[第8話]カーティ市襲撃⑥ オリビアの脱衣
護衛の1人である女性がとっさに気づいて、倒れてくるオリビアを受け止めた。
「しまった」
「大丈夫でしょうか」
他のメイドや護衛達も次々に駆け寄って、そのほっそりした体を支える。
「限界が来てしまったみたい。手袋はいいわ。服を脱がして」
上着を一枚脱ぐ力すら入らなくなってしまったオリビアの身体は、側近達に囲まれている。
その様子を外から伺うことはできない。
「そこ持ってください」
「もし痛かったら、教えてくださいね」
女性陣3名が協力して、そうっと彼女を押さえつける。
ひとつひとつボタンを外し、コートを剥ぎ取っていく。
「あんっ……」
「んんっ……」
少女の、力の抜けるような声があたりに響く。
そうして次第に、彼女の、より少女然とした側面――細い腕と、膨らんだ胸部のシルエット、ほどよく鍛えられて引き締まった腹部――が露わになる。
その姿態は、彼女の際立った美貌とのシナジー効果をものの見事に巻き起こしており、そこには世の大抵の男の理性を根本から瓦解させると言ってよい光景が生まれていた。
服を一枚脱がされたオリビア。
彼女の格好それ自体は、肌や胸元を大胆に露出している訳ではなかった。
しかし、普段からかしこまった身だしなみや所作を心がける彼女としては、まことに異例といえるものであった。
――のであるが、周囲を側近達に囲まれているおかげで、敵・味方含めた男性陣からの目撃は避けられ、オリビアの自尊心はかろうじて保たれた。
◆
コートを剥がされている最中のオリビアには、自分たちのいる3階の一角の一部が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるようすが、メイドと護衛の隙間から見えていた。
――今、灼熱の炎に溶かされて燃え尽きはじめているこの外壁のように。
まもなく自分達も、この世から跡形も無く消えてしまうのではないか――
そんな予感が、少女オリビアを襲った。
【おわりに】
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【次回】
[第9話]カーティ市襲撃⑦ 赤い地獄