゲスか…」

「本物…ワロタ…。」

「じゃあ、お頭!ここの作品はどうするんすか!?」

「知ったこっちゃないよ!私は大満足さ!さぁ、お前たち!撤収するよ!」


「作品は…」

「お頭ぁ!非合理的じゃないっすか!?」

「効率が悪いっすよぉ!」


そうやって、ヤンキーたちは去っていった。最後まで、割と頭がさえてたな…。

一時はどうなるやら…。やっと落ち着きを取り戻せ…


「新人!!お前、器広すぎだぞ!!」

「あぁ、あのピンチだっっていうときに、自分を投げ売ってまで、収束させたその心意気、正に勇者だ!」

「新人くん、最初は何も出来なさそうだったのに。案外、頼りになるのね。」

「かっこよかったぞ!」


なんか俺…めっちゃ褒められてる…。確かに夢を志したことを証明するネックレスが消えたっていうのは言い換えたら、夢を諦めたって言ってるようなもんだから、縁起は悪いが…。悪くない!


俺はこの日初めて、変な形で、異世界召喚された勇者のような気分になれた。

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