第四十二話 薬局の仕事着、白衣の話
薬剤師の白衣はごく普通です。スタイリッシュでもなんでもない、ウエストも何もないずんどうでぼよーんとした白衣です。目立ちません。
病院によっては看護師さんにとてもかわいいデザインを着せたり、有名デザイナーが作った白衣です、こういうのを着て楽しくお仕事しませんか、と看護師さん募集をかけたりします。そういうところは年寄りの看護師や薬剤師は言外にうちに応募するな来るな、と書いてあるようで敬遠します。白衣のデザインにひかれて求人応募にひっかかる看護師は若くてかわいくてその白衣が似合う人だと思うのですが。でも結局はお給料と仕事のしやすさ重視だよね、と生暖かい目で見てしまいます。
ついでだからもっと横道にそれましょう。昔は看護師さんのお帽子、ナースキャップといいますがあれが象徴になっていましたが、今は廃れていますね。たまーに見かけると懐かしくなります。廃れた理由は患者さんのすぐそばでかがんだり、処置をするときに点滴チューブにひっかけたりして事故が続いたからときいています。デザイン的には好きだし、看護師さんはナースキャップを留めるためにかわいいキャップ留めを使ったりするので見るのも楽しみでした。キャップ留めにはキティちゃんなどのキャラクターものや、渋い人は七宝焼を使う人も。ナースキャップコレクターもいました。
医師は二部式の白衣を着ておられる方が多いです。KC型白衣といって、肩にラインがついている。あのデザインは自衛隊や軍隊の肩章の医療版というか、その名残かなあとも思うときもあります。肩幅が広く見えて颯爽として格好良くみえますね。薬剤師でも男性の人が好んでそればかり着る人も多かったです。
私は一貫してレトロな寸胴白衣、薬学生の時から変わってないです。ワンピース型白衣も若い時は来ていた時期もあったのですが、今はさっと羽織れるという理由でそればかり。それでボールペンや手帳は製薬会社からのもらいものばかり。(今は民間にいるのでくれるなら喜んでもらっています。カレンダーもダイソーの百円のモノ以外お金を出して買ったことないです)
その姿で散薬調剤は大きなマスクに髪が落ちないようにする使い捨てのヘアキャップ、おまけに近年は老眼鏡つき。
我ながら本当に貧乏くさくて、私は一生デザイナーさんや華やかな衣装とやらには縁がなかったなあとつくづく思います。でも、お仕事これからも頑張りますですよ。
シューズを書き忘れましたがあれも室外と室内分けるのは衛生上当たり前のことです。救急病院ではいつでもすぐに迅速に行動できるようにスニーカー指定のところがありました。
白衣を着ている以上、そのスニーカーも白が多いです。ナースシューズは今は本当にかわいいデザインが多くて選ぶのも楽しいです。キャラがついていたりね。デザインが派手なナースシューズもカタログで見かけますが、本職で履いておられる方を私は見たことがありません。そんなのを常用すると常識がないと婦長から指導が入るでしょう……多分。(医療事務さんはもっと自由度があがりますが)
立ち仕事なのでシューズはデザインよりも機能重視です。足が疲れないよう幅広め、低めです。私はデザインもへったくれもないと思っています。




