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ビジル


 本当のことを言うと、ウェーイの人たちが嫌いだった。


 まず、私のような人間は受付で止められる。これは想定済。空港でも米軍基地でも私だけは止められる。なんでかっていうと、体が大きい上、生まれつき目付きが悪く、人でも殺しているかのような見た目なためである。


 ビックリしたのが、ボディーチェックで本当に身体中ベタベタ触られたこと。普通、こういうチェックは形式的な物で殆ど触らないのであるが、めちゃくちゃに触られていた。


 仕方がない。



 なぜ私が陰キャとして生きているか、それは自分の生まれ持った特性によるものが大きい。

 私は生まれつき共感性が低い。

そればかりか、攻撃性が以上なほど高く、それは知った人に距離をおかれるほどだった。


 人が何を考えて生きているか理解できないため、映画やドラマのキャラクターを真似して生きているが、時々ボロを出して露見する。人は、羊の群れの中に紛れ込んだ狼を許してはくれない。

 故に、人である、ふりをして生きているが、その行為そのものがストレスその物なのであった。つまるところ陰キャである。


 始めに目に飛び込んできたのは赤だった。ネオンの目を引く光が、床や天井に張り巡らされ、じんわりと滲むような光を放っていた。


 バーカウンターには男が一人、品の良いジャケットに身を包んで、見るでもなく客を眺めている。


 ふと、その視線が俺を見て止まった。

「あんた、どこの人?」

「……」

 コミュニケーション能力に多少の障害がある私は、ざっとなぞるような視線で彼の顔を見る。攻撃性は感じられない。ふと、言葉が口をついたような感じだった。


「ウイスキー、ストレートって出来ますか?」

「はい」

 中はなんかもう、宇宙船の中みたいでした。


 言葉で説明するのが難しいので、分かりやすくお酒で説明しますと、私普段は飲まないんですけど、どうしても飲まなくてはいけない席では、大体、一人でウイスキーを瓶一本飲んでやっと気持ちよくなるかな?どうかな?って感じなんです。というかお酒で気持ちよくなったこと殆どないんですけど、今回、クラブいかせていただきまして、常識がひっくり返りました。


 私インキャなのでその能力を遺憾なく発揮、ブースの隅っこの方で、早速ウイスキーストレートのダブルを持ってちびちびやり始めました。

 水無し、氷無し、チェイサー無しが一番うまい酒の飲み方だって分かってるのでこれでいいんです。


 そしたら、なんか変なんですね。二杯目で視界がおかしい。なんというか、音が透明な波となって打ち寄せてきているような感じに感じられたのです。しかもそれがすごく楽しくて!トリップトリップ!!!!

 たぶん、音楽と光がアルコールにプラスされると頭がバグるんですね。あのこれまだ、ステージ始まってなんですけど!!


 そのあとステージ始まって、もう、天国ですよ!皆体験した方がいいですよあれ!


 心臓鷲掴みの重低音サウンドに、頭の上を赤いレーザー光線が走り回ってミラーボールに乱反射。お酒が入った状態でそれを見た瞬間、もうね、天国かと思いました!!


 あーーーこれ癖になるわ。しかも自分の体力が続く限り躍り続けられる。ははは。気がついたら5時間ぶっ続けで躍り狂っておりました。


 あれですかね。パーリーピーポーは毎週こんなどんちゃん騒ぎをやって脳みそキメテルんですか、と思ったらお店は、ほぼ毎日やってて、水曜日はドリンク無料らしいです。ええええ。すごいんですけど。毎週通いたいんですけど。めっちゃ好き。ドはまり。


 もうスゲーコスパがいい。マジで、賭け事に金つかうならこっちの方がいい!!

一人で行くの心配なら俺がついていってやるよ!多分店内ではぐれるけど、そんなことどうでもよくなるから!なんだろうあの一体感。なんだろうあの地響き。

 なんかめちゃくちゃ楽しかったんです。多分伝わらないと思うのでもっと知りたい人は個別に質問のこと!マジで良かった。人生変わった。私は自由を初めて感じたかもしれない。


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