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第十九話 処方された薬が信用できない患者さん、新聞記事を信用してどうせ金儲けだろうという患者さん


 せっかく医師に診察してもらい、処方薬を手に入れたのに、副作用が気になり、大丈夫? 本当に大丈夫ですか? と聞く人がいます。薬に悪いイメージを持つ人、雑誌に「飲んではいけない」 と書いてあったから飲みたくないとおっしゃる方、いろいろです。

 患者さんが不安なく薬を飲んでいただくのも大事な仕事と心得ているつもりですが、ケースによっては、どうしたらいいかなあと内心うろたえることもあります。


 常用するとやめられなくなる等、悪いイメージを喚起させる薬に関しては慎重に話をします。医師によっては金儲けで結果的に薬漬けにされた患者さんも事実いるし、周知もされています。薬は怖いというイメージを持たれるのも当然だと思います。ネットでそういったネガティブな情報を得た患者さんはとても不安がられます。

 今よりも症状をよくしたいと思って処方してもらったのに、飲みたくない、とおっしゃいます。でも病院で診察を受けられた以上、その患者さんのために医師は処方薬を決めるのです。病院は診察したうえでの「薬物療法がメイン」 ですので、それは了承してもらわないといけません。

 また薬は飲んでみないとわかりません。さじ加減も個々によって違って当たり前。医師に面と向かって言えなくて、私たち薬剤師に薬に対する不安をおっしゃる患者さんは「安心して薬を飲んでもらいたい」 と思って説明します。

 つまり「不安軽減に努める」 わけです。

 また私たちにそういうのは「あなたは大丈夫ですよ」 と言ってもらいたいのです。患者さんが持ってきたネガティブな情報をうのみにして「その通りです、その薬を飲むのはやめた方がよいです」 って言いません。繰り返しますが安心して薬を飲んでもらいたいのです。


 薬の飲む以上は処方する医師や服薬する患者さんが期待する作用があります。だけど、期待していない作用、副作用といいますがこれも出てくることがあります。 私は、患者さんの様子を見て説明をするようにします。副作用の話をするのは飲む以上知らないよりは、知っておいた方がよいからです。決して不安を煽ったりするつもりはありません。

 今は薬を出すと一緒に薬品情報提供用紙というものを添えますので、熟読する人の中には困ると言ってくる人もいます。たとえば、ある種の抗菌剤の副作用欄に味覚障害とあると、調理の仕事をしているがそうなったら困るのでどうしたらよいかなどがあります。味覚障害は出ない人の方が多いのですが、出る人は出ますので、その兆候があらわれたら即時服薬をやめてくださいと申し上げます。おかしいと思いつつ、のみきって数カ月たってから重篤な味覚異常が出た人がいます。

 医療を金儲けにしているとキャンペーンをはるマスコミさん側にも正義を正してやるという意義があるのかもしれませんが、この症状にはどうしてもこの薬を飲んでもらいたいと思って処方される医師と調剤する薬剤師が多いということも書いてほしいと思います。どんな薬も最終的に行きつくのは患者さんの身体です。ネガティブな記事を信じて私の飲む薬も金儲け用なのか、と医師を信じず薬を飲まなくなった人もいるでしょう。今までの薬漬けをやめて逆に健康になりました、という人もいるのかもしれません。


 記事がおっしゃるとおり、どうみても不要だろうという処方薬を抱えて入院する患者さんも見ますので、その意義は認めるけれども、悪徳な? 処方医には罰則などないので、自衛する必要性も意義も感じます。現在の医療制度に一矢むくいる記事もいいのですが、大半はまじめな医師が多いことも書いてほしいものです。良かれと思って処方した薬を金儲けだろう、身体を悪くさせるつもりだろうと言われては悲しい思いをします。また必要な薬なのに飲まなくなると困るのは患者さんなのです。


 逆にこの薬は本当に必要でしょうか、どうか処方の見直しをご検討いただければ……と薬剤師がいうと感情的になって怒る医師も多くいるので、とても難しい問題です。私自身、お前どこの薬局でどういう名前の薬剤師か、私が何年医師をやっていると思っているのかと怒られた経験もあります。(この時はこちらから経営者さん同行でその日の診察終了後に疑義照会をした理由を説明にあがりわかっていただきました。直接面会して疑義照会の取次をしたナースのタイミングが悪かったことも併せて判明したのですが、立場上忙しいところに怒らせてごめんなさいという低姿勢に徹しました)薬剤師は医師に対する疑義照会も相当に気を使ってやっています。

 つまるところ医師も薬剤師も患者のためにやっています。それが仕事だと思っています。






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