莉緒-たす-可南子-いこぉる-莉可
「私……莉緒が好きなの……」
可南子はそう言うと、突然抱きついてきた。
可南子。青く澄んだ泉を思わせるような大きな瞳。透けるような白い肌は、夕日に照らされほんのりと紅く染まり、わたしの心を高鳴らせた。とても美しかった。誰もが認める、学校一の美少女、可南子の温もりを、今。私は身体全体に感じていた。
「可南子……私も好き」
可南子の温もりを感じながら。私は言った。私の顔は赤く。まるで蛸の様に赤く火照っていた。可南子だって同じだった。その顔が可愛くて。私の心臓がドクンとひときわ大きな音をたてた。それからドキドキと波打つ鼓動。
どのくらい抱き合っていただろう。
どのくらい見つめ合っていただろう。
真っ赤に火照った顔。恥ずかしそうな瞳をゆっくり閉じていく可南子。
唇をゆっくりと優しく重ね合わせる。
可南子は強引に舌を──
「莉緒……恥ずかしい……?」
私は可南子に押し倒され、ベッドに横になっていた。強引に押し倒され、強引に服を脱がされた。下着ですら、脱がされた。だけど、可南子は脱いでいない。そんなの不公平。
「可南子……寒い……」
私たちが横になっていた場所は保健室のベッドの上だった。誰かがきたらどうしよう。戸惑いを隠せない私の顔を可南子は優しく撫でた。
「莉緒の可愛い声……聞かせてね……」
「駄目……絶対に駄目っ……誰かきちゃうよ」
「大丈夫……もう放課後だし。誰も来ないよ」
可南子は優しく言った。
私の身体を優しく撫でた。
くすぐったかった。自然と声がでた。私の上に乗る彼女。私の身体を上から下へと撫でる可南子。
「莉緒の声……すごく可愛い」
「ば……ばか……」
私を撫でる手は温かかった。
可南子の優しい温もりを感じた。
「莉緒……大好きだよ……」
「私も……」
私の言葉を遮るように。可南子は唇をゆっくりと優しく重ね合わせてきた。
「可南子のばか……」
END