表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Desperate Girls  作者: 白川脩
45/79

第45話


第45話

"狙撃の適任者"


「結衣ちゃん!患者をお願い!」


「了解!」


マンホールを持ち上げて穴を塞いでいる間、結衣に周りの患者を任せる優子。


そこに、イヴも援護にやってきた。


「お、こりゃ頼もしいね」


当然ではあるが、イヴは何も言わない。


しかし、どことなく嬉しそうに見えた。


「これでよし…。次行くわよ!」


マンホールを塞ぎ終えるなり、すぐにもう1つのマンホールへと走る優子。


「よし、行くぞイヴ!」


結衣の言葉が通じたのかはわからないが、イヴは結衣と共に走り出した。


最後の1つは最も患者が這い出てきたらしく、辿り着く事すらも困難だった。


「多いわね…!」


思わず口に出す優子。


しかし、丁度やってきた凛達3人と合流した事により、戦況は一変した。


「優子さん!あっちは終わりました!」


「ありがとう…って、看板を置いたの…?」


遠くに見える凛と亜莉紗が置いた看板を見て、優子は苦笑する。


「蓋が無かったので…。…あれ?こっちはあるんですか?」


「えぇ…。そっちには無くて、こっちにはあるのね…」


「患者の仕業じゃないですか?ほら…」


玲奈が指差した先には、不自然な場所にマンホールの蓋が転がっていた。


「本当に知能があるんですね…」


「困ったものね…」


亜莉紗と優子はそう言って、思わず溜め息を吐いた。


「…さてと、手分けをしましょうか。亜莉紗ちゃんと美咲ちゃんは、瑞希ちゃん達の事をお願い。凛ちゃん、玲奈ちゃんは、私とマンホールを塞ぎに行くわよ」


優子の指示を聞いて、それぞれ分かれる一同。


マンホールを塞ぐチームは、ひとまず結衣達の元へと向かった。


「結衣ちゃん!大丈夫!?」


「勿論です!…でも」


言葉を切って、正面を見渡す結衣。


「流石に私と狼1匹だけじゃ、この数は無理っすね…」


「ふふ、わかってるわよ。…さぁみんな、正面突破よ!」


優子の号令と共に、一同は武器を構えて突撃した。



「あの数を相手にするんですか…!?」


そんな一同を見て、驚愕する美咲。


「あのメンバーなら楽勝でしょ。多分、結衣あたりは遊び始めると思うよ?」


亜莉紗の言葉を聞いて、美咲は苦笑した。


「上条さん!篠原さん!こっちです!」


亜莉栖と共に物陰に避難している瑞希が、2人に呼び掛ける。


その隣には、晴香の姿もあった。


「あれ?ここには患者が居ないんだね」


辺りを見渡して、患者が1体すら居ない事に気付く亜莉紗。


「さっきからこんな感じです。ほとんどの患者が、マンホールの近くに集まってるみたいで…」


晴香はどうやら、嫌な予感を感じているようであった。


「もしかしたら、リーダーが居るのかも…」


晴香の話を聞いて、美咲が呟く。


すると、亜莉紗が辺りをきょろきょろと見回しながら、こう言った。


「リーダーか…。よし、分かれて探そう!」


移動しようとしたその時、一同の背後から、大きな地響きが鳴り響く。


「う、嘘でしょ…?」


ゆっくりと振り返って、ひきつった笑みを浮かべる美咲。


そこには、巨大生物が2体居た。


「下がって…早く…!」


亜莉紗が後退りをしながら、一同に呼び掛ける。


しかし、その場を離れようとした瞬間、巨大生物が雄叫びを上げて、一同を竦ませた。


驚きと恐怖で、動けなくなる一同。


「や、やばい…!」


亜莉紗がそう呟いたのと同時に、巨大生物はゆっくりと歩き始める。


「…なーんてね」


その時、突然巨大生物の足元で、何かが爆発した。


巨大生物は2体共爆発に巻き込まれ、壊れた人形のようにボロボロになって吹っ飛ぶ。


それを見た一同は呆然としていたが、その爆発が誰の物なのかはわかっていた。


「い、いつの間に仕掛けたんですか…?」


瑞希の質問を聞いて、亜莉紗は得意気な笑みを浮かべながら答える。


「さっきだよ?」


「…って事は、奴らが来る事をわかっていて仕掛けたって事ですか?」


「知らなかったよ?」


「え…?」


「勘で仕掛けたの。何となく…ね」


それを聞いた一同は、彼女が尋常ではない環境で生きているという事を改めて知った。


まだ絶命には至っていない巨大生物が立ち上がったのと同時に、結衣と玲奈の2人が駆けつけてくる。


「呼ばれて飛び出て~」


「………」


「言えよ!」


「嫌だ」


2人は到着するなり、巨大生物の元へと突っ込んでいった。


遅れて、凛もやってくる。


「亜莉紗、ここは私達に任せて。優子さん達の支援をお願い」


「了解。気を付けてね!」


「…あんたもね」


一同はそこで分かれて、それぞれのチームと合流した。



「…これまた大勢で来たわね」


こちらに向かってくる亜莉紗達を見て、苦笑いを浮かべる優子。


「むしろ助かるじゃん。多い方が良いし」


「まぁね…」


風香の言葉に、優子はそのままの表情で頷いた。


「状況はどんな感じですか?」


やってきた亜莉紗が、優子に訊く。


「悪くはないわ。少しずつだけど、数は減ってきてるからね。…でも」


言葉を切って、マンホールがある付近に視線を移す。


「あの辺はまだ多いわね。どうやら残りの全員で、マンホールを死守するみたいよ?」


「となると、やっぱりリーダーが居るって事は間違い無さそうですね」


「多分ね」


一同は着実に1体1体を倒しながら、マンホールの元へと進んでいった。


「あ!居た!」


突然大声を出して、正面を指差す亜莉紗。


その先には、大量の患者の中に1体だけ、他の患者とは様子が異なる患者が居た。


この場に居る全ての患者を指揮している、患者のリーダーである。


「あいつを潰せば良いんだね。ちょっと行ってくる」


目の前の圧倒的な数に怯む様子もなく、走り出す風香。


その時、彼女の腕を、晴香が素早く掴んだ。


「待ちなさい!いつもいつも逃がすと思ったら大間違いよ!」


「あっそう」


風香は平然と振り解いて、再び走り出した。


「あ…」


「あ…じゃないよ!ほら行くよ!」


美咲と晴香も、風香を追って走り出す。


「あーもう…」


優子は大きな溜め息を吐いてから、3人の元へと向かった。


その場に残った亜莉紗と瑞希は、辺りの患者の殲滅に就く。


「瑞希ちゃん。私が地雷を撒くから、それを撃って爆発させてもらえるかな?」


「任せてください!」


そんな中、ただ1人武器を持っていない亜莉栖は、一同の健闘をつまらなさそうに見ていた。


とはいえ、一同を心配する気持ちが全く無いというワケでも無ければ、みんなの役に立ちたいという考えも、少なからずあった。



「風香!待って!」


晴香が風香を止めようとするが、


「待てば待つほど敵は増えるよ」


彼女に立ち止まる様子は無い。


もっとも、彼女が言ってる事は正しかった。


「でも晴香、急いだ方が良いかもよ…」


美咲も口に出す。


「え…?」


「敵が増えるペースが早くなってきてる。…多分、リーダーが仲間を集めてるんじゃないかな」


「嘘でしょ…?」


「本当みたいよ」


2人の元にやってきた優子も、美咲と同じ考えだった。


「どうするんですか…?この数を突破するのは、少し無理がある気がしますよ…?」


晴香が困り果てた様子でそう訊く。


すると、優子は何かを思い付いたように、トラックの元へと足を運んだ。


そして、1丁のスナイパーライフルを持って戻ってくる。


「これで、奴を狙撃しましょう。リーダーが居なくなれば、少しは楽になるハズ」


「優子さんが担当するんですか?」


美咲の質問に、優子は離れて戦っている瑞希を見ながら答えた。


「いえ、彼女が適任よ」



「みーずーきーちゃーん!」


「…はい?」


慌ただしく走ってくる美咲を見て、首を傾げる瑞希。


美咲は到着するなり、瑞希の腕を掴んで、亜莉紗にこう言った。


「ちょっとこの子借りますね!」


「い、いいけど…」


「よし、行くよ!」


「はわっ!?」


瑞希の腕を掴んだまま、走り出す美咲。


亜莉紗はしばらく呆然としていたが、亜莉栖と2人きりになった事に気付くと、突然気まずさが湧き上がってきた。


「(う…気まずい…)」


「………」


「(こっち見てるッ…!?)」



「し、篠原さん!何なんですか!?」


「いーからいーから!」


訳も分からないまま、連れて行かれる瑞希。


そして優子の元に到着すると、いきなりスナイパーライフルを渡された。


「…す、すみません。状況が全くわからないです」


「簡単よ。ここから、患者のリーダーを狙撃してほしいの」


「わ…私が…?」


瑞希は突然の大役に、当然困惑する。


すると、優子は患者が密集している場所を指差しながら、説明を始めた。


「患者のリーダー、今は見えてるんだけど、いざ狙おうとすると他の患者の陰に隠れてしまうのよ。だから、私達が患者を攪乱するから、その間にリーダーを撃ち抜くの。できるわね?」


「わかりました…。でも、どうして私に…?」


おどおどしている瑞希に、優子は優しく微笑みかける。


「…昨日の実弾演習の成績、あなたは確かにあまり良く無かったけど、1つ、他の誰よりも優れている点があったわ」


「優れている…点…?」


「"初弾の正確さ"よ」


「?」


「多分あなたは、複数の標的を前にしたら、焦っちゃうタイプなんだと思うわ」


瑞希は図星を指されたらしく、恥ずかしそうに顔を赤らめた。


話を続ける優子。


「…でも、標的が1体だけだとしたら、あなたの射撃能力はこの中でも上位の方に位置するわ」


「そんな…」


「本当よ。そこで、初弾の正確さが求められる今回の射撃を、あなたにお願いしたいの。…良いわね?」


瑞希は一瞬迷ったような素振りを見せたが、優子から渡されたスナイパーライフルに視線を落として、こう言った。


「…失敗するかもしれませんよ?」


「大丈夫。チャンスは何度もあるわ」


「…わかりました」


瑞希は返事をした後、スナイパーライフルのスコープを覗いて、標的を確認する。


標的である患者のリーダーはそれに気付いて身を隠したが、瑞希の目はしっかりとその姿を捉えていた。


「チャンスが来たら独断で撃ちます!攪乱をお願いします!」


「ふふ…。行くわよ!みんな!」


銃を構えて、先に患者と戦っている風香の元へと向かう優子、晴香、美咲の3人。


瑞希は一度銃を下ろして深呼吸をした後、再び構えてスコープを覗いた。


第45話 終




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ