Bチーム
浅井は中山に誘われてコペルニクス・カップに参加できることになった。
コペルニクス・カップに出ることは夢だったので、かなりうれしい。浅井は大会でプレイすることを考えるだけでにやついてしまう。
ムーンバスケットボールの大会「コペルニクス・カップ」と「セレーネ・カップ」は年に一回開催されているし、大会の様子について地元民の藍崎華瑠奈に聞いてみるか。ここでは月面マラソン大会に並ぶ大きなスポーツイベントだし、街を挙げてのお祭り騒ぎだったりするんだろうな。
藍崎はいつもホームルーム開始の3分前に登校するからそろそろかな。浅井は椅子に横座りして後ろの席の彼女が登校するのを待つ。
「おはよう」
「おはようございます」
いつものあいさつを交わし、藍崎が席に着いたところで聞いてみる。
「コペルニクス・カップだけどさ、やっぱりここではお祭りみたいな感じなの?」
鞄からタブレットを取り出しながらちょっと考え込む様子の藍崎。
「お祭りというのが、お神輿を担いだりするようなことをさしてるならちょっと違うかな」
「え?」
予想外の返答にちょっと面食らう浅井。
いや、確かにお祭りとはいったものの、別に日本の夏祭りみたいなものを予想しているわけではないのだが。
「ま、まあ、日本の祭りとは違うと思うけど、大会を盛り上げよう的な感じで街でもいろんなイベントがあったりするのかなと思って」
ちょっと驚いたような表情の藍崎。質問の意味が予想外だったのだろうか。勘違いするような質問じゃないと思うんだが、と浅井は自分の質問を思い返す。
「みんな、おはよう」
担任が来た。
「じゃあまた」
いつものことのような気もするが、いまいち会話が成り立ってないよなと考えながら、体を前に向ける浅井。
☆ ☆ ☆
昼休み。
浅井は今日も藍崎華瑠奈を誘って学食に向かう。途中で中山恵一郎と本條莉奈が合流してきた。例のBチームに勧誘された日から昼食はたいていこの4人だ。
中山も本條も社交的なので友達はほかにたくさんいるだろうに、と浅井は疑問に思う。それでも、社交的な彼らに話しかけてくるやつが多いおかげで、ほかのクラスメートや別のクラスのやつらとも話せる機会が増えたし、いいこともあるのだが。
「残りの3人見つけたぞ」
と中山。
これでBチームのメンバーが5人そろったということだな。
「あっという間だな」
昨日、浅井が誘われた時点では、中山と浅井の2名だけっていってたから、それから1日で3人見つけたことになる。
「俺の人望からしたら当然なんだが」
ちょっと自慢げな表情だ。
「私の協力が大きいけどねー」
これは本條莉奈。中山が一瞬、ふてくされたような表情になる。
まあ、彼女はかわいくて明るくて社交的で友達も多いだろうから、彼女に頼まれたら嫌とはいえなかったのかも知れない。
「バスケ部の2年と3年、まあどっちも幽霊部員だが。お前みたいに地球で元バレー部のやつもいる」
中山は本條のことばにはコメントせず、集めたメンバーについて説明する。
「経験者が多いと心強いね」
浅井は中学の時はバスケ部だ。同じバレー部出身のやつには負けられないなと思う。
「そんなやつらを集めないと予選突破できないからな」
それもそうだな、と浅井も納得する。
「で、さっそく今日の放課後、顔合わせと作戦会議するんでよろしく」
「場所は?」
中山がテーブルを指さす。




