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驚脚の狼使いリュセイ 暴虐に彩られた大陸【序章完結】  作者: 藍弓野
序章 偽名の少女の窮地と、そこからの逃走
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[第8話]カーティ市襲撃⑥ オリビアの脱衣

 護衛の1人である女性がとっさに気づいて、倒れてくるオリビアを受け止めた。

 

「しまった」

「大丈夫でしょうか」

 

 他のメイドや護衛達も次々に駆け寄って、そのほっそりした体を支える。

 

「限界が来てしまったみたい。手袋はいい(・・)わ。服を脱がして」

 

 上着を一枚脱ぐ力すら入らなくなってしまったオリビアの身体は、側近達に囲まれている。

 その様子を外から伺うことはできない。

 

「そこ持ってください」

「もし痛かったら、教えてくださいね」

 

 女性陣3名が協力して、そうっと彼女を押さえつける。

 ひとつひとつボタンを外し、コートを剥ぎ取っていく。

 

   

「あんっ……」

 

 

「んんっ……」

 

 

 少女の、力の抜けるような声があたりに響く。

 

 

 そうして次第に、彼女の、より少女(ぜん)とした側面――細い腕と、膨らんだ胸部のシルエット、ほどよく鍛えられて引き締まった腹部――が露わになる。

 

 

 

 

 その姿態(したい)は、彼女の際立った美貌とのシナジー効果をものの見事に巻き起こしており、そこには世の大抵の男の理性を根本から瓦解させると言ってよい光景が生まれていた。

 

 服を一枚脱がされたオリビア。

 彼女の格好それ自体は、肌や胸元を大胆に露出している訳ではなかった。

 

 しかし、普段からかしこまった身だしなみや所作を心がける彼女としては、まことに異例といえるものであった。

 

 ――のであるが、周囲を側近達に囲まれているおかげで、敵・味方含めた男性陣からの目撃は避けられ、オリビアの自尊心はかろうじて保たれた。






 

 コートを剥がされている最中のオリビアには、自分たちのいる3階の一角の一部が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるようすが、メイドと護衛の隙間から見えていた。

 


 ――今、灼熱の炎に溶かされて燃え尽きはじめているこの外壁のように。

 まもなく自分達も、この世から跡形も無く消えてしまうのではないか――



 そんな予感が、少女オリビアを襲った。

【おわりに】

少しでも「続きが読みたい」「面白い!」と感じて頂けたら、是非ブックマークと画面下の「☆☆☆☆☆」→「★★★★★」の評価をお願いします!星評価は正直な数で構いません。執筆の際の大きな励みになります。


【次回】

[第9話]カーティ市襲撃⑦ 赤い地獄

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― 新着の感想 ―
[良い点] 緊迫した場面をオリビアたちがどう逃れるのか気になります。また、オリビアの自尊心や肢体の描写がたくみで読みやすかったです。
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