第71話 獣人達を守る為なら、天使族と殺りやってやるよ!!
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爺様から聞き出した内容では、獣人国に残っていた獣人は全て天使族が殺害してしまったのだという。
ドワーフ王国やエルフ王国に逃げきった獣人族も多くいるそうだが、クリスタルが無くなった以上【獣人国】はあの場に亡くなったのと同義だと語った。
クリスタルある場所こそが【獣人国】と新たになるらしく、アタシは頭を抱えて、ダンジョンに用意した難民エリアに輝くクリスタルを思い出した。
「しかも、獣人は負けたのだから全員殺す権利が天使族にはある、と言う考えなんだね?」
「そうじゃな。怨恨を残さず綺麗に一人残らず……と言う奴じゃ」
「最低な天使族だね。追いだせやしないじゃないか」
「追い出す必要もないじゃろう?」
「むう……。魔族のダンジョンに獣人国があるというのは、問題じゃないのかい?」
そう爺様や皆に伝えると――思いがけない言葉が返ってきた。
「キヌ、それは違うぞ。外に出れば天使族の餌食になる。死ぬことが決定しておる。しかし、ダンジョンは広いじゃろう? 広くも狭くも出来るんじゃろう? なら、そこを獣人国にすることは可能じゃろう?」
「可能……なのかねぇ」
「少なくとも、天使族が落ち着くまでは保護しておくのが良かろうて。それに多くの獣人族の男たちが死んだ。残された女たちや子供たち、年寄りは行く当ても働く当てもない。その状態ではあっという間に食い物にされる」
「……守るしか他ないか」
「そうなるのう。手を差し伸べたキヌが、最後までとは言わんが、安全を確認出来るまでは保護するのが妥当じゃろう?」
そう言われればその通り。
中途半端に助けた訳じゃない。
女子供、年寄りだけではこの先生きていくのは大変だし、仕事と言っても限られている。
今の保護している子供たちが大きくなるまでに、色々と学び、仕事に就けるようになるまでは面倒を見るべきだろう。
見捨てる訳には行かないしねぇ。やるしか道はないか。
「分かった。天使族が落ち着くまでは面倒をみてやろう。後は、今いる子供たちが働ける年齢になるまでは面倒を見る。これでいいかい?」
「うむ、一先ずはそれでいいじゃろうて」
「問題は、天使族から難癖付けられることを想定しておかないと、って所かね」
天使族は魔族と相性が悪いのはピアから聞いて知っている。
だが、難癖くらいは付けてくるだろう。
獣人族を引き渡せと言われたら、先だって保護した者たちをそちらに渡すつもりはないと返すしか無いんだけどねぇ。
「なに、戦争を仕掛けるというのなら、ワシも黙ってはおらん。それはキヌ、お前もじゃろう」
「まぁそうだけどねぇ」
「しかし、奴ら天使族は異様なまでにキヌを恐れておった。キヌ、何か奴らにしたのか?」
「ヤダねぇ、何もしちゃいないよ?」
「ふむ?」
何もしてないのに恐れられる理由が解れば、対策のしようもあるんだけどねぇ。
生憎、奴らが何をそんなに怯えているのかまでは見当がつかない。
爺様も検討がつかないというのであれば、猶更解る筈がない。
それから暫く獣人族を保護しながら、そしてトッシュにより獣人国が滅んだ事と、クリスタルがある今ここが仮ではあるが【獣人国】として貸して貰う事になっている事を告げ、新体制を作り上げながら時を待つ事を宣言。
残された獣人たちはホッと安堵しながらも、炊き出しは今まで通り行われる事や、必要な備品に関しても出して貰えるという事、そして働きたい者に関しては、働き口を探す事を告げ、一先ず落ち着いたと言った感じだね。
そして魔族たちに命じ、獣人国で死んだ者たちを元の獣人国に埋葬するよう指示を出したが、はりつけにされている元国王と王妃、側妃に関しては、骨になるまでそのままにすることがトッシュにより決定された。
無論、埋葬することも許さないと言う厳しいもので、事実、王がトッシュの様な賢王であれば戦争を回避できたし、魔族と断交しなかっただろう。
国を滅ぼした罪はとても重い。
そんな諸々が落ち着き、やっと静かになり始めた頃だった。
……天使族からの使者がやってきたのは。
「つまり、獣人族を亡ぼしたのは天使族であるのだから、生き残っている獣人族は天使族の属国である。って言いたいんだね?」
「その通り。返して頂きたい」
「嫌だね。元々平民を受け入れてるんだ。属国だのなんだの天使がすることで言う事かい。生臭坊主でもあるまいに」
「生臭坊主の意味は分からないが、我が天使族を侮辱する言葉とお見受けする!」
「ふん! そんなに属国にしたい属国にするっていうなら、アタシにも考えがある」
そう言ってヒールを鳴らして立ち上がり、杖をカン!! と鳴らすと――。
「天使族に魔族が戦争を仕掛けて属国にする……と言うのも、面白いかもしれないね」
「なっ!!! 我々は魔族と敵対するつもりは」
「その魔族が大事に保護している獣人を寄越せと言っているんだ。それを守るのは魔族の正統なる理由だろう!!」
「!!!」
「帰ってお偉いさんに伝えな! 獣人を諦めるか、魔族と戦争をし、属国に堕ちるか選ばせてやるってね!! 魔王と英雄、大量の冒険者が揃ったこちら側に、勝てるのなら……の話だがねぇ? ヒヒヒ……」
「「ひ、ひいいいい!!」」
悲鳴を上げて急ぎ窓から飛んで逃げた使者にアタシは鼻を鳴らすと、横にいた爺様が拍手しながら「中々の悪役っぷりじゃったな! 痺れるわい!」と喜んでいた。
喜ぶことじゃないんだが、此れは死活問題なのが解ってるのかねぇ?
「しかし良かったのかキヌよ。宣戦布告とも取られるぞ?」
「そう取られた時は戦うに決まってるだろう。勝ち目があるかは分からないが、冒険者と言う兵力は集結している。それも、もしもの場合は使わせて貰うさ」
「まぁ、魔族側の過剰戦力じゃな。天使族でも流石に考え直すじゃろうが」
「考え直さない可能性は何パーセントかね」
天使族は魔族を危惧しているのはピアの会話から解っていた。
だからこその賭けに出た。
これで戦争になるなら、冒険者も全員投入しての、魔族側過剰戦力での戦争になる。
楽園が攻撃されると知れば、冒険者も黙ってはいないだろう。
それでも尚、獣人に拘るというのなら戦争だ。
――さて、天使国。どうでる?
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