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転生AI 〜人工知能(俺)の異世界冒険譚〜  作者: 新井じに
第一章

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第四話 旅の目的

次の日、軽い魔物討伐の依頼を受けた。

俺は魔物の特徴を調べてそれをレイに伝え、そのあとはレイが剣と魔法で魔物をバッタバッタなぎ倒しているのをただ見ているだけだった。

レイは風魔法を得意としている。

近くで見ていると、風の威力が半端ないことがわかった。

逆に魔物が可哀想だ。それにしてもレイって強いなぁ。

でも、俺はただ見ているだけだ。俺もなにか手伝えれば良いんだけど。


今回は街の外れにある山の方で依頼をこなしていたため、街から結構離れている。

それに、もう日も傾いているので、今日は山を降りた先の見晴らしのいい場所で野宿だ。

野宿といっても、俺がスキル『生成』で簡易的なテントを用意できるので、結構快適であったりする。

「やっぱアイトすごいね。こんなことができるAIなんて聞いたことないよ」

だって普通のAIじゃないもん。このくらいできておかないと。


俺のステータスについてだが、魔物討伐依頼を受けたおかげでいつの間にかレベルが2になっていた。

生成のためのエナジー総量は、100から120になっている。

20もエナジーが増えたおかげで、簡易テントが余裕を持って出せるようになった。

流石に家建てるとかはまだ無理だけどね?

いつかマイホームを建てられるような日が来るかな。自分の能力でね。


じゃあ、そろそろ寝まーす。おやすみなさい。


ドドドドドドドドドッ。

えっ、なんか物音がする。なんだ?

物音どころの騒ぎじゃなく、地響きまでしてくる。これはやばいかも。

すぐ外に出て周りを確認。

なんと右から牛みたいな魔物の群れがこっちに向かって走ってくる!

『生成』で壁を作ればギリギリしのげるか⋯?

いや、無理だ。

あまりエナジーも残っていないし、この威力じゃ破壊されて終わる。

レイの魔法でもこの数は捌ききれないだろう。

くそっ、俺にはなにも出来ることがない。

まずはレイと一緒に逃げなきゃ!

「レイ!早く逃げよう!」

「うん、わかってる。あれはホーンブルの群れだよ。あれに突っ込まれたら終わりだぁ!」

結構まずい状況だってさ。

どうすればいいんだ。

レイに魔法で頑張ってもらうしかないのか?

なにか方法はないか。うーん...

あ、いい方法がある!落とし穴を作ろう。

落とし穴を通過したホーンブルが落下して動けなくなれば群れも止まるはず!

『生成』!

一直線に広がった落とし穴に、先頭を走っているホーンブルが落ちていく。

よしっ、成功だ!

「アイトなにそれ!」

「罠を設置したんだよ。これで大丈夫なはず」

「そっかぁ、助かったぁ。ってアイト、あれを見てもそう言える?」

「え?」

後ろを振り返れば落とし穴にハマった仲間を踏み台にしてこちらに向かってくるホーンブルの姿が。

いまのでエナジーも使い切ったし、もう終わりだ...

女神様、あなたにもらった命は一週間たたずして失ってしまいそうです。

って、なんだこれ。

そんなことを考えていたとき、俺達の周りを立方体の形をした青い光が包んだ。

「これは⋯、結界?」

レイのつぶやきによると、これは結界というものらしい。

魔法で結界なんて出せるのか。すげぇな。

いやいや、そこに感心している場合ではなく、この結界はなんだ?

気になる部分はあるが、この結界に俺達は救われたんだから疑いより感謝が先だな。

命を助けてくださりありがとうございました。

「いえいえ、それほどでもありませんよ」

突然上から声がした。なんか返事してるように感じるが気のせいか?

上を見上げると、そこには月に照らされ浮かび上がる一つの影があった。

その影に向かってレイが口を開いた。

「あなたが私達を助けてくれたんですか?」

「ただの気まぐれですよ。ちょうど通りかかったのでね」

「助けてくださり本当にありがとうございました。」

「お安い御用ですよ。」

「あ、申し遅れました。私はレイといいます。こっちはAIのアイトです」

「私はシャーリアといいます」

「あれ?シャーリア?どこかで聞いたような気が...」

「ちょっとすみません。少し気になることがありまして。少し待っていてもらえますか?」

「え?わかりました」

『私の声が聞こえますか?』

うわっ、頭に直接声が響いてくる。えっと、シャーリアさんの声?

『驚かせてすみません。これは念話です。お連れの方に聞かれてはいけないことかもしれなかったので、この形でお願いします』

ね、ねんわ?そんなものがこの世に存在するとは。

『えっと⋯、はい。わかりました』

『単刀直入に聞きます。あなたは人間ですか?』

『なぜ、それを⋯?』

『やはりそうでしたか。私には魂が見えるのです。電子機器のはずなのにそこに人間の魂が宿っている、これには少し興味が湧きましてね』

『そ、そうですか。でも、そんなことがわかるなんてあなたは一体何者なんですか?普通の人ではないことはわかるのですが』

『はは、そうですね。ならば、私の二つ名をお教えしましょうか。世間には、全知の魔神シャーリアと呼ばれています』

えっ、魔神!?魔神って言った!?

もしかしてめちゃ強くてめちゃ偉い人!?

魔神ってもっとゴツくて怖そうなイメージがあったんだけど、この人はそうではない。

纏う雰囲気から聡明さが滲み出ている。まさに賢者と呼ばれるに相応しいほどに。

『魔神さまが私達を救ってくださったのですよね。本当にありがとうございます』

『堅苦しい言い方はやめてくださいな。別にシャーリアと呼んでくれても良いのですよ?』

『そ、そんなことは。あなたは命の恩人ですので』

無礼な態度をとってしまったらと思うと気が気じゃない。

『あなたは礼儀正しく心の清い方なのですね。そんなあなたは導きを受けるのに相応しいと思います』

そんなそんなぁ〜、心が清いだなんて。言われると嬉しいなぁ。って、ん?導き?

『あのー、すみません。導きって何のことでしょうか』

『そうですね。これから少し質問をしましょう。まず、あなたは人間の姿に戻りたいと思ったことはありませんか?』

この質問に答えるのは容易だ。

『あります。もし戻れるなら、人間の姿に戻ってレイの隣を一緒に歩きたいです』

『そうですか。わかりました。少し話をして差し上げましょう』

俺の答えを聞いたとき、魔神さまが初めて笑顔を見せた。

『この大陸には宝玉というものが5つあります。宝玉は、各ダンジョンの最深部にいる主が守っています。ダンジョンはこの世界に5個。世界中のダンジョンを訪れ、主を倒し、宝玉を5つ集め、大陸中央に位置するセイクリッド山脈の中心部の女神像へその宝玉を捧げるのです。そうするとあなたの願いは叶えることが出来ます。このくらいの説明でよろしいでしょうか』

『あの、ダンジョンって何ですか?』

『そうですね。魔物が生み出される場所であり、地下迷宮のようになっているところですね』

俺の予想と一緒だな。

ラノベやアニメを見ていたときの前世の知識が活きてる。

あ、でもさっきの質問は自分で検索すればよかったかな。

わざわざダンジョンのことまで説明してもらっちゃった。すみません。

『色々と情報を教えてくださったりしてありがとうございます!魔神シャーリア様』

俺はずっとレイと肩を並べて歩きたいと思っていた。

それがもし叶うのなら、俺はこの願いを叶えたい。

魔神シャーリア。

偶然の出会いであったが、この出会いに感謝したい。

レイと一緒に決めた旅の目的。

そして、俺自身だけの旅の目的が今、定まったのかもしれない。


『あ、アイトさん。魔法を使えなくて困っていませんか?』

『はい、困っていますけど⋯』 

『これから、貴方に紋章を刻もうと思います。これで魔法を使える体になるでしょう。』

魔法が使えるようになるってこと!?

『ホントですか!?ありがとうございます!』

『では、いきますね。”魂に宿れ。魔力の扉よ。今、開く時”』

ふわっ。

なんか体が熱い。体中を何かが巡る感じがする。

これが、魔力...

『できましたね。これで魔法が使えるようになると思いますよ』

『シャーリア様、ありがとうございます!』

俺も魔法デビューだ。レイの手助けをするぞ!

『ちなみに一つだけ言っておきたいことが』

『なんですか?』

『念話とは相手の思考を読み取る魔法です。ということは?』

今までの思考をすべて読まれていた...?

『そのとおりです。別に私はあなた達の態度なんて気にしていませんから安心してください』

ほんとに全部聞かれてたぁー!

「それでは、私はそろそろお暇しますよ」

念話をやめ、俺達二人に別れを告げたのち、シャーリア様はどこかへ飛んでいってしまった。

魔神さまはお忙しいのだろう。

俺達は月の光に映る後ろ姿を見つめていた。


俺達が念話で話している途中、レイは端でじっとしていた。

空気を読んだのかな。

礼儀正しいとってもいい子だよね。

俺も含めて皆さん見習いましょう。

「ねぇ、アイト。シャーリアさんってあんなにすごい魔術を使えるけど、何者だったの?」

「えっと、魔神シャーリア様だよ」

「魔神シャーリア!?どこかで聞いたことあると思ったら...」

レイがこんなに驚くなんて。そしてこの認知度。

シャーリア様すげぇ...


話が長くなりがちですみません。2話に分けたりすると変になりそうなので少し長くても1話にまとめています。


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