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 私は兄とこれからの旅に必要な物を買いに王都に出かける事になった。母も一緒に行きたいとごねていたが、兄は譲らなかったようだ。兄はラフな服装に着替えて玄関ホールで待っている。


私は帯剣をして、髪も1つに束ねているので兄の護衛のように見えなくもない。


「お兄様行きましょう」


私達は歩いて街に入る。


 私達のタウンハウスは王都の中でも中心部に近く、王城からもすぐの位置にある。公爵令嬢時代はいくら王都の治安が良いと言っても何かあってはいけないため常に馬車で移動していた。


紋章持ちとなってからの基本は歩きである。馬車から見ていた景色と歩いて見た景色の違いに最初はよく感動したわ。


「お兄様、歩いて街に出るのは疲れませんか?」


「アレット、心配しなくても大丈夫だよ。いくら文官だとはいえ鍛えているからね」


私は兄と冒険者の店へと入っていった。魔王が復活するとその影響で強い魔物は増えていくのだが、魔王が居ない時代の魔物は減る事はないが膨大な魔力の影響もないため、魔物は弱体化し、一般庶民でも倒せる程度の魔物になる。そのため肉や素材を得るために冒険者となる人も多いと聞く。


冒険者が狩った魔物を売ったり、討伐依頼を出すためのギルドもある。私が勇者パーティーで移動する村々は一般では倒せない程の強い魔物達。勇者パーティーはギルドの討伐依頼をこなしても報酬は出ない。けれど旅をする上で資金が必要となるためにギルドに素材をよく売りに行っていた。


 これからは私も冒険者として登録し、街を回ってみるのも楽しいかもしれない。


「お兄様、このテントが欲しいです。あと、お皿と寝具一式と…」


「アレット、そんなに買って大丈夫かい?旅に出れなくなるんじゃないかな?」


兄はふふふと笑いながら聞いてくる。


「きっと大丈夫です。ロイクがなんとかしてくれますから!」


今のロイクは賢者となっているし、大容量のマジックバッグを作ってくれると思うわ。魔法使いだった頃もリュック1つ分程の容量のマジックバックを作っていたもの。量はさほど入らなかったけれど重い荷物を入れるのはとても重宝したのだ。


兄とあれやこれや話をしながら旅に必要な物を買っていく。


「お兄様、この幌馬車良くないですか!?可愛い!」


目の前に展示されていた小さな幌馬車の荷台部分。普通の荷馬車に比べるとかなり小さい。馬が引くよりロバが引くような大きさで小回りもききそうだ。なにより幌の部分にレースや刺繍が施してあり可愛い仕様になっている。


「アレット、せめて刺繍の無いタイプにしようか。女の旅だと盗賊に狙われてしまうよ」


「ううっ、残念ですがそうします。この馬車なら1人旅もかなり楽になると思いますし、ロバと2人旅なら寂しくありませんものね!刺繍は諦めますわ」


兄は私の言葉に眉を下げながら財布を出している。そうして小さな幌馬車や旅の道具を買って店を出た。もちろん買った物は後で公爵家に運んでくれるようにお願いしてある。


 後はロバを買いに牧場へ向かおうとしていたけれど、兄から止められたわ。明日に厩舎の者と行っておいでと。


確かにここから牧場までは遠い。そして馬を買うには専門家と行くのが一番よね。私は納得しながら兄と服屋へ入り動きやすい服を何着か買って家に戻った。


「お兄様、お買い物について来てくれて貰ってありがとうございます」


「あぁ。これくらい大丈夫さ。そうだ、明日から料理長に料理を教えてもらうといい。旅先で自炊する事もあるだろうし」


「そうですね!いつもモルガンが野宿の時に食事を作ってくれていましたの。私も手伝っていたのですよ?でも美味しい料理を自分で作ってみたいです。やりますわ」 


「じゃあ料理長に話をしておくよ」


「お兄様、ありがとうございます」

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