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企画に沿って書いた童話

小さなまじょさんのカゴの中

作者: 瑞月風花

 小さな小さなまじょさんは、カゴをかかえて歩きます。よいしょ、よいしょと歩きます。

 小さな小さなまじょさんは、森の中を歩きます。

 小さな森のことりさん、首をかしげてみつめます。

 いったいどこへ行くのかな?

 小さな森のことりさん、歌を歌って見送ります。



 小さな小さなまじょさんは、カゴをかかえて歩きます。よいしょ、よいしょと歩きます。

 小さな小さなまじょさんは、山を登っていくのです。

 おっとと。だいじなカゴを落としてはたいへんです。

 山の大きなくまさんが、小さな小さなまじょさんの、その手をそっと引っぱります。

「ありがとう」

 小さな小さなまじょさんは、にっこり笑ってお礼を言います。



 小さな小さなまじょさんが、山のてっぺんで手をふります。

 空の向こうの向こうから、ゆっくりゴンドラがやってきます。

 ゴンドラの主は、うさぎさん。

 星がちりばめられたこん色ドレスのうさぎさん。

「ようこそおいでくださいました、小さな小さなまじょさまを、一年お待ちしておりました」

うさぎはおぎょうぎ良くおじぎして、そっと夜空を見上げます。

「そろそろ、ふるころですね」

小さな小さなまじょさんは、にっこり笑ってお船にのって、かかえたカゴをみつめます。

 きらきら光るカゴの中。それはそれは、たいせつな。

「きょうは、たいせつな、みんなの願いを叶える日」



 小さな小さなまじょさんがのったゴンドラは、夜のお空をこいでいく。

 お月さまにあいさつしたら、「もう、そんな夜か」とにっこりわらって、手をふります。

 小さな小さなまじょさんもお月さまににっこりわらいます。

 色とりどりの星の川をわたり、虹色の魚が跳ねるころ、

 小さな小さなまじょさんが、カゴをもって立ち上がります。



 森に住むことりさんは森のみんなに伝えます。

 山に住むくまさんは、山のみんなに伝えます。

 空を見上げた人たちは、その目に光をたたえます。



 小さな小さなまじょさんが、カゴから星をふりまきます。

 みんなの願いを叶えるために、

 あたたかい春をむかえるために、

 冷たい冬に負けないほどの光をみんなにとどけるために。



あけましておめでとうございます。

良い一年の幕開けとなりますように。

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― 新着の感想 ―
[一言]  輝きつづける星に、祈りを捧げつつけるのと。  流れ星の流れるその瞬間に、願いをかけるのと。  込める想いは変わってくるのかもしれませんね。
[良い点] 全体を通じて柔らかな、そして優しさ溢れる作品ですね! 冬の星空は 空気が澄んでいるせいか 寒さで凍えそうなのに どうしてかその煌めきを見上げて その愛おしい灯りに目が奪われ つい 立ち止…
[良い点] 最近泣くほど心がささくれていたので、久しぶりに読み直して小さなまじょさんに癒して頂きました。 小さなまじょさんと瑞月様、ありがとうございます! 季節は夏前だけれど、私にも光が届きま…… …
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