酒が出来るまでには
今回はちょっと真面目なお話です
5月9日。
その日の私は、買い出しを引き受けて村へと来ていた。
買い出しの内容は主に食料で、少々の雑貨も含まれている。
同行しているのはレーナ一人で、行き帰りの馬車を操って貰っていた。
現在、私達は買い物を終え、馬車を預けた馬屋に向かっている。
地図にも載らない小さな村だが、東西の要となっているのか、通りの上には旅人や商人の姿がかなり見られた。
「じゃあちょっと待ってて下さい。すぐに出してきますから」
レーナが言って馬屋に入る。
少々の代金を払った後に、隣の厩舎から馬車を出すのだ。
私は馬屋の前に立って、行き交う人を何となく見ていた。
「久しぶりだなイアン。元気にしていたか」
声をかけられたのはそんな時で、そちらに顔を向けた私は、衝撃のあまりに袋を落とした。
オレンジやらリンゴやら、形の丸い食材がこぼれる。
「おいおい、しっかりしろよ」
声をかけてきた男は言って、それらを拾って袋に詰めた。
それからリンゴの一つを奪い、私の目の前で「しゃくり」と食べる。
見た目の年齢は35程。
髪の毛は銀で、肌は褐色だ。
胸元が開いた服を着ているが、その他に目立った特徴は無い。
身長は私とほぼ同等で、顔の作りもそれなりに似ていた。
それもそのはず、その男は、私の父親だったのである。
「どうした?もう随分と会っていないから、親父の顔は忘れたか?それとも逆か?感動のあまり、何も言えなくて固まっちまったか?」
言って、男は「ははは」と笑った。
忘れては居ないし、感動もしていない。
私はただただ驚いていた。
およそ200年前に姿を消して、それ以来一度も会ってはいない。
なのにいきなり姿を現して、平気な顔をして笑っているのだ。
何なんだ、と、思った直後には、少々腹が立って来た。
この男が突然居なくなった事で、私と母はそれなりに苦労をした。
生き甲斐を無くし、笑わなくなり、ついには死んでしまった母に関しては、間違いなくこの男のせいであろう。
そこからは一人で生きて来たので、育てて貰った恩は無い。
ただ、この世に産んで貰うきっかけになったというだけである。
懐かしさなど感じない。
何をしに来たのかと困惑するだけだ。
私に何かが欠けているとしたら、父親に対する信頼だとか、敬意等だろうと自分でも分かる。
とにかく、私はこの男がどちらかと言うと若干嫌いで、しかし、産んで貰った恩があるので、憎んではいないというだけだった。
「怒っているのか…ま、そりゃあそうだな。だがなイアン聞いてくれよ。俺だって好きで消えたんじゃあない。あいつとの契約が切れただけなんだ。それだって実際は10年で切れていた。その後の2年は俺自身の魔力で、なんとか耐えて頑張ってたんだぜ」
言って、食べかけのリンゴを見つめる。
直後には「ほらよ」と返してきたので、私は「いらん」と袋を動かした。
「つめてーなぁ…わざわざ魔界から抜け出してきたのによぉ…お前と会う為だぜ?半分は」
それには興味を持たざるを得ず、「抜け出してきた?」と言葉を返す。
男…父は「あぁ~」と言って、「おっかねぇワンキチ共に追われちまったけどな」と、続けて言って「へへへっ」と笑った。
「ワンキチ?…犬…ケルベロスか!?」
言うと、父は「かもな」とはぐらかす。
だが、彼らと接した私の情報と、父自身が発した言葉が、それらを繋げて肯定していた。
魔界から抜け出し、ケルベロスに追われた。
そして、父はそれを倒し、今まで姿をくらましていた。
それは一体何の為に。
本人が先に言ったように、半分は私と会う為だったのか。
では残りの半分は何だ。
「何考えてんのか知んねぇけどな、この際、んな事ぁどうでも良いんだ。今日はな、ちいっと話がある。15秒で終わる。黙って聞け」
考えていると、父は言って、返事を聞かずに勝手に喋った。
「もう少しすると西の方で、ちっとばかり大きな騒ぎが起こる。お前も色々と聞く事になるだろうが、これには一切関わらなくて良い。関わった所でどうにもならんし、下手すりゃ無駄に死ぬだけだ。今まで通りに生活してろ。言いたい事はそんだけだ」
「全く以て意味が分からんが…」
そう言うと父は「だろうな」と言った。
「それにしても」
と、言葉を続け、私の頭に右手を乗せる。
「デカくなったな…遺伝だなこりゃ」
そして、最後にそう言って、背中を見せて歩いて行った。
「ま、待て!」
と言っても父は止まらず、そのまま人込みに姿を消して行く。
何だったんだ、と、思っていると、厩舎の中から馬車が出て来た。
「お待たせしました~。さ、帰りましょうか」
レーナに言われ、「ああ…」と言う。
人込みの中に目をやって、私は馬車の扉を開いた。
良い機会なので昔話をしよう。
思えば私は自分の事を君にあまり話して居なかった。
照れ臭いというのもあるが、正直、あまり気にしていなかった。
自分自身を見つめ直す為にも、今回はその話をしてみようと思う。
あまり楽しい話では無いので、そこは前もって理解をして欲しい。
一番前の記憶となると、やはりは父が帰った時だろう。
ある日の朝、母が泣いていたので、「どうしたの?」と質問したのだ。
だが、それは無視をされて、母はひたすら泣き続けていた。
それから数日の時が経って、私にも父が居ない事が分かる。
母の元気が無い理由が、それだと分かったのもその時だった。
しばらくしてから私の母は、再び魔術の研究に勤みだした。
私の相手は一切せずに、家の地下に篭ったのである。
母は何も言わなかったが、多分、父をもう一度こちらに呼ぼうとしていたのだろう。
結果はまぁ、御存じの通り、母の希望は叶わなかった。
食事すらろくに摂らなかった母は、その1年後に衰弱死した。
それを死として受け入れるまで、私は救おうとして頑張っていたと思う。
ともあれ、この事で母は死に、私は一人になってしまった。
これからどうやって生きて行けば良いのか。
それを教えてくれたのは本だった。
学校に行って働いて、お金を稼いで食べ物を買いましょう。
そんな感じの絵本であったが、私はそれを素直に信じた。
そして、近くの村に行って、書かれていた通りに行動したのだ。
当時の私は13才程。
今のフェネルとほぼ同じだな。
そう考えるとフェネルの環境は、恵まれているなと羨まざるを得ない。
代わりたいかと聞かれると、性格部分でNOではあるが…
まぁ、とにかく、そんな時に、私は彼らと出会ったのである。
その村の名前はジェイムと言った。
その時点では無かった国だが、現在のラーズ公国の西に位置する小さな村だ。
人口はおよそ600人程。
農林業で生活を支える、のどかで静かな村であった。
私の家はその村の南の山の麓にあり、片道2時間の時をかけて、ある事をする為にここに来ていた。
「あの、すみません。がっこう…っていうのはどこにありますか?」
一人の男性を捕まえて、私は学校の位置を聞いた。
「学校…?って程立派なもんじゃないが、学び舎教室ならあっちにあるよ」
鍬を持った男性は言い、村の西北あたりを指さした。
「にしてもお前さん、見ない顔だな?」
続けたそれには「あー…」と返し、誤魔化すように礼を言う。
それから市場を歩いて抜けて、広場に入って井戸へと寄った。
どうやら少し迷った気がして、もう一度場所を聞こうと思ったのだ。
「ああ、それはあっちだよ」
老婆の一人がそう言って、正しい場所を教えてくれる。
「ありがとうございます」
と、礼を言って、示された方向に早足で歩いた。
見えて来たのは木で作られた、1階建ての四角い家だった。
前には小さな畑があって、背後には小川が見えている。
畑の中には何人かが集まり、大人の男性と何かを話していた。
「(ここががっこうか…)」
と、思った私は、おずおずながらに近付いてみた。
すると、子供の一人に見つかり、「なんだあいつ!」と言われたのである。
「髪の毛の色ヘン!」
「銀だ銀だー!」
「ジジイですかー!?」
子供達が騒ぎ出した。
と言ってもこの時点では3才か4才位しか違わない。
なので私も「うるさい!」等と言えず、その騒ぎには少々怯え気味だった。
そんな中で、一人の女の子が「駄目だよ!そんな事言っちゃあ!」と、他の子を叱ってくれたのだ。
「先生、あいつ入学希望者じゃないですか?俺、行って聞いて来ますね」
これは同年代の男の子の言葉で、許可を貰ってこちらにやってくる。
先程の女の子も彼に続いて、私の方へと近寄って来た。
男の子の髪は薄い金色、少しばかりやんちゃな顔だ。
女の子の髪はオレンジ色で、年の割には胸が大きく、垂れ目が可愛い少女であった。
「よっ、お前、入学希望だろ?この村じゃ見ないけど引っ越してきたのか?」
聞いてきたのは男の子である。
私は「あ、や…その…」と、しどろもどろだったと思う。
「何だよ違うのか?じゃあ何しに来たんだ?散歩か?それともただの迷子か?」
質問攻めにされた私は、おそらく相当困っていたのだろう。
後ろの少女が「ケリー…」と言って、男の子の質問を止めてくれた事に、「ふぅ」と息を吐いたのである。
「ごめんね。ケリーは聞きたがり屋なの。わたしはリノン。あなたのお名前は?」
「い、イアンです」
聞かれた為にそう言うと、男の子、ケリーが「たはっ」と笑う。
「です、って、なんか堅苦しいなお前。同年代なんだから普通に喋れよ!」
そして、肩を叩かれたので、困惑しつつ「あぁ…」と返した。
これが私の少年時代に初めて出来た友人達だった。
手続きを済ませて入学をして、二人の案内で村を歩く。
この事により知人が出来て、色々な事を教えて貰った。
一番の収穫は母が持っていた宝石等が売れるという事で、後日、2人の同伴で訪ねると、かなりの高額で買い取ってくれた。
現在の金額に換算するなら、おそらく30万リーブル程か。
とにかく、宝石はまだまだあったので、それを切り売りして私は生きた。
「お前さ、もしかして一人で住んでんの?親は?ていうか家はどこにあんの?その金一体何に使うの?」
ケリーは確かに聞きたがり屋だった。
だが、その時は子供だった私はそれの全てに素直に答えた。
まだ子供であった為だろう、彼らはあまり驚かなかったが、この時の私は受け入れて貰えたと、純粋に喜んでいたものだった。
それから数か月。
運動会や遠足等、沢山の行事を彼らと過ごした。
ケリーとはもっと仲良くなって、リノンの事は好きになっていた。
だがまぁ、性格とは変わらないもので、私はそれをひた隠しにしていた。
「お前さぁ?リノンの事好きなんじゃねぇの?最近どうも怪しいんだよなぁ?」
そんな事をケリーに言われても、「バカな」と言って知らん顔。
リノンが「そうなの…?」と聞いて来ても、「いやいや…」と誤魔化して首を振っていた。
200年経っても成長していないと思うと、書いていて少し虚しくなるな…
ともあれ、そんな事をしている内に、あっという間に1年が過ぎた。
家に帰れば一人であったが、学校には多くの友達が出来た。
私はきっとそれなりに毎日を楽しんでいたと思う。
だが、それを失う時がついにやってきたのである。
近くの山で椿の蜜を採っていた時の出来事だった。
その日、学校の生徒達は近くの山で蜜を採っていた。
2日後に行われる祭りに備えて、椿のジュースを作る為だ。
「イアン、リノン、聞いてくれ。あいつらと量を競う事になった。勝った方は明後日の祭りで、好きなもんを1個ずつ奢ってもらえる。逆に言えば俺達が負ければ、あいつらになんかを奢るハメになる。てわけでちょっと頑張ろうぜ!」
花畑で地味に集めていると、そんな事をケリーが言ってきた。
「なんでそんな事決めてくるの~?わたし達を巻き込まないでよ~…」
隣で採っていたリノンが言って、ケリーが「わっり」と両手を合わせる。
だが、その顔は1%も反省をしていないものであり、それが分かる私とリノンは「やれやれ…」と言う風に顔を見合わせた。
「とにかくもう決まった事だから、お前らも倍速で頑張ってくれよ!俺も3倍速で頑張るからさ!」
言った後にケリーは走り、人気の少ない場所で屈む。
それから1、5倍位で動き、近くの子供をよそへと散らした。
一方のライバルチームはと言うと、花畑での採取は諦めたようで、誰も居ない林の中で独壇場を築くらしかった。
「イアンはお祭り初めてだよね?他の村からも人が集まるから、結構賑やかな祭りになるんだよ」
蜜を採りつつリノンが喋る。
先の言葉に「うん」と言い、続けた言葉に「そうなんだ」と返した。
「ほら、手が止まってる」
「あ、ご、ごめん」
注意されて両手を動かす。
どちらかと言うと私は昔から、尻に敷かれるタイプであったらしい。
「祭り、皆で回ろうね。わたしの造ったジュースも飲んでね?」
その言葉にも「うん」と頷く。
正直、「皆か…」と思いはしたが、私にはそれでも十分だった。
下手な事を言えば関係が壊れるし、本人から聞いた訳では無いが、ケリーもまたリノンの事を好きだと私は察して居たのだ。
後から現れた者がしゃしゃり出て、彼らの関係を壊してはならない。
恋愛に順番等無いとは思うが、この時の私はそう考えて、リノンをケリーに譲ろうとしていた。
今にして思えばそれは多分、ケリーと奪い合って負ける事への、予防線であったように思えてならない。
関係云々はただの言い訳で、ケリーに負ける事が怖かっただけ。
リノンの気持ちも聞いて居ないのだから、自分本位のとんでもない考えだ。
まぁ、当時の私は本当に、実際に子供であったのだから、この点はあまり責めないで欲しい。
さて、それから1時間か、2時間位が経ったと思う。
引率の先生が「そろそろ帰るぞ~」と言い、子供達を近くに集めた。
しかし、先生は数を数えて「3人足りないぞ?」と言ったのである。
思い当たるのは林に行った連中で、私はその事を先生に話した。
「ったくもう困った奴らだな…皆はここで待って居るように」
聞いた先生はそう言って、林の中へと歩いて行った。
「おっ、結構集まってんな?こりゃ勝ちはもらいじゃねぇ~?」
私が持った桶を見て、「にやにや」しながらケリーが言った。
入っている蜜は3分の1弱。
それでも割と頑張った方だ。
「リノンは倍だぞ。これで勝ちなら、それを含めたら圧勝じゃないか?」
「マジか!?」
私に聞いて、リノンの桶を見る。
そして「ウヒョォ!」と驚いた後に、「圧勝だこりゃ!」と笑いかけて来た。
林から誰かが飛び出したのはその時。
3人の内の2人の子供だ。
「逃げろォ!熊だ!熊が出たァ!!」
二人の内の一人が叫び、なりふり構わず村へと走る。
「熊だって!?」
「いやああ!!」
直後には他の子供達も逃げ始め、花畑の上に桶が転がった。
それから数秒遅れた後に、林の中から先生が飛び出した。
頭と腕は血まみれで、腕には子供を抱えていた。
「何をしているんだ!早く逃げなさい!」
言うが早いか熊が飛び出して来る。
四足になっての全力疾走だ。
一体何をしたかは不明だが、相当頭に来ているらしい。
「やっべぇ!逃げるぞリノン!!」
リノンの手を取りケリーが走り出す。
「イアン!」
リノンは右手を伸ばしてくれたが、私の右手は空を切った。
「逃げるんだ!ほら!早く!!」
通り過ぎ様に先生が言い、私もここでようやく走り出す。
熊との距離はおよそ10m。
それは「ぐんぐん」縮まっていた。
「いたあいっ!!」
そんな時、前方集団の子供の内の一人がこけた。
友達なのだろう女の子が止まるが、背後の熊を見てすぐに逃げ出す。
残された女の子は「わぁああん!」と泣き出し、それを見たリノンがケリーから離れた。
「リノン!」
ケリーが叫び、その場に止まる。
追い付いた私がリノンと合流し、二人がかりで女の子を起こした。
「走りなさい!早く!」
先生が言って走り去る。
熊はもう、すぐそこまで来ている。
「リノンはこの子と逃げてくれ!ここは僕が…」
そんな事を言ったと思うが、リノンは恐怖で動けないようだった。
一緒に居る女の子も涙を流して硬直している。
ケリーは何か迷っているようで、逃げも寄りもせずそのままの場所に居た。
このままだと全員が死ぬ。
そう思った私は石を拾って、ダメ元でそれを熊に投げつけた。
「グワアアオゥ!!」
顔に当たったがダメージは無い。
どうやら更に怒らせたらしく、熊の口からはよだれが垂れた。
「ああああああ!!」
私はもうヤケクソだった。
多分半泣きだったと思う。
そんな様で石を拾い、手当り次第に熊に投げつけた。
「あっちいけよおおおお!!!」
ケリーが石を投げたのはその時。
続け様にリノンが投げて、助けた女の子もそれに続いた。
だが、熊へのダメージはゼロ。
やがては私の眼前に立ち、前脚を振り上げて咆哮を発した。
何を言ったかは覚えていない。
おそらく「はぎゃああ!」的なものだったろう。
とにかく死にたくないという一心で、両手を前に突き出したのだ。
「グワアアオオウ!!?」
直後に、熊が燃え上がった。
毛皮に引火して大事になっている。
熊はしばらく悶えた後に、その場に転げて激しくのたうった。
私達は距離を取り、安全な位置でそれを見守る。
やがて、熊は動かなくなり、炎の爆ぜる音だけが残された。
「ど、どうなったんだ…?」
呟くと、リノンが私の名を呼んだ。
「あなた今、何をしたの…?」
振り向くと逆に質問してくる。
ケリーもまた怪訝な顔で、私の事を「じっ」と見ていた。
「まほーだね!すごいよイアン兄ちゃん!」
と、女の子が言った事で、私は「まさか」と両手を見つめた。
「そうか…お前半魔って言ってたよな…こんな事もそりゃ出来るよな…」
ケリーが言って、一歩を下がる。
リノンは下がりはしなかったが、不安な顔でこちらを見ていた。
「いや…その…僕は別に…」
皆が無事で良かったと、そんな事が言いたかった。
だが、二人の顔を見ると、そんな事は言えなくなっていた。
「とにかく帰ろうぜ…先生達も心配するしな」
ケリーが言って歩き出す。
それには遠慮がちにリノンが続いた。
唯一、好意的な女の子を連れ、私は二人と離れて歩いた。
山を下り、別れるまでの間、私と彼らは何も話さなかった。
その事件からケリーとリノンとは、以前のようには話さなくなった。
全く話さないと言う訳では無いが、どうにも話が続かないのだ。
自分が何か悪い事をしたのかと凹む時期も一応あった。
だが、助けた女の子…シェリーと言うのだが、この子が好意的に付き合ってくれたので、私はそこに救われていた。
1年が経ち、2年が経った頃、リノンが私に話しかけて来た。
「大切な事なの。勝手だと分かるけど、少しだけ話を聞いてくれないかな?」
この時には私も自虐的になっており、自分から彼らと遠ざかっていた。
リノンはそれが分かっているので、そういう言い方をしたのだと思う。
私の返答は「ああ…」というもの。
大体この辺りで今の人格の基礎が成形されていたようだ。
「ありがとう…じゃあ、あなたの家に行って良い?ケリーにはちょっと聞かれたく無くて…」
何やら深い話のようなので、私は「構わんよ」とリノンに言った。
「ごめんね」
リノンが言って、不器用に微笑む。
「いや…」
何年ぶりかに見た笑顔は、微笑みでも私には眩しいものだった。
学校を出て、通りを歩き、買い物をしてから我が家に向かう。
「知っていると思うが2時間はかかるぞ?親に言わなくて大丈夫なのか?」
片道2時間の距離であるので、リノンには先に警告しておく。
リノンは「うん」と頷いた後に、「大丈夫」と言って村の方を見た。
何かあるのか、と道を見たが、そこには特に何も無い。
「いこ」
と言われたので、視線を戻し、我が家への道を歩き出した。
「もうあれから2年が経つんだね…」
それには一応「ああ」と返す。
早いものだなと思いはするが、孤独を感じる時間は長かった。
もし、シェリーが居なかったなら、私はこの村から去っていたかもしれない。
リノンはそんな事とは知らないだろうが、別にわざわざ言う必要も無かった。
「わたしはね。謝りたかった。イアンにはずっと謝りたかったの」
そんな言葉に足を止める。
「駄目、ごめん、歩き続けて。顔見ちゃったら話せないから」
だが、リノンがそう言ったので、再び足を動かした。
「子供だったから良く分からなくて…皆、イアンの事魔物って言ってたから…言い訳にならないけど信じちゃった。いつかあいつは本性を出す。熊を燃やしたように村も燃やすって。バカだからわたし信じちゃった…」
どうやら泣いているらしい。
男としては辛い所だが、「気にするな」と一言言って、注文通りに歩き続けた。
「でもイアンはそんな事しないよね。良く考えれば分かる事だったのに…だからごめんね…わたし達を許して。前みたいにはなれないかもだけど、前みたいになれる為の努力はさせて…?」
それにも一応「ああ」と言う。
わたし「達」と言う点には疑問を持つが、今、そこを攻めるのは私には出来ない事であった。
「それで、大切な話というのは?」
空気を変える為にそう聞くと、リノンは「うん…」とまずは言った。
「それは家に着いてから。誰かに聞かれたら恥ずかしいし…」
フラグ来た!?
と、私は思った。
地獄から一転天国である。
悪い事があれば良い事もある。
世の中実にうまくできている。
「そうか、分かった」
と、はつらつとして言い、足取り軽く我が家に向かう。
「ちょっと早い!早いよイアン!」
呼び止められてようやく気付き、100mは離れたリノンを見つけた。
「あ、いや、悪かった…」
謝るとリノンは笑った。
数年ぶりの本当の笑顔だ。
出会った頃を思い出し、私は胸を熱くする。
別の道もあったかもな、と、頑なだった自分を恥じる。
そして、ケリーがどうであろうと、こちらから接して行く事を決めた。
それから2時間、色々と話し、私達はようやく我が家に辿り着く。
太陽がだいぶ沈んでいたので、「もしかして泊まりもありかなコレは?」と、片付けをしながら妄想にふけった。
「もう大丈夫。それでも汚いが…まぁ、遠慮せずに入ってくれ」
片付けを終えてリノンを招く。
リノンは「お邪魔します」と言って、「きょろきょろ」しながら後ろについてきた。
「そう言えば来るのは初めてだったね。独特のセンスが光ってるよ~」
吊るしたカボチャやウサギの耳等、母の遺した飾りつけを見て楽しそうにリノンが言った。
「思えばそうか。まぁ、遠いからな」
それにはとりあえずそう返し、2階へ続く階段を上がる。
何かを企んでいるという訳でなく、私の部屋が二階にある為で、この家で唯一マトモな場所が私の部屋だけだったからだ。
「そうだよね…遠いよね…昔からイアンはそうだったなぁ」
その言葉には「は?」と言う。
リノンは「ううん!」と首を振って、何かを誤魔化しているように見えた。
「意味が分からんな…」
そう言いながら、部屋の前へと辿り着く。
そして、ドアを左手で開けて、「どうぞ」と言って入室を促した。
「お邪魔しま…ってうわ、何もナイ」
それはそうだ。片付けたのだ。
何から何まで片付けたのだ。
怪しいものやらアブないものは、隣の元、父の部屋にある。
故に私の部屋にあるもの、それはベッドとクローゼット。
あとはカラの本棚だけだ。
「逆に怪しいな…こういうの…」
本棚を見つめてリノンが言った。
「いやいや、読むべき本が無くてな…」
それを誤魔化して横を抜け、「どうぞ」と言って着席を勧めた。
座れる場所がベッドだけなので、遠慮をしてからリノンが座る。
私は横に立ったままで、「それで…大切な話とは?」と、期待に溢れた顔で聞いた。
「うん…」
おかしい事にテンションが下がった。
もしかして違うのか…?と、顔を顰める。
「えっとね…その、ね…」
やきもきするとはこういう事だろう。
心の中では両手を震わせ、「は・や・く・い・えー!」と、リノンを急かした。
「ケリーに…」
「ケリーに…?」
テンションが急速に下がるのを感じる。
それどころか嫌な予感すら覚えた。
「ケリーに…付き合ってくれって言われたの…前に一緒に祭りに行ったの。その帰り道で言われちゃった…」
嫌な予感が大的中だ。
全身の力が抜けていく事を、私はまざまざと実感していた。
「それで…その、返答は…?」
かろうじて、そう質問してみる。
「ちょっと待ってって、言って見た」
「なるほど…」
それなら希望はあるか。
いや、希望ってそもそもなんだ。
私はケリーに譲るんじゃなかったのか。
そんな事を直後に思い、滅茶苦茶な表情で背中を向けた。
「イアンはどうしたら良いと思う?ケリーと付き合った方が良いと思う?」
実にきつい質問である。
「いや」とも「ああ」とも言えない事は、長い付き合いで知っているだろうに。
例えば私が「いや」と言えば、リノンは私を選んでくれるのか。
「ああ」と言えば私を切って、ケリーとの付き合いを自分で選ぶのか。
こういう事は男友達に、それも好意を持っている相手には出来れば聞かないで欲しい事だ。
勿論、リノンがそれを知らず、悪意無く聞いて居る事は分かる。
だが、その決断は私には委ねて欲しくは無かった。
「ねぇ、イアン、教えてよ。わたしはどっちに…」
言いかけて、リノンは黙った。
「しまった」という顔をしている。
まさかと思って聞こうとすると、馬の蹄の音が聞こえた。
直後には蹄の音は止まり、我が家の入口が開いた音がする。
「リノンー!リノンー!ここにいるのは分かってるんだ!イアンなんかに誑かされるな!」
聞こえて来たのはケリーの声だった。
おそらく誰かに見られていたのだろう。
「イアン教えて!わたしは本当は…」
そう言った時、ドアが開いた。
「イアン!てめぇえ!!!」
ケリーが入って来て私を殴る。
「何もしていない…」
そう言うが、彼の攻撃は止まらなかった。
「ケリーやめて!やめてよケリー!イアンは本当に何も…」
「うるせえ!!」
怒鳴られたリノンが「ぴたり」と黙る。
「うるさくないよ!」
が、直後に大声を出し、私とケリーを絶句させた。
「ちゃんと聞いてよ…じゃないとわたし、どうして良いか分からなくなるよ…」
「……」
ケリーが黙り、背中を向ける。
「じゃあ聞くが…どういう事なんだ?何でこいつの家に居るんだ?」
そして、顔だけを左に向けて、俯くリノンに答えを求めた。
「イアンに…相談に乗ってもらったの…あなたと付き合って良いのかどうかって」
「なっ…」
そこの時点でケリーは驚いた。
それから「きっ」とこちらに振り向く。
私は口から出た血を拭い、何も言わずに彼を見返した。
「イアンは何も言わなかった。付き合えとも付き合うなとも…そこにあなたがやって来た。それだけの事なの。本当に」
俯いたままでリノンが言って、聞いたケリーが「ほう」と言った。
「だったら反対って訳じゃないんだな?丁度良いからはっきりさせようぜ?俺がリノンと付き合って良いなら、何も言わずに俺達を見送れ。逆に、それが気に食わないなら、リノンを強引にでも引き止めて見せろ」
そして、続けてそう言って、私とリノンを愕然とさせた。
「きゃっ」
直後にはリノンの腕を掴み、殆ど無理矢理に引っ張って歩き出す。
リノンは助けを求めるように、私の事を一瞬だけ見た。
だが、私は一歩も動けず、二人の事を黙って見送った。
いや、正確には腕は動いたが、歩き出す事は出来なかった。
「それがお前の答えだな?リノンも分かったろ。そういう事だ」
ケリーの言葉にリノンが俯く。
「そうでは無い」と、言おうとしたが、どうしても口が開かなかった。
「ほら、皆心配してんだ。さっさと帰るぞ」
ケリーが言って、リノンを押し出す。
リノンはこちらを「ちらり」と見た後に、小走りで階段を降りて行った。
「チャンスはやったんだぜ…これでもな…」
ケリーは最後にそう言って、リノンの後を追って行った。
私はその場にしばらく立ち尽くし、馬の蹄が聞こえなくなった頃、ベッドに顔を埋めて泣いた。
それから学校には行かなくなった。
シェリーが何度か来てくれたようだが、その度に居留守を使って凌いだ。
5回か6回か、或いは7回か、それくらい訪ねて来てくれた彼女もやがては我が家に来なくなった。
それから3年の時が経ち、私は独学で大学に入った。
荷物を纏め、家を後にして、大学に行くついでに村に寄った。
そして、井戸端で話をしていた老婆に2人の事を聞いたのだ。
「あーケリー君とリノンちゃんね。お互い幸せにやってるそうよ。なんでも男の子が生まれるだとかで、ご両親も大喜びさ。で、あんたはどういう関係?」
その言葉には「そうですか…」と言い、私はその足で大学に向かった。
リノンの事を忘れる為に、私は必死で学業に励んだ。
そして、入学から6年後に、何とか医師の資格を得たのだ。
医者の癖に理系が弱く、あまり優秀な生徒では無く、驚きの2留をかました上での、温情からくる資格の授与だった。
「まぁ君は腕はアレだが、人間的には良いものを持っておる。医者には何よりそれが大事じゃ。この先もそれを失わんようにな」
私の師にあたる医者の言葉で、それは今でもはっきりと覚えている。
ともあれ、無事に卒業した私は近くの村で医院を開いた。
ここが、アティアのご先祖様のカチュア・フルエンスが住む事になる村である。
ここからの事はご存知の事で、ここで私は数十年を過ごした。
その中で魔物を何度か助け、今の私が存在する訳だ。
数十年が経った時、私の医院に手紙が届いた。
それは実に懐かしく、一方で辛い手紙でもあった。
ケリーが病の床につき、もうあまり長くないと言うのだ。
私は取るものも取らずに飛び出して、懐かしのジェイムの村へと向かった。
村は随分変わっていたが、大通りはそのままで存在していた。
その為に私は迷う事無く、ケリーとリノンの家へと着けた。
「ああ…イアン…来てくれたのね…あなたは全く変わらないわね…」
出迎えてくれたのはリノンであった。
年相応の姿であったが、その笑顔には昔の面影がある。
後ろに見える小さな女の子の事は、「これは孫よ」と教えてくれた。
「幸せそうで何よりだ。私は未だに1人やもめだよ」
笑わせるつもりでそう言ったのだが、リノンは困った顔をした。
マズイ事を言ったと思い、ひとまず「すまん」とリノンに謝る。
「違うのよ」
リノンが言って首を振る。
直後にはもう一度「違うのよ…」と言って、私の顔を下から見上げた。
何が違うのか、と、疑問していると、女の子が「どうしたの?」と袖を引っ張った。
引っ張られたリノンは「何でも無いのよ」と言って、私を家の奥へと招いた。
「子供は何人?」
「娘と息子一人ずつね。孫は今の所この子だけ」
私が聞いて、リノンが答えた。
女の子は「ハー」と言って、満面の笑顔を私に見せていた。
「5才位か?」
その質問には、女の子が自分で「4才ー!」と間延びした声で答える。
「よくよく見れば似ているな」
と言うと、リノンは「ありがとう」と言って笑った。
玄関から真っ直ぐ歩き、右に曲がってしばらく歩く。
裏庭が見える窓際を行き、直線にあたった部屋の前で止まった。
「ここよ。二人きりで話して来て」
背中を押してリノンが戻る。
「またねー」
女の子もリノンに続き、今来た廊下を戻って行った。
「ゴホン」と咳をしてドアをノックする。
「ケリー…私だ。イアン・フォードレードだ」
それから自身の名前を名乗ると、「入ってくれ」と中から声が聞こえた。
ドアを開けると目の前の窓際のベッドにケリーは寝ていた。
太陽の光を横顔に受け、私の顔を「じっ」と見ている。
「随分…老けたな…」
と、一言言うと、「当然だろう」とケリーは言った。
ドアを閉めて中に行き、ベッドの右で立ち止まる。
割と遠くに椅子があったが、面倒なので立ったまま話した。
「遠い所をすまなかったな。最後にどうしても言いたい事があってな」
最後なんて言うな、と、言いたい所だが、私はおそらく二度とは来ない。
ケリーが例えば数年生きても、これが最後になる事は違いない。
だから、私はそこには触れず、「いや」とだけ短く答えを返した。
「俺もな…昔からあいつが好きだった」
返事の直後の言葉がそれだ。
意味が分からず「ん?」と言うが、それに構わずケリーは続けた。
「お前と出会う前からずっとだ。だからどうしても失いたくなかった。お前があの力を俺達に見せた時、これは利用が出来ると思った。お前からリノンを引きはがせると思ったんだ。結果はお前も知っての通り、俺はあいつと結婚できた。だがな、ずっと後悔はしていたよ。俺はクズだ。最低の男だってな…子供や孫に誇れやしない。卑怯者の最低野郎だ…最後の最後にお前を呼んだのは、一言すまないと謝りたかったからだ。許してくれなんて言えっこないが、謝る位はさせて欲しいんだ」
ケリーはそこまでを言った後に、頭を下げて「すまなかった」と謝った。
言われた私は顔を顰め、右手で「ポリポリ」と頭を掻いている。
ケリーを許さないという訳では無く、何と言えば良いのか分からなかったからだ。
「あー…」
やっとの事で糸口を掴み、そう切り出すも頭を上げない。
「例えば私が許すと言ったら、君の人生は幸福と言えるか?」
聞くと、ケリーは「そうだな…」と言う。
「では、私が許さないと言えば、君の人生は不幸になるのか?」
それにはケリーは考えて、「いや…」と言って顔を上げた。
「まぁ、つまりそういう事だ。私の事等気にするな。私はチャンスを貰った上で、それを自ら手放したんだ。悔いる事は何も無い。あれは公平な勝負だった。君は一途にリノンを愛した。子を成し、命のバトンを繋げた。決して卑怯者なんかじゃない、立派な男だと私は思うよ」
返って来た言葉は「ありがとう」だった。
ケリーはそのまましばらく泣いて、その2か月後にこの世を去った。
私がもう一度この村を訪ねたのは、それからおよそ5年後の事だった。
ケリーの息子にあたる人物から、リノンの葬儀の通知が来たのだ。
「母は父を愛していました。ですが、決して言いませんでしたが、あなたの事も愛していたらしいです。これ、母の遺品なんですが、これだけは貰ってくれませんか?もう飲む事は出来ませんが、多分、あなたの元にある事を母は望んでいると思うんです」
ケリーとリノンの息子は言って、私に瓶を差し出してきた。
中には液体が入っているようだが、それが何かはすぐには分からない。
しっかりと栓もされている為に、匂いを嗅ぐ事も出来なかった。
だが、瓶の底にシールが貼ってあり、そこには「イアンへ」と書かれてあった。
「失礼ですがこれは何ですか?」
聞くと、息子は「ジュースです」と言った。
「ジュース?」
と、返すと「そうです」と言い、「椿の蜜で造ったジュースです」と、はっとするような事を言った。
「わたしの造ったジュースも飲んでね?」
数十年前の記憶が蘇る。
私はそれに「うん」と言っていた。
だが、結局約束は果たせず、私はこの村を離れてしまった。
リノンはその約束をずっと信じ、私の為に造って居てくれたのだ。
「すみません、ペンを持ってませんか?何か、先が尖っているものでも良い」
聞くと、息子は「これなら…」と言って、折り畳みのナイフを渡してくれた。
「助かります」
一言を言ってそれを受け、瓶の栓に「ぶすり」と突き刺す。
それから強引に栓を抜き、呷るようにしてジュースを飲んだ。
「ちょ、ちょっとイアンさん!?それはもう腐ってますよ!?」
そんな事は分かっていたが、私は約束を果たしたかった。
味はもう覚えていないが、やたらと涙が出る味だった。
「ありがとうリノン…おいしかったよ…」
全てを飲み終えた私の前で、皆に見送られてリノンは旅立った。
私はこの日我が家に帰り、自分の手で火を点けた。
もう、ここへは帰って来る事が無いと言う、自分に対する意思の表明だ。
そして、その表明通り、私はここには帰らなかった。
20年程をあの村で過ごして、プロウナタウンへとやって来た訳だ。
そこからの事は知っていると思うので、私の昔話はここまでとなる。
私の性格の一端…
というか、殆どこれで全てのようだが、それを知って貰うきっかけになってくれるとありがたい。
え?腐ったジュースを飲んで、その後は大丈夫だったかって?
大丈夫だったさ。
と、言いたい所だが、実際はかなり大丈夫じゃなかった。
下痢と腹痛は来なかったのだが、眩暈と吐き気に襲われたのだ。
それはまぁ所謂ところの二日酔いというものだった。
長年熟成された為に、ジュースはワインになっていたのだ。
私がそれを報告した結果、それはリノン酒と名付けられた。
今でもそれはその地方に存在し、人々の舌を楽しませているらしい。
完成までの成り行きを知るのは、世界でおそらく私だけだろう。
だが、私はこの事までを世間に公表するつもりは無い。
なぜならば、それは私とリノンと、ケリーの大切な思い出だからだ。
これがイアンの一度目の恋です。
前に言ってた回数の内の一度目となる恋だったんですね。




