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異世界美術館『アムール』  作者: りしゅん
6/10

6話 法隆寺 前編

なんでミーナさんが、ヤンキーにからまれてるんだよ!

急に展開すぎて、俺は動揺し続ける。


「も…もう少し待ってくれませんか…。」


「もう少しっていつなんだよ!!」


「アバウトすぎゲスぅぅぅ!!」


「くひひ、ワロタ…。」


これはどうしたらいいんだ…。俺がどうこう言って、解決する問題でもなさそうだし、ここは穏便にいこうか…。


って俺、情けなさすぎだろ…。


すると、ヤンキーたちの後ろから、


「おい、君たち、職場にくるなんて礼儀がなっていないな。営業妨害だぞ?」

アルだ!頼もしすぎっ!それとともに、他の学芸員もあたりに集まってきた。


「あぁ、でもですねぇ、さらに礼儀がなっていないのはこの女じゃないんですかねぇ?」


「ミーナが君たちに借りがあるのは知っている。だがここでは、その話は無用だ。アムールには美徳と秀麗を尊ぶ。今、君たちが行っているその行為はそれに反している。」

そうだ!アルの言う通りだ!アル、もっと言ってやれ!


「あぁ?知っているも何もあんたには関係なくねぇゲスか?」

「無関係のお前が口だけ言ったことに俺らがはい、分かりましたって引き下がると思ってんのか?」

しかも、こいつら、ヤンキーの癖して割と頭が冴えてんだよな…。


「もう、やめて!そう、アル君、あなたには関係のないことなの!」


「アムールで起こった事は全員のせいじゃないのか?」


「………!!」


え…俺本当に場違い感が半端ない…。もし、俺が異世界召喚されたと同時に、とんでもねぇ力も授かれば…。

俺は何のためにここへ来たのか。


「おぅおぅおぅ、やる気か?」


やべぇって!ここ6畳だぞ!?もう一度言う、ここ6畳だぞ!?


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「待て!!お前たち!!」


「!!!!!お…お頭……!!!!」


突然、大きな声が美術館に響き渡る。熱意あふれた、『女性』の声だった。

ん……。女性の声…、お頭……ってことは、お頭は女性なのか!?


俺は伏せていた目を開ける。すると、そこには美しい牛の女性が立っていた。

ヤンキーの頭とは思えない美貌で、俺は腰が抜けた。

ミーナさんとはまた違う、大人っぽい美しさがそこにはあった。


「坊や、周りの者どもは身震いしてるのにも関わらず、私の目の前に一人で立ったのはいい度胸ね。そこは賞賛の意を示そう。」


「……!!」


「だがね、私たち的にも、武を使って事を収めたくないのよ。はやくそっちで、ミーナが私たちから借りたものをとっとと、よこしてくれたら早急に撤退してやる。」


段々、俺は状況を掴めるようになってきた。

言えば、ミーナさんはこのヤンキーたちに何か『貸し』がある。それを3年待ったが、待ちきれずここに押し掛けてきた…ってことか。


「ミーナさんの貸しって一体…。」


俺はつい声に出てしまった。というのも、これだけさっきから、分からずじまいで何より知りたかった。

健全なミーナさんが、こんな輩に何を借りたのか。


「金だよ。」


アルがぼそりと呟いた。俺は驚きを表に出すよりも、自身の心の中で激しく動揺した。

それは、貸しが金だからというわけではなく、ミーナさんが、借金をしていたことに対しての動揺だった。


「ミーナには、500万円もの借金を抱えてる。」

「アル君…。」


「嘘…ミーナが借金…!?」

「あいつって、そういうやつだったのか…?」

「ギャンブラーだったりして…。」

「ってか、なんでそんな大事なこと隠してんの?」


この動揺は俺だけではなかった。あたりに集まってきた学芸員も俺と同じく、ミーナさんが借金をしていたことを知らず、驚きを隠せずにいた。


「まぁ、そういうわけだ。今回も返せないようなら、それに見合う物でも持ってくるんだな。そうだなぁ。じゃあ……。」



「この美術館に展示されてる作品ぜぇぇぇぇんぶ、貰っちゃおうかな!」


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「ん……待て!お前、それ無理を承知で言ってるだろ!できるわけないじゃないか!!」


「いや、こっちはやるときゃ、やるよ。後さっき、武を使いたくないって言ったじゃん?

あれは最善策がある上での話。なければ……使うけど。」


「へいへいへい!決まりだぁぁぁ!一番偉いやつはどこだぁぁ!顔だせぇぇぇぇ!」


「おい…美術館の合計額なんて、何百億もつくぞ…!500万とは桁が違いすぎる!」


「そ…そんな…私のせいで…。」


これは…これは…これは…さらにまずい展開になったぞ…ワシタカさんも今ちょうど不在だし…。


俺が異世界で活躍するのは、いつになるんだよ、おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!

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