5DAY
誰も居ないがらんとした教室。陽の光がカーテンの隙間から差し込む。授業を終え、みんなは帰った。1人、朝霞先生を待つ。少し開いた窓からは風が吹き抜け、私の髪を靡かせる。
「落ち着かない……」
窓際にもたれかかり、部活生の様子を眺める。精が出て、みんなキラキラしてる。今の私はこの部活生みたいにキラキラしているだろうか?
相談したいことがある、とそれらしい理由を付けて朝霞先生を呼び出した。まだ先生は来ない。
月曜から毎日、朝霞先生にアピールしてきたけど、少し空回りだったかな? 自分の言動を振り返り、物思いに耽る。
ガラッ。
教室のドアが開き、目を向けると朝霞先生が居た。窓から離れ、朝霞先生の目の前に立つ。告白の結末は分かっている。今まで数え切れない女子が朝霞先生に告白して来た。
結ばれた人なんて、誰も居ない。
この4日間、朝霞先生のことだけを考え、全力を尽くしてきた。私のこの想いは届けたい。
たとえ、実らなくても。
「こんなところに呼び出して何用ですか?」
全てを見透かしたように、クスッと笑う朝霞先生は、きっと百戦錬磨に違いない。スカートの裾をギュッと握りしめ、口を開いた。
「朝霞先生、好きです!!!! 付き合ってください!!!!」
「ごめん。生徒とは付き合えない。それに私には恋人がいる……」
「こいびとぉおおぉおぉ?!?!」
恋人って!!! そんな噂、皆無でしたけど!!! 最初から勝ち目なしじゃん!! 誰だよ恋人!!! 朝霞先生取ったやつ!!!
「それ誰?! この学校の先生?! 誰?! ねぇ教えて!!」
「それはちょっと……バカと付き合ってるって思われたくない……」
バカ? まさか……!!!!
「昼仲ぁあぁあ?!?! マジかぁあぁあ!!!」
「大きな声で言わないで!! イメージ下がる!!」
「ねーどっちから告白したの?! 好きになったキッカケは?! ねーねー教えて!!」
「えっ?! それはその……うぅん~~」
教壇の隣で横並びにしゃがみ込み、先生との恋バナに花を咲かす。
イケメン人気教師の2人がBLかぁ。推せる。振られちゃったけど、また学校へ来る楽しみが出来た。
「先生、ほっぺ真っ赤!!」
「う~~っ」
やっぱり、朝霞先生は尊いね!
おわり。