表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Desperate Girls  作者: 白川脩
65/79

第65話


第65話

"危険区域へ"


「有紀奈さん。私達、先に行ってて良いっすか?」


突拍子もなくそう言ったのは結衣。


「…どうして?」


「暇なんです」


「………」


結衣の後ろには、玲奈、亜莉紗、楓、凛の姿も見えた。


止めても無駄だと判断した有紀奈は、渋々と言った様子で首を縦に振る。


「よし、行くぞ皆の衆!」


「待ちなさい」


意気揚々と歩きだそうとした結衣を、明美が止めた。


「ほら」


結衣に何かを投げ渡す明美。


それは、結衣が使っているリボルバーの弾薬だった。


「え、何であんの…?」


「暇だったから、取りに行ってたのよ」


「どこに?」


「企業秘密」


「あっ…ふーん…」


深くは訊かずに、素直に弾薬をしまう結衣。


「ま、感謝しとくわ」


「後払いで結構よ」


「前言撤回」


5人は建物を出て、地下へと向かった。



「ねぇ、どうやって地下に行くつもりなの?」


先頭を歩いている結衣に、凛が話し掛ける。


「適当にマンホール開けて、適当に行くつもりだよ」


「適当ね…」


すぐにマンホールを見つけた一同は、5人で円になってそれを見下ろした。


「さて、どうやって開けるかな…」


「…結衣姉、考えてなかったの?」


「宮城、ランチャーや」


「冗談は止めてくださいよ…」


当然、一同の中に道具を持っている人物は居ない。


話し合いの末、最終的に決まった方法は…


「じゃあよろしく!」


「(本当にやるのね…)」


破壊だった。


凛が発射したグレネードによって、粉々になるマンホール。


それどころか、辺りの地面まで悲惨な事になった。


それを見て、苦笑する凛。


「…穴が広がってない?」


「大丈夫大丈夫。平気平気」


先陣を切って地下に入っていった結衣に続き、他の4人もハシゴに足を掛けて下りていった。



地下下水道…


「臭いですね…。これは臭い…」


地下の異臭を、改めて嫌悪する結衣。


「おい、来るで」


「え?」


楓の言葉を聞いた一同が耳を澄ましてみると、何かがこちらに走ってくる足音が聞こえた。


「早い…!」


足音が聞こえてくる方向に、銃を構える凛。


すぐに、4体の暴走状態の患者が姿を現した。


同時に、それぞれ発砲を始める玲奈以外の4人。


襲い掛かってきた患者は動きが素早くなっている暴走状態であったが、距離にかなり余裕があったので、一同は難なく撃破する事ができた。


「余裕だね」


得意満面の亜莉紗。


しかし、楓が銃を下ろしながら、こんな事を呟いた。


「…暗いな」


「?」


結衣が楓を見る。


「前をよう見てみぃ。暗くて何も見えへんやないか」


一同が今居る場所はマンホールから差し込んでいる日の光によって視界が確保できているが、楓が指差している前方は、言葉通りの暗闇であった。


「凛のフラッシュライトがあるから大丈夫っしょ。それに、聴覚だって使えるし」


「そりゃわかっとるがな。ウチが言いたいんは…」


「油断するな…ってね」


「…行くで」


一同は気を引き締めて、目の前の暗闇に足を踏み入れた。



その頃…


拠点のビルにて、亜莉栖を本部に送っている優子を待つ有紀奈達。


5分程が経過した所で、明美が2つの人影を見つけた。


「?」


念の為、銃を取り出しておき、そちらに歩み寄っていく。


すると、こそこそ話が聞こえてきた。


「ほ、ほら…!やっぱり気付かれたよ…!」


「大丈夫。気付いてないハズ」


「気付いたからこっち来たんでしょ…!?」


「うっさい」


聞き覚えのある声を聞き、溜め息を吐く明美。


「…気付いているのだけれど」


「!?」


「…大人しく出てきなさい」


しばらくして、観念したように出てきたのは、2人の少女。


「えへへ…」


「………」


照れ臭そうにしている晴香と、いつも通り無愛想な風香だった。


「なっ…!?あなた達…!」


2人に気付いた有紀奈が、慌てた様子で駆けつける。


「ごめんなさい…来ちゃいました…」


「ど、どうやって?」


「優子さんにお願いして、乗っけてもらいました…あははは…」


「(あいつ…後で折檻ね…)」


有紀奈は2人を帰そうと考えなかったワケではないが、流石に3回目の往復は優子に申し訳ないと思い、言葉に出すまでには至らなかった。


「…わかったわ。その代わり、覚悟はしときなさいよ?」


「はい!」


そこに、神崎姉妹の2人もやってくる。


「あら、私に会いたくなっちゃったの?風香ちゃん」


「うざい」


「相変わらずねぇ…。でもそういうのでゾクッと来る人も居るから、私は良いと思うわよ」


「………」


そんな妹に対して、姉の葵は真面目な様子だった。


「よく来る気になったわね。怖くないの?」


「うん」


即答した風香に、少し驚く葵。


「へぇ…。死ぬかもしれないのに?」


「死なないよ」


「うふふ…。なら良いわ。くれぐれも、無茶はしないようにね」


「…わかってるよ。そんな事」


するとそこで、トラックのエンジン音が玄関の所で止まり、くたびれた様子の優子が一同の元に戻ってきた。


「勘弁してよ…」


「…彼女、どうだった?」


有紀奈が、亜莉栖の事を訊く。


「ずっと泣いてたわ。話し掛けたけど、何にも答えてくれなかった」


「そう…」


「でも、美咲ちゃんと瑞希ちゃんに面倒見ててくれって言っておいたから、大丈夫なハズよ」


「あの2人、何か言ってましたか…?」


晴香がそう訊くと、優子は思い出したようにこう言った。


「そうそう、伝言があるわ。2人からね」


「伝言?」


「瑞希ちゃんからは、"絶対無事に帰ってきてください。お気をつけて"」


「美咲は…?」


「"このツインテール野郎許さんぞ。帰ってきたら覚えとけ"だそうよ」


「………」


顔を見なくても、美咲が怒っているという事は、十分に伝わった。


「さてと…。そろそろ行きましょうか。みんな、準備は良いわね?」


一同を見回す有紀奈。


「あれ?…減ってない?」


優子はそこで、結衣達が居ない事に気付いた。


「先に行ったわ。退屈だから、と言ってね」


「た、退屈だから…?」


「えぇ。じっとしてるのが嫌いなんでしょ。恐らくね」


「へぇ…」


既に準備を終えている一同は、すぐに建物を出て地下に向かう。


そして、無残に破壊されたマンホールを発見し、一同は揃って苦笑を浮かべた。


有紀奈が中を覗き込む。


「ここから入ったのね…」


「暗いわね…。大丈夫かしら…」


優子が隣で同じように覗き込みながら、そう呟いた。


「虎穴に入らずんば虎児を得ず…。有紀奈、この意味分かる?」


「…え?」


突然やってきた茜の話を聞いて、きょとんとする有紀奈。


「つまり、ちょっと危険な女の子の方が魅力的って事ね」


「いや、大分履き違えてるわよそれ…」


「そして、危険を冒さなければ美少女はゲットできないわ!」


「…は?」


茜は意味不明な事を次々と喋った後、突然マンホールの穴に飛び降りた。


更に、明美、恭子、葵、風香が続くように飛び降りる。


残った有紀奈、優子、晴香の3人は、呆然とした様子でお互いの顔を見合った後、遅れて飛び降りた。



「薬莢…。楓ちゃんの物みたいね」


「結衣ちゃんの物もあるわ。早速交戦したらしいわね」


早々に、先に出発したチームの戦闘の跡を見つける、茜と葵。


しかし、辺りに一同の姿は見当たらなかった。


「もう先に進んだらしいわね。…さて、どっちに行こうかしら」


左右を交互に見て、進む道を選ぶ有紀奈。


歩き出したのは、右の道だった。


「どうしてそっちなの?」


優子が訊ねる。


「そっちの道には、患者の死体があるじゃない。つまり、みんなはそっちに進んだ…って事よ」


「なるほど…」


優子も歩き出す。


すると…


「待って」


明美が2人を呼び止めた。


「?」


有紀奈は顔だけ向けて、明美を見る。


「手分けをしましょう」


「手分け?」


「えぇ。分かれ道は当然ここだけじゃないハズ。となれば、いくつかのチームに分かれて行動した方が効率は良いと思うわ」


「確かに…。それじゃあ、そうしましょう」


明美の提案に賛成した一同は、晴香、明美、優子、葵のチームと、風香、茜、有紀奈、恭子のチームに分かれた。


「情報交換はどうするの?」


葵の質問に、有紀奈が答える。


「そうね…。それじゃあ、一旦ここに戻ってきましょう。時間は…3時間後の午後7時。その時間になったら、ここに来て頂戴。その時に、調査の報告をするわよ。良いわね?」


一同は有紀奈の話に頷いて、それぞれの方向へと歩き始めた。


第65話 終




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ