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地球から一番遠い教室で  作者: 草川斜辺


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23/30

到着

以前に比べれば半分近くまで時間短縮されたとはいえ、地球から月に行くには何度か乗り換えが必要で、2日がかりだ。


まず、地上から地球を周回する軌道上のステーションまで1時間半。

地上から軌道上のステーションまでは「飛行機」で向かう。飛行機というだけあって従来の国際空港から出発できる。高度20kmまではスクラムジェット、そこからロケット推進に切り替え加速しつつ上昇し宇宙ステーションが周回する高度1500kmの軌道に達する。ロケットで推進するところからは「宇宙船」と呼ばれる。


地球の軌道ステーションで月軌道ステーション行きの宇宙船に乗り換える。観光シーズンを除くと通常は一日に5便出ているが、乗り換えまでは短くても数時間の待ち時間がある。


地球軌道のステーションから月軌道のステーションまでの所要時間は約20時間。そして、月軌道のステーション到着後、月面への着陸船への乗り換えまでの待機に数時間。ステーションから月面までの所要時間は約2時間だ。


所要時間だけを足すと24時間程度だが、乗り換え時等の待機時間は少なくとも合計で10時間はあるので、最短でも34時間を要す。月に来る観光客は地球軌道のステーションで1日過ごしてから月に向かうことが多いので、40時間程度で月まで来れたのは早い方だ。


月を周回する軌道上のステーションを離れた着陸船は、月面都市のヘリポートのような着陸スペースが並ぶ宇宙港に接近すると、船体側面の噴射口の向きを垂直に変えながら減速し、上空数10メートルの位置で停止、高度をゆっくりと下げ接地する。


着陸ポートに船体が固定されると、着陸船を乗せたポートが地下に沈み始める。月面の主な施設は全て地下に建設されており、着陸船もエレベーターにより地下に運ばれる。


地下に降りた着陸船に左右の壁からアームが伸び、着陸時に使った逆噴射用のロケット部を取り外す。このエンジン部はメンテナンスにまわされるのだ。

船体側面からロケット部が取り外され船体前方の扉が開くと、着陸船はレールの上を進みトンネルに入っていく。船体がすべてトンネルに入ると一旦停止し、通り抜けてきたトンネルのドアが閉じ与圧されるのを待つ。ここが着陸船用のエアロックになっている。


与圧が完了し更に2つの扉と空間を順番に通り抜けると、転車台のある円形の台の上に滑り込む。

転車台の周りには扉が9枚並んでいる。この内3つが外部の発着ポートとつながっており、他の扉は、1つがメンテナンス室、残りの5つが宇宙港の乗降口であるプラットフォームに向かう。


着陸船が停止すると、転車台が左方向に少し回転し「2」と書かれた扉を正面に捉える。扉が開くと、地下鉄の駅のようなプラットフォームに着陸船が滑りこんでいく。5つの扇状に広がるプラットフォームは、上から見ると手を広げたようにみえることから、パームステーションと呼ばれることもある。


既に2機の着陸船が入っており、1機は出発の準備中だ。定期船には、幅は同じだが全長の違いにより定員が95名のものと210名の二種類がある。今到着したのは大型の方だ。


船体前方下部のドアが開くと荷物コンテナが滑りだしてくる。荷物コンテナはプラットフォーム突き当りのトンネルに進み、この後分類され乗客用のものはバゲージクレームに流れてくる。船体左側面のドアが開き乗客が降り始める。乗客の中にはプラットフォームの手すりにつかまりながら恐る恐る歩いている者も多い。


船旅は時間がかかるというが、宇宙船の場合も例外ではない。

船内は十分広く無重力ということもあって、20時間以上ずっと座りっぱなしとはいってもそれほど苦にはならないが、やはり地球から月面までのトータル40時間はそれなりにくたびれる。


水色のカバンを持った若い男は首を回し肩を上下して体をほぐし、手すりにつかまりバゲージクレームに向かい歩き始める。

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