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24 ヒカリ2

 ふふふっ。ようやく結婚式の日がやってきたわ!


毎日の勉強漬けからようやく解放される!そして、オディロンとやっと結婚出来るのね!これからは毎日オディロンと一緒だわ。嬉しい!やっと一緒になれるわ。




 この日ばかりは王城侍女達が朝早くから後宮にきて私の準備をしてくれる。私はドレスも何にも選んでいないんだけど、こういうものなのかな?丈やサイズはマーリンが調整したと言っていたわ。


 私の準備が出来ると宰相さんが父親の代わりにエスコートしてくれるみたい。お城の横にある教会でついに、待ちに待ったヴァージンロードを歩く。貴族達は私に注目してるわ。


私、今までで1番輝いてるもの!


神父の前にいるのはオディロン。やっとよ!


待ってました結婚式。


あぁ、感動しちゃう。



 女神像の前で誓いのキスをしてオディロンにエスコートされて拍手の中を歩いている。感動的だわ。こんなの日本じゃ一生出来ない経験ね。


今から馬車に乗って国民へのお披露目パレード。国民が私を見ているわ!


「オディロン!凄いわ!みんなが私達を祝福してくれているわ」


「… あぁ。そうだね」


みんなが私達を祝ってくれている嬉しい。けれど、気になる声がふと耳に入る。『王太子妃の髪って金じゃなかったか?』『あぁ、聖女だよ、あれは』馬車移動しながら平民達が話していた声を拾い不安になる。


どういう事なの?


後でマーリンに聞いてみよう。ヒカリはそう思い直して笑顔で手を振って国民に答える。

パレードを終え、披露宴も滞りなく進められた。この国の伝統料理が出されたのには感動したわ!


あとはオディロンとの初夜ね。


ふふっ。楽しみ。 




 マーリンや他の侍女達は私を洗い上げ、薄いレース地のベビードールを着て上からガウンを羽織る。逸る気持ちを抑え、あとはオディロンが来るのを待つばかり。


… … … 来ないわ。何故?


こんなにも待っているのに。


 諦めてもう寝ようかと思っていると、扉をノックする音が聞こえた。返事をすると共に入ってきたのはオディロンだった。


「オディロン!待ってたの!嬉しいわっ。さっ、こっちにきて」


私は嬉しくてオディロンに駆け寄り手を取った。けれど、私の手を振り解きオディロンは辛そうな顔をしている。


「オディロン、どうしたの?体調が悪いの?」


彼は部屋のソファへドスンと座った。


「ヒカリ、君は勘違いをしている。私は君を愛する事はない」


「なんで?私達は女神の絆で結ばれてるんだよ?」


「あぁ、そうだな。君の願い通り、絆を結ばれ結婚した。良い迷惑だ」


「なんで?あたし、聖女なんだよ?聖女って言ったら王族と同じ立場なんだよ?」


オディロンは、はぁと重い溜息を1つ吐いて話はじめる。


「君は、君のいた世界ではそうなのかも知れないが、この世界では違う。聖女紋は女神から指名されただけだ。それにヒカリ、君は簡単に魔王を討伐した気になっているが、あれは他のメンバーが優秀だったからだ。


昔から紋章に選ばれたパーティーは必ず魔王を倒せるわけではない。いくつものパーティーが全滅してるんだよ。逃げ出そうとする者もいる。


今回、彼等は2年以上前から4人で戦う事を強いられ、4人で魔王を倒すために過去のどのパーティーよりも厳しい修行に耐えてきたんだ。怠惰な君と一緒にしないでくれ」


だって、そんなの知らない。


誰も言ってくれなかったんだもん。


「あたしだって頑張ったもん!手伝ったんだから!」


オディロンは何処かイライラしている。何故?分からない。


「君はちゃんと聞いていたのか?紋章を返還しても努力した分だけ増えた魔力量、魔法やスキルは残ると。君は何処まで頑張ったんだ?一般貴族と変わらない魔力しかない。


聖女のスキルさえ発現していない。だが願いは聞き届けられた。それで充分だろう」


そう言って立ち上がり、部屋を出ようとしている。


「待ってよ。オディロンは私の絆の相手でしょう?私はこんなにも辛いの。側に居て」


 私はオディロンの腕を掴み、必死に話をすると彼はピタリと足を止め、振り返る。彼は何かを我慢しているようなそぶりを見せ口を開く。


「ヒカリ、君が勝手に願った事だ。これ以上私の人生を狂わせないでくれ」


パシリと手は振り払われ、扉は重く閉められた。なんで?わかんないったら!運命の赤い糸は私なんでしょ?


何故振り向いてくれないのよ!

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