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(旧作)大盗賊は弓を射る ~生ける叙事詩、最強の魂~  作者: 顔が盗賊 / TECH
第一章 『帝都の大盗賊』
42/73

第四十二話 「森のテンプレ三銃士(2/3)」


ゴブリンの巣を蒸し焼きにしてから30分後、弓人は森の中を歩いていた。初めのうちは目的の『ピルンの草』はすぐに見つかると思っていたが、風が通らない上に若干森の中心部に向けて吹いているので、なかなかその匂いを嗅ぎ付けることができなかった。


それでも何も見つけていない訳ではない弓人。今度見つけたのは........


(あれは、女の敵、オークだな。)


そう、あの後別の気配を感じ取った弓人は、結局は森の中心部へ行かなくてはならない現状からその気配を追ってみたのである。するとすぐに大きく、汚い背中が見えてきた。


(身長は、小さいのが2.4(メートル)、大きいのが3.2。うわ、あの腰巻絶対に覗きたくないな。)


うっすらと見える緑色の硬そうな肌と筋骨隆々な肉体、そして臭い。ここへ来て2回目の『そう、これだ!』を味わった弓人。これだ、とはファンタジー御用達の彼らの事である。


その彼らはというと、10体程でまとまり、森の中心部を目指している。


(別に女を担いでいたり、戦利品がある訳でもないのか。ん?ああ、こんな時間か、ここまで人の気配も無いし、そういった戦闘は行われないのか。)


弓人は全く支障なく行動しているが、ここは既にある程度森の深く、そして明け方と呼ぶにはまだ早い時間、そして暗闇の中である。早々に『ピルンの草』を見つける事が出来たのであれば即座に退散するつもりの弓人であったが、その目的の物が見つからない事と、彼らの巣を襲う事で得られる戦利品への淡い期待により帰るつもりが無くなっているのも事実である。


弓人はそのオーク達を追う。当然彼らの巣で盗賊行為を行う為であるが。


それから20分後。


(うわ、なんか臭いがキツくなってきたな。嗅覚を落とすか。)


まるでセンサーの電源の様に言う弓人。今はそれが不完全ながら出来てしまうのだから仕方がない。


人間並みの嗅覚に戻った弓人は巣に戻ったオークを観察する。巣と言っても気が比較的少ない開けた空間にこちらも雑多に物が転がっているだけである。先程壊滅させたゴブリンの巣より圧倒的に物資は多そうであるが。


(ふぅ、こっちには御遺体は無さそうだな..........千切れた人間サイズ(・・・・・)の衣服はあるが.........。)


ここにはそういったものは無い様である。オーク達は思い思いの場所に腰を下ろした。そして寝転がる者、散乱している物を漁る者、全員が自分の思う様に行動し始めた。それを注意深く観察する弓人は、一体だけ動かない個体を見つける。


(あいつは、周りを見ているな。この群れのリーダーか何かか?)


考えつつも何故か群れの方へ歩いて行く弓人。そして


(スパッ)


流れる様な動きだった。手にナイフを持ち、音のしない跳躍で3メートルもある巨体の首までたどり着き、通り過ぎ様にその命を襲ったのである。しかし、


「グピ?グププ、ガ」


そのリーダーらしきオークは座ったまま、未だ周囲を観察している。それでも弓人は不思議に思わずナイフを進める。


(スッ)(スパッ)(スパッ)(シッ)


寝る者、何かを探す者、言葉は分からないが談笑する者。皆一様に首にナイフを一閃された。そんな彼らも自分の命が死神の鎌の上に乗った事を知らない。そして遂に、


「さて皆さん。こんばんは、そしてさようなら。」


弓人が気配を全開にし、嘲笑しながら言葉を発する。それに反応したのだろう、オーク達は全身の筋肉に力を入れ、こちらに襲い掛かかって、


ブシッ

ブシュゥゥウウウブブシュゥウウ


彼らの首筋から(おびただ)しい量の赤い液体が噴き出す。彼らのその命の液体は体中に力を入れたことで、弓人が綺麗に一閃した傷口の均衡を崩してしまったのである。この時冷静なまま弓人が去るまで動かなかった個体は、もしかしたら助かったのであろう。傷口が塞がるまで安静にしていればよかったのだから。


しかし彼らのとった当然の行動は、その命を完全に終わらせてしまった。これは覆せない結果であり、また回避は極めて困難であっただろう。


(うっ、血も臭いとか、次は考えて始末しないとな。しっかし、)


そう、弓人はここで思ったことがあった。今までのガーデンウルフなど多くの魔物を討伐してきたが、それにしても何も感じない事(・・・・・・)に。


(やはり精神が変化しているのか?記憶は完全で性格も一応俺には近いが。)


魂の存在をその身で感じ、それらは伝説級であったことを知った今、弓人が完全に弓人であるとは言い難い。しかし今現在それを証明する術は無く、ただ自分の中の魂に影響を受けている、という推測だけが出来る状態だ。


(まぁこれはリーザの力も借りて、あとはドリーから知識を吸い上げるだけでいいか。力の代償がこの程度であれば、とてつもなく割が良いしな。)


事実、弓人の魂やそれに付随するであろう意識はこちらの世界へ(いざな)われてしまった。弓人の存在がこの世で生きていくためには、それこそ、その力で“生き抜く”しか方法は無いのである。


(ふぅ、とりあえず、戦利品を漁るか。)


弓人は一旦考察をやめ、オークの死体が散らばる空間を見やる。その中でもとから目星をつけていた場所へ、そこには


バサッ


布を剥ぐと、そこには幅、奥行き、高さがそれぞれ100、80、50センチメートル程の豪華に装飾された、あからさまな宝箱があった。しかし、


(鍵か.......オークを漁るのもその辺を探すのも嫌だな。ならば、)


ここへ近づく時に何かを見つけていた弓人。宝箱から少し離れて何かを取ってくる。小さなフックの様なそれはきたない割には丈夫そうで、


グッ......バキッ


弓人はそれを宝箱の鍵穴に押し込み、手首の力だけで回した。すると中から何かが(ひしゃ)げて壊れる音がした。そして、


ガパァ


何事も無かったように宝箱を開けてしまった弓人。その鍵の部分は見るも無残、引き裂かれる様に破壊されていた。弓人は早速宝箱を漁り始める。


(?中身は綺麗だな。もしかしたら、これごと運んでいた時に襲われたのか?)


宝箱の中はオークが使っていたとは到底思えない程に綺麗で整頓されていた。


しかい今回も必要最低限の弓人に有用そうな物しか持っていかない。たまに例外があるが。今回の戦利品は以下の様になった。


頑丈なナイフ×2、魔法が付与されている腕輪×2、前よりも濃い赤い透明な液体の入った小瓶2つ、そして、


(ベルトに付けるポーチ?中身は、ん?んんんん!?)


弓人はその中身を見て、それから手を突っ込んで目を見開く、


(これは、いや、早すぎるぞ、早すぎる。おいおい、スタートダッシュは危ないって、身を以って体験しただろうが。はぁ、やってしまったぞ。)


弓人は森の中で一人唸る。一体何を見つけてしまったかというと、


(これ、所謂(いわゆる)魔法の袋だよな。中で手をかき回してもどこにも当たらない。収納する能力が見た目と全く一致してないな。)


そう、弓人が手にしたのは、内部の空間が拡張された道具袋。小さいポーチに多くの物資が入るという優れ物である。状況だけ聞けば良い物を手に入れて弓人は喜ぶべきところだろう。しかし、こういったアイテムはもう少し時間が経ってから入手する事が定石だと考えている弓人はここで思い悩む。


(置いて行くと選択肢は全く無いが、後で面倒な事にならなければいいんだが。)


この宝箱の持ち主が不明な状態で中身を堂々と所持するのは危険と思った弓人。しかしよく考えてみると、


(まぁ、マント?ローブ?でも買って、その中に隠して歩けばいいか。)


初めから決まっていたものの、ポーチの中に追加で戦利品を入れていく弓人。追加された物は以下の通りである。


短めの剣1本、前よりも濃い赤い透明な液体の入った小瓶4つ、宝飾の施された短剣1本、宝石十数点、そして書類が80枚。


それ以外は箱の中に残しておいた。


(こんなもんか。それにしても宝箱?いや金庫替わりか、にしては雑多に物が詰まっていたな。.........って、あれ?俺って何しに来たんだっけ?.........ああそうだ、草!草だ!。)


お宝探しに夢中になっていた弓人はようやく本来の目的を思い出す。某商会長の声はもう聞こえてすら来ない。


弓人は用が済んだとここを後にする。自分がつくり出した惨状はそのままに。


(多分他の魔物とかが食べてくれるだろう。朝には冒険者も........来る、絶対来る。)


完全に他人もとい他魔物頼りな弓人はさらに森の奥へと進む。


深い森はまだまだ続きそうである。






―――――榊 弓人―――――


服装:不明

武具:弓×1、ナイフ×2、仕込みナイフ×7

防具:革の軽装(仮称)

装備:魔法のポーチ(仮称)、矢のホルダー×2、リュック×1

金銭:19,757,850

持ち物:ロープ、糸、体力回復ポーション(?)6つ、発光するアクセサリー、ライター、手紙1通、針20本、指輪4つ、手のひらサイズの魔道具照明1つ、魔法が付与されている腕輪2つ、半透明の石、短めの剣1本、宝飾の施された短剣1本、宝石十数点、書類80枚


――――――――――――――


表記は今後“多量”に増えます。




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