貴方を不幸に誘いますね
レビュー執筆日:2022/3/12
●負の感情をストレートに。かつリズミカルに。
【収録曲】
1.強欲
2.デモーニッシュ
3.過去に囚われている
4.奴隷じゃないなら何ですか?
5.ルーザーガール
6.雨を浴びる
7.秋雨前線
8.忠犬ハチ
9.テリトリーバトル
10.かくれんぼっち
11.泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて
12.終点の先が在るとするならば。
音楽ゲームに収録されている『泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて』をきっかけに初めて彼女達のアルバムを聞いてみたのですが、ピアノの音色と早口でハイトーンなボーカルが特徴的といった感じで、そういう点においては「ずっと真夜中でいいのに。」に近い印象を受けましたが、歌詞の面では対照的と言っていいでしょう。曖昧な表現はほとんど見られず、「嫉妬」や「悲しみ」、「劣等感」等といった負の感情をストレートに押し出したものがかなり目立ちます(動画サイトで『終点の先が在るとするならば。』のMVを見ようとしたら「自殺や自傷行為のトピックが含まれている可能性があります」という警告が出てきましたし)。
とはいえ、清涼感のあるピアノのサウンドや、「打破 打破 打破 打破 できますか?」(奴隷じゃないなら何ですか?)や「痛い 痛い 痛い 痛いのよ」(泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて)等といったリズミカルなフレーズといった要素から、聴いていてあまり暗い印象は受けず、そういった「ギャップ」がこのユニットならではの「個性」と言えるでしょう。
ただ、個人的にはそういう雰囲気は彼女達の代表曲とも言える『泥の分際』である意味完成されているように感じられるところもあり、それ以外の曲はほぼその延長線上といった感じで、アルバム全体で見ると似たような曲が多く感じられるところもあります。最近、動画・イラスト担当のメンバーが「卒業」し、「純粋な音楽ユニットとして再出発」することが発表されましたが、それをきっかけにこれからは色々とこれまでとは異なる作風の楽曲を聴かせてくれるかもしれません。そんな彼女達が次にどういったアクションを起こすのか注目していきたいところです。
評価:★★★★