ムーンロケッツ戦 その1 試合開始
予選リーグの最終戦は、ここまで2勝同士の対決だ。
とはいえ、相手チーム、カリフォルニア・ムーンロケッツは強い。昨年はくじ運が悪く決勝トーナメントで早々に負けたので今年は予選リーグから参加しているが、ここの滞在経験者を揃えているしアメリカのプロバスケリーグ経験者もいる強敵だ。実際、2試合を終えて得失点差プラス118点は全グループを見ても圧倒的だ。
ムーンロケッツは予選突破はほぼ確定なので、少なくとも前半は控えの選手が出てくると予想していたが、実際そうなった。主力選手はベンチスタートだ。ぼくらとしては、最初から全力で行くしかない。
ゲーム開始時のジャンパーは、これまでの2戦同様、浅井が担当する。相手は身長が190はありそうなやせ型の若者だ。
ゲーム開始。審判がボールを真上にトス、浅井と相手チームのジャンパーは同時にジャンプ、身長差はあるがここではジャンプ力の差がものをいう。ボールは高い位置でタップされるため、周りのプレイヤーの何人かもジャンプし高い位置にいる。
2人同時にボールを叩いたためボールは誰もいない空間に飛んでいく。方向的には浅井が意図した方向に近かったが、相手チームにボールを奪われてしまう。
相手は速攻を狙うが、シュートを狙ったボールはバックボードにぶつかり跳ね返される。典型的な地球人プレイヤーのシュートだ。月面の重力は地球の1/6。地球の感覚でシュートを打つと、ボールは放物線を描かずまっすぐに飛んで行ってしまう。これは浅井も慣れるまでに時間がかかった。
ボールはバレーボール並みに軽く、更に回転させるとその影響が強く出る。放物線を描くよう打ったシュートは逆回転になりがちで、この場合、ボールが思ったよりまっすぐに遠くまで飛んでいく。なので、リングより低い位置からのシュートは結構難しいのだ。
これでわかったのは、相手の控えの選手はまだここには慣れていないということだ。地球の感覚はそう簡単には抜けないから、次のグループラウンドまでに経験を積ませようということだろう。慣れていないようだから、少なくとも前半はずっと彼らが出場するだろう。
リバウンドを奪った永江から中山にパスが通り、浅井がゴールを決める。先制点はこっちだ。
相手のスローイン後、ボールをキャッチしたプレイヤーがドリブルしながら数歩進んだところで高くジャンプ。他の4人も一斉にジャンプ、ボールはスローインしていたプレイヤーに戻る。スローイン後コートに走りこんでジャンプしており、センターラインを越えたあたりで身長の2倍以上の高さにいて、エンドラインに向かって降下している。
永江はボールをパスしたやつの行方を追う。見ると、着地後スリーポイントラインから中に走り込むところだ。近くにいた味方が気づいてそいつにパスが通らないようジャンプするが、中空層にいる別の敵プレイヤーにパスが回される。その後、ゴール近くで高くジャンプしたやつパスが通るが、シュートは失敗。レイアップ、ボールをゴールに置くように打つ基本的なシュートだが、ボールが軽いのと回転の勢いが強すぎてバックボードにあたり大きく跳ねてしまう。
リバウンド奪った永江が中山にパス、浅井はゴールに向う。
ボールを持った中山がスリーポイントラインの外側で高くジャンプ。敵ディフェンダーがシュートを防ごうと中山のすぐ前でジャンプしている。ゴールに向かっている浅井とクレイグについたディフェンダーがジャンプのタイミングを計っている。
浅井はすぐ前にいるディフェンダーの目を一瞬見た後、膝を曲げジャンプのしぐさをする。相手はつられてジャンプ。フェイントと途中で気づいたのか中途半端なジャンプだ。浅井は思いっきりジャンプし、ディフェンダーの頭を超える位置まで到達したところで中山からのパスが来る。ボールをキャッチし、体の上昇が止まりゆっくりと落下を始めるまでの間に狙いを定めシュートを放つ。決まった。2本連続。出だしはいい感じだ。




