力=武器
数十匹のオーク達を倒してから二日過ぎた。宛もなく歩き続けても疲れるだけと判断した俺はオーク達が何処から来たのか調べる事にした。理由は簡単でオーク達が俺を食材と見ていたからだ。最初に油断していたところからもあいつらが人間、もしくはそれに近しい生物を知っていた証だ。なのであいつらの巣に行ってそこから街や村を探した方が早いと思ったからだ。
幸いあいつらは見た目通りの体重の様だったので足跡はくっきりと残っていた。その足跡を辿って行くと遠目にも見えていた森に辿り着いた。足跡は森の中に向かって続いていたのでそのままたどる。オーク達が十匹以上で行動していたおかげか、あいつらが力任せに無理矢理通った様な跡は整地されているとは言いがたいがある程度の道ができていて比較的楽に森の中を進めた。
森に入って十分ほど経った頃今までの獣道より少しマシ程度の道とは明らかに違う人の手によって整地されたと思える道に出た。ただあまり利用者がいないのか結構荒れ果てていたが。その道にもオーク達の足跡がはっきりと残っていたのでその足跡を辿る。
さらに三十分ほどオーク達の足跡を辿るとその先に念願の村を見つけた。ただし住んでいたのは人間ではなかったが。
「まぁ、オーク達の足跡がまっすぐ村の方に向かってる時点でおかしいとは思ったけど。あれは人の住んでた村をオーク達が襲って奪った。ってことか?」
村の方にまでオーク達の足跡が続いているのを見ておかしいと思った俺は一度村の様子をうかがう為に高い木の上から村を覗き見ていた。気分はちょっとした忍者だ。なんせ身体能力が向上してるのはわかっていたがまさか木を文字通り駆け上がれるとは思っていなかった為、自分でやっておいて自分で驚いてしまった。
そして木の上から見える村の様子は人は居らずオーク達が我が物顔でたむろしていた。それだけならオーク達の村とも思えるが家の戸の大きさがオーク達に合っていないし、そもそもほとんどの家が壊されていてオーク達は当たり前のように地面に寝転んでいる。そして、恐らくはゴミ捨て場なのだろう。動物達の骨に紛れて人骨らしきものも捨てられていた。
「さて、どうしたものか。まさか最初に見つけた村が壊滅されてるなんて、幸先が悪すぎるにも程がある。」
ここでこの村を見なかったことにして別の村を探すのも一つのてではあるが、正直この二日まともな休息をとれていない。肉体的にはまだ大丈夫そうだが精神的にはそろそろ限界だった。特に生理現象についてはかなりきつい。なので、できれば一度まともな所で休息をとりたい。
「んー。一、二、三………二十匹ぐらいか。これならなんとかなるかな?」
遠目からだが見えるオークの数は先日出会った数より少ない。もしかしたら屋内に隠れているのも居るかもしれないがそれでも少し増える程度だろう。先日戦った感覚だとまだまだ余裕はあったし大丈夫だと判断できる。
「………よし!行くか!」
前回余裕で勝利した敵ということもあって俺はそのまま村のオーク達を殲滅して休息をとることにした。
『プガ!プウッググゥ!』
村の出入口にいたオークが近付く俺を見つけて声を張り上げる。恐らく他のオーク達に報せるためだろう。現にそれからすぐに他のオーク達も武器を持って現れ始めた。最初こちらを警戒していたようだがこちらが一人なのが解ると途端に油断し始める。俺はその隙をついて一息にオーク達の群れに飛び込み手当たり次第に殴り飛ばす。
『プガ!?』
『グゥオ!?』
『プグゥグググ!』
瞬く間に混乱に陥るオーク達。俺は優位な状況のまま事を終わらせようと混乱するオーク達を更に殴り飛ばして一気に殲滅しようとする。しかし突然感じた悪寒に従いその場から飛び退く。瞬間先程まで俺がいたところに一匹のオークがかなりの威力で叩きつけられた。
「ッ!なんだ!?」
オークが飛んできた方を向くと一体明らかにオークとは違う存在がいた。
『ヘェ、カワスカヨ。ソレニ……ナルホドナ、オークドモジャカテネェナ。』
ッ!こいつ喋れるのか!?
現れたソイツは赤銅色の肌に裕に三メートルはありそうな巨体にがっしりとした肩幅、オークが脂肪で横周りが太いとするならこいつは筋肉で太かった。そしてオークの豚顔より人間に近い顔つきに額から延びる太く小さい角それは鬼と呼べそうな魔物だった。
「オークじゃない?」
俺が思わず漏らした声にソイツは気分を害した風に舌打ちして声を返してきた。
『ハッ!コンナブタドモトイッショニスルナ!オレサマハ、オーガダ。ソノテイドノミワケモツカネェノカ?』
見た目が違うから違う種族だと思っていたらわざわざ自分から名乗ってくれた。というか豚顔の方はオークでよかったのか。そして鬼みたいなこいつがオーガか。確かに見た目からしてオークより強そうな上に人の言葉を解すってことはそれなりに知恵もあるってことか。……しかし村に続いて異世界で初めて言葉を交わしたのが魔物って、何か呪われてるのか?
と脇道にそれかけた思考を頭を振って追い出し冷静に頭を回転させる。ようやく異世界に来て初めてまともに言葉を交わせる存在がいるのだ、この際人か否かなんて些細な問題だ。それよりもなるべく話して多くの情報を得ないと。
「悪かったな、なんせオークもオーガも初めて見るもんでね。見た目が違うくらいしか解らなかったんだよ」
『フンッヨホドヘンピナトコカラデテキタラシイナ。ソレニシテモオマエ、メスノクセニオスミタイナシャベリカタダナ」
「ッ悪いか?魔物風情に言葉遣いをとやかく言われたくねぇよ」
表面的には何でもない風を装いつつ内心結構慌てていた。確かに今の俺は女なんだから今までの言葉遣いじゃ違和感があって当然だろう。こちらに来てまだ誰とも会話をしていなかったのでその事に気づかなかった。今後は気をつけることにしよう。
『ハッ!イセイノイイメスダ!フム、ミタメモワルクネェキニイッタゼ!オマエヲオカシテヤル!』
オーガのその言葉と舐め回すような視線に俺はかつてない悪寒に襲われた。コレが女が男に性的な視線を向けられたときに感じるものなのか?なるほど、確かにこれは気持ち悪い。出来れば知りたくなかったものだな。
「お断りだ!誰がオマエなんかに犯されるか!気持ち悪いんだよ!」
『オマエノイシハカンケイナイ。オレサマガヤルトキメタラヤルンダヨ!』
瞬間オーガが見た目からは想像できない速さで動き、気がついたときには目の前にたっていた。
『フンッ』
「くっ!」
降り下ろされる斧を紙一重でなんとか避けてその勢いのままオーガを殴り付ける。オーガは避けずに防御の構えをとる。そして鈍い音がした後ダメージを受けたのは俺の方だった。
「ーーー!」
殴り付けた拳に感じた痛みに思わず跳び跳ねて後方に下がる。そして今だ痛みが残る手を降りながら相手を見据える。
『ホウ、ナカナカノイリョクダッタナ。マァ、オレサマニハキカナイガ。ソレニ、コノジョウキョウデダサナイトスルナラヤハリキサマハ【セイソウ】ヲモッテイナイナ。』
せいそう?あいつの口振りからすると武器か何かか?いや、今はそれよりも痛みが引くまで時間を稼がないと。
「確かにオークとは違うみたいだな。ならなんで一緒にいる?同じ魔物どうしで気でも合うのか?」
『ンナワケアルカヨ!ダレガスキコノンデコンナブタドモトイッショニイルカヨ!アノカタノメイダカラシカタナクダ!』
やはり、さっき聞いた豚共って言葉で何か理由があるとは思った が。 ある方?魔物にこんな風に呼ばれる存在ってまさか魔王か?……ホントにいそうだから聞くのは止めよう。それより
「めい?オーク達と人を襲えとでも命令されたのか?」
『アア、ソウダ。オークドモハヨワイガ、ハンショクリョクダケハスサマジイカラナ。ソレニ、フツウノニンゲンアイテナライッタイイチナラカクジツニカテルカラナ。』
なるほど。この世界の人間の平均的な力がどの程度かは解らないが前の世界と同じ程度なら数を用意して一気に攻めればかなりの被害になるはずだ。しかし、何でこうもあっさりと話す?やっぱり人語を解すだけでそこまで知能は高くない?
『フン、オレサマガナゼアッサリトハナスノガイガイカ?カンタンダ。オマエハココデオレノモノニナルカラナ!』
「テンプレな台詞をどうも!ついでに言うなら、その台詞は絶対に叶わないフラグなんだよ!」
オーガが振り下ろす斧をギリギリまで引き付けて避けると前回オークから奪った剣をオーガに突き刺す。狙うのは眼だ。オークですら斬れなかった剣でオーガを斬れるとは思えない。しかし、眼や口の中なら突き刺さると思ったからだ。だが
『ハッ!ミエミエダ!』
それを予想していたオーガに刀身を掴まれ止められた。
「くっ!」
『カラダガダメナラメヤクチヲネラウノハニンゲンガヨクスルテダロ?ンナモンガオレサマニツウジルワケガネェダロ!』
鋭く振るわれる斧を掴まれ動かせない剣を手放しオーガの体を蹴り、その反動で斧を避ける。しかし
『アメェ!キリサケ【カゼタチ】!』
オーガのその言葉に反応したのか斧から風の刃が飛んできた!咄嗟に身を捻り避けようとするが避けきれず左の脇腹を深く切り裂かれた。
「がっ!……なん、だ。今のは?」
先程襲ってきた風の刃の事を問うとオーガは得意そうに返す。
『ナカナカオモシロイダロウ?オレサマノ【カゼタチ】ノチカラハ?』
かぜたち?あの斧の名前か?それに力って言った。つまりあの斧は魔剣みたいなものか?厄介な。
「それが、さっき言ってたせいそうとかいうやつか?」
『ナニヲイッテル?コレハ【マグ】ダ、ニンゲンジャネェオレサマガ【セイソウ】ヲツカエルワケナイダロウ』
「………………」
こいつの言うことが本当ならあの斧は、【まぐ】恐らくは【魔具】とでも書くのだろう。そして【せいそう】はこいつの口振りからすると人間しか使えない?少なくともオークやオーガは使えないものか。異織がどうするか考えている間にオーガは余裕綽々と異織に近づいてきていた。
『サァ、ソロソロリカイシタカ?オマエガドレダケタタカッテモオレサマニハカテントイウコトガ!』
確かに。こちらの攻撃は効かない上にあんな武器まで使われたら勝ち目はゼロだな。だけど、だからどうした?諦めるか、続けるか、そんなものは決まっている。
『アキラメロ、キサマハタダオレサマノモノニナレバイイ。』
「………………けるな」
『ナニ?』
「ふざけるな!さっきも言ったがオマエみたいな奴のものに誰がなるか!死んだ方がマシだ!」
俺は自分でも不思議な程体の奥深くから沸き上がる嫌悪と怒気に戸惑いつつも感情のままに言葉を発する。オーガはそんな俺の言葉を聞いて不愉快そうに顔を歪めたがすぐに余裕のある表情に戻り俺に近づいてくる。
俺の攻撃じゃ倒せないことがわかっているが故の余裕だろう。俺の言葉がただの強がりなのは状況からして解りきってるからな。
どうしようもない理不尽という名の現実。それに対して何も出来ない、なんの力もない弱い自分。ただただ理不尽に屈して何もかも奪われる。そんな、そんなこと
もう二度と、認めるわけにかない!!
だから、力を
理不尽に屈しない強い力を
身体は既にそうなっている。
なら求めるのは武器だ
何者も閉ざせず、縛れず、防げない、鋭い力を持つ武器
故に求めるのは、欲すのは、刃
あらゆる物を斬り裂き、閉ざされた道を斬り開き、望まぬ結果を斬り捨てる。そんな夢みたいな力を持つ刃を
俺は求める。
嫌悪と怒気と共に沸き上がってくる力。俺はそれをなんの疑問も違和感も感じることなく使う。使える。
心は既に知っていた
身体は既に持っていた
意思は既に定まっていた
だから
自然と身体が動く。左手を腰近くに添え、右手は左手の前に、右足は前に、左足は後ろに、腰を少しおとしてまるで居合いの様な構えをとる。そして油断して近付いてきたオーガに向かって右手を振るう。
『ハ?』
「え?」
オーガと俺、両者から同時に疑問の声が上がった。何故なら俺の右手には先程までなかった刀が握られていて、オーガの右手は宙で軽く回って地面に落ちたからだ。
腕が地面におちてようやく自分の腕が斬られたことを認識したのかオーガが苦痛に叫ぶ。
『グゥオオオオオ!?ナ、ナ、ナン、ダコレハ!?ナゼ、オレサマノウデガ!?……ッ!ソレカ?ソノケンデキッタノカ!?マサカ、ソレハ【セイソウ】カ!?』
「え?コレが【せいそう】?この刀が?」
オーガの叫び声の指摘に俺の方が戸惑う。なんせ気がついたらいつの間にか右手にカを握っていて、それでオーガの腕を斬り飛ばしてたんだから。
俺は混乱したまま右手の刀を見つめる。
刀身は白銀で鍔も柄も真っ白の刀。
見覚えなんて無かったが不思議とそれが自分自身だと感じた。
『クソッ!マサカユダンサセルタメニギリギリマデ【セイソウ】ヲモッテイルコトヲカクシテイタノカ!?』
驚愕している声とかなり的外れなオーガの推測を聞いて俺は逆に落ち着いた。人間、自分以上に驚いている相手を見ると落ち着くって言うけど本当なんだな。相手人間じゃないけど。
「………ふぅ。色々と混乱するけど、取り敢えずお前をたたっ斬る!」
『ッ!チョウシニノルナァアアアア!』
怒りのままに突っ込んでくるオーガに俺は刀を中段に構える。
『ウラァアアア!キリサケ【カゼタチ】!』
オーガの斧が風を纏う。先程自分の脇腹を裂いた攻撃を前に俺はひどく落ち着いていた。
「ふぅ………っふっ!」
そして臆することなく刀を振るう。ただ振り上げ振り下ろす、そんな当たり前の動作で。そして
キィィイイン!
振り下ろされるオーガの斧と俺の刀。二つの武器はぶつかり結果、俺の刀はオーガの腕を斧と斧が纏う風ごと斬った。
『ナ!?バカナ、コンナコトハ、アリエナイ!』
両腕を失って混乱のあまり頭突きをしてくるオーガの首を俺は躊躇いなく斬り捨てた。
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その後、オーガが倒されたことで動揺しているオーク達を斬り周囲に他に敵はいないか入念にチェックして、ついでに休めそうな家を見つけてようやく一息つけた。
その家は恐らく村長の様な者が住んでいたらしく他の家より少しだけ大きく立派だった。またオーガもここを使っていたのか他の家と違って人以外が使っていた形跡がある。(他の家は木の上から見た通りほとんど壊されていた)
あのオーガと同じ場所を使うことに抵抗が無いわけじゃなかったが溜まりきった疲労と先程の傷(かなり治ってきたが失った血が戻る訳じゃないため早急に何か口にしたかった)等の理由からここで休息をとることにした。幸いオーガへの貢ぎ物か果物や動物の肉等がそれなりの量用意されていたので美味しくいただいた。(人肉もあったが流石に食えるわけもなく別の所に置いておいて後で骨と一緒に埋葬することにする)
食事をした後襲いかかってくる眠けに抗いつつなんとかベットまでたどり着いたが、横になった瞬間一気に意識を手放した。
翌日、目が覚めた俺は取り敢えず村人達の墓を作ることにした。墓と言っても骨や肉を一ヵ所に埋めてその上に大きめな石をそれっぽく加工して(加工には例の刀を使った)置いて花を添えただけだが。
次に今後の事を考えて何か使えるものはないか村の中を調べてみた。結果幾つか役立ちそうなものを見つけた。
まず、金貨や銀貨や銅貨等の恐らくはお金類と指輪やネックレスや宝石類等お金になりそうなもの。これ等は村長宅に集められていたので恐らくオーガが集めさせたのだろう。
次に簡易なものだが地図を発見した。これを見ると恐らく今いるところから村を出てまっすぐ進むと大きな町がありそうだ。
しかし残念なことに足になりそうなものは見つからなかった。流石に馬には乗れないが馬車くらいならなんとかなるかもと思っていたが、馬車は壊されていて使えそうにないしそもそも馬がいない。恐らくオーク達が食ったのだろう。オーク達を乗せれる馬がいるとも思えないからな。
ただまぁ、足についてはそこまで問題じゃなかったりする。何せ今の俺ときたら馬と同等かそれ以上の速さで走れる上に体力もかなりある。なのでそこまで問題じゃない、と思っていた。しかし
「う~ん、流石にこれを持ち運びするのは無理だな」
今俺の前にはサンタがかついでそうな程膨らんだ袋が三つもあった。どれも見た目通りの重さだ。中にはお金や装飾品や食糧等が入っている。どうもオーク達は村の近くを通った行商人の馬車なども襲っていたらしく、言っちゃあなんだがこんな辺鄙な村にあるとは思えないほど金目のものがあった。何せ袋のうち二つは金目のものが入っているのだ、どれだけあったかわかってもらえると嬉しい。また、ごく一般的な家だった俺からしてみると金銀財宝を目にすると悪いと思いつつも持ち主が死んでいるためあるだけ奪……貰おうとしてしまうのもわかってもらえると嬉しい。
「しかしこれは集めすぎたな。いくら筋力や体力が上がったといってもこれ等をかついで走り続けるのは無理がある」
俺は袋を前にかなり悩む。勿論食糧が大事なのはわかっているが目の前の金銀財宝から持てる分だけ持っていくというのは勿体なく感じてしまうのは小市民故だろうか?
「こういう時にRPGのゲームのようなアイテムボックスがあれば便利なのに。こう、何もないところからものを出したり、しまったり………あっ!」
半ばあり得ないことを呟いていると一つ思いついた。それはあの刀、オーガが【せいそう】と呼んでいた武器についてだ。
実はあの武器寝る前は確かに握りしめていたのに起きたら無くなっていてかなり焦った。しかし落ち着いて周囲を探ってみるとなんとなくそこに在ると感じれた。そして感じるままに抜いてみるとあっさりと抜けた。まさにゲームのような機能を持っている。これを利用できないか?と考えた。
まず武器を出す時みたいにそこに在ると感じる。感じたらそこに銅貨を入れてみると普通に入った。しかし刀と違ってそこに在ると感じる事が出来ない。おまけに取ることもできない。失敗か?と思い銅貨とはいえ勿体ないことしたなと別の銅貨を見つめていると感じる事ができた。取り出すことも当然できた。
この事から武器以外のものはある程度明確に形をイメージできないと取り出せないことがわかった。(何故武器は大丈夫なのかは今のところ解らない)また袋ごと入れればその袋をイメージするだけで袋ごと取り出せることがわかった。
結論使えることがわかったので俺はお金だけある程度の量小さい袋に入れて大きい袋にはそれぞれ1、2、3と数字を入れて不思議空間にしまった。
次に服だ。見つけた服からこの世界の服の質を考えると元の世界の服装だと無意味に目立ってしまう。よって集めた服から適当に合わせて着ることにした。(実はこの時初めて自分の今の姿を確認した。結構美人だったのが地味にムカついた)ちなみに下着はそのままだ。下着まで奪っ……貰うのは男として(元だが)アウトのような気がするからだ。(服は良いのか?とか聞かないでほしい背に腹は代えられないのだ)そして余った服と制服は一纏めに袋に入れて袋には服と書いて不思議空間に入れた。
とにもかくにも準備は終了した。流石にいい時間なので今日もこのままこの村に厄介になって明日の早朝に出ることにする。
「さて、今度こそちゃんとした人に出会えるといいな。」