表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/81

収支表 No132

 これは私、イアン・フォードレイドの個人的な日記である。

 興味本位で開いた君、悪い事を言うつもりはない。

 今すぐ本を閉じて欲しい。

 基本的には愚痴であるこんなものを読んでみても、君の為にはならないだろう。


 書いた本人が言うのもなんだが、数式のひとつでも覚えた方が、今後の人生に役立つと思う。

 これを見た事は忘れなさい。

 本を閉じて、元に戻し、参考書を探しに本屋に向かうのだ。

 さようなら。

 二度と戻ってくるんじゃないよ。




 ……むむむ。君も困った人だな。

 私の日記等を見ても、決して面白くはないだろうに。

 期待に応えられなかったと言って、玄関に生ゴミを置かんでくれよ?

 それとこれを読み終わった後に、言いふらしたりもしない事。

 私はこれで照れ屋でね。

 こんな日記を書いている事自体、助手にも秘密にしているくらいだ。

 もしも約束を破ったりしたら、君の家の玄関に腐った魚を毎日置くぞ?

 どうかな?

 これを守ってくれるだろうか?



 ……続きを読んでいる、という事は守れるという事だと判断しよう。

 ならばもう仕方がないな。

 基本的には愚痴のような、私の日記に付き合っていただこう。


 それでは、まず、自己紹介をしようか。

 先にも少し触れたように、私の名前はイアン・フォードレイドという。

 年齢は二百と少しだったか。人間と魔族のハーフだと言う事で、かなりの長命なのだそうだ。

 父が魔族で、母がそれを召喚した人間の魔女という事だったらしい。


 二人の間でどんなロマンスがあったのかは、あまり想像したくないし、語られた事が一度も無いので、教えてくれと言われても正直分からない。

 二人が憎い訳ではないが、出生を理由にいじめられた事があり、育ちの村からは去らざるを得なかったので、尊敬やら感謝やらの前向きな気持ちは、抱くまでには至らなかった。


 性格は基本、ネガティブで臆病。

 フェネルと言う弟子からは割と腹黒く、小手先の嘘が多いとも言われる。

 日記帖を「収支表」等とカムフラージュして、誤魔化そうとする辺りで否定は出来ないな……

 

 外見はそうだな。

 顔の良し悪しは何とも言えないが、背はかなり高い方だろう。

 数字的に表すのなら百八十五cm程度。

 初めて会った人には大抵「何かスポーツをしていたか?」と、聞かれるので、これには心底うんざりしている。


 髪の色? は、銀色だな。

 死んだ母が言っていたが、父親譲りなんだそうだ。

 住まいはこれを書いた時点では、アーファブル大陸のプロウナタウンという街だ。


 あまり人には好かれていない……と、思うので、街の郊外に一人で住んでいる。

 職業は医者、と、私自身は思っているが、私の周りに居る者達は、密かに私をこう呼んでいる。


 人間、魔物の隔たりなく、両方を診察している魔医者、と。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ