閑話 バレンタイン ③
バレンタイン閑話なのにめちゃくちゃ遅くなりました。予想外に長くなったので幾つかに分けます。
光が収まると僕とサンは専用フィールドに転送されたらしい。僕の近くにアーシェの姿は無い。
「アーシェはやっぱりいないか‥‥自分の意思で僕に着いてきてるだけだからかな?PTに誘えば入ったのかな?」
「どうなんだろうな?ま、妖精のチビスケがPTに入るかどうかは今度お前が試してみな」
「うん。そうするよ。ところで‥‥さ?ここがこのクエストの専用フィールドのはずだよね?」
「そのはずだぞ?」
「おかしくない?」
「??おかしくないけどどうしたんだ?」
「だってここ森じゃん」
「森だなぁ」
「フォンド村は?ショコラさんの話を聞く限りだとフォンド村の中に転送されそうなんだけど‥‥」
「近くにあるんじゃないか?」
「ん~そうだと良いけど‥‥まあ、近くにフォンド村無くても素材さえ集めちゃえば入れるかも‥‥そうだと思っておこう」
「そんなにフォンド村に行きたかったのか?」
「うん。そういう村はあまり見ないからねぇ‥‥気になってるんだよ」
「そうか‥‥ま、入れると良いな?」
「ありがとう」
「エア!話はそろそろお仕舞いにしてチョコの素材集めようぜ!」
「あ、そうだね。まずは‥‥カカオトレントかな?森だし」
確か、トレントは木のような見た目をしたモンスターだったよね‥‥ここが森だから木がたくさんあるしどれかがカカオトレントの可能性もあるよね。
「そうだな‥‥よし。とりあえず俺がスキルを使って近くにモンスターや他のプレイヤーがいないか探ってみるな?とはいっても、そこまで広範囲じゃないから期待しすぎんなよ」
「ありがとう。サン。ふむふむ‥‥モンスターが居るかが分かるスキルもあるんだね~」
「ん~‥‥お?喜べエア!近くにモンスターがそれなりの数居るみたいだ!しかも、プレイヤーは近くにいないからチャンスだ!運が良ければこのイベントはすぐ終わるかもな!」
「そうなの?じゃあ、急ごう!他の人に取られたら悔しいから!」
「おう!こっちだ」
そうして、僕達は走り出した。サンが敵の場所を確認したのでサンに着いていく形で。
走り始めて1分程でサンが止まった。そして、近くにある木の影に隠れた。
「エア。こっちに来て身を潜めろ。モンスターがいる」
サンにしたがって木の近くで身を潜めると声が聞こえた。
「ぐぎゃぎゃ♪ぐぎゃっぎゃ♪」
「ぐぎゃぎゃ♪ぐぎゃっぎゃ♪」
「ぐぎゃぎゃ♪ぐぎゃっぎゃ♪」
白っぽいゴブリンとその近くに緑っぽいスライムがいた。3匹いる白っぽいゴブリンが10体はいる緑っぽいスライムをとり囲んで喜んでるみたいだけど‥‥あれがミルキーゴブリンとシュガースライムかな?
「なんで、シュガースライムだと思われるモンスターを囲んでミルキーゴブリン?は喜んでるんだろうね?サン」
「それは分からない。少し様子を見よう。大丈夫。近くにプレイヤーはいないから。俺の〈気配把握〉を掻い潜れるプレイヤーはほとんどいないはずだからな」
「なるほど?なら、心配無いのかな?」
サンの〈気配把握〉を信じてミルキーゴブリン?達の様子を見る。すると‥‥1匹のミルキーゴブリン?がシュガースライム?に攻撃を始めた。シュガースライム?が倒れて消えたと思ったら袋が落ちていた。他のミルキーゴブリン?達も攻撃を始めてシュガ-スライムを倒して袋を入手していた。恐らくは、袋の中身が砂糖なのだろう。
「なるほど。ミルキーゴブリン達はシュガ-スライム達を捕まえられたから喜んでいたんだな。よし、エア。魔法でも弓でも良いからミルキーゴブリンに攻撃をしてくれ。ミルキーゴブリンはお前に任せる。俺はシュガースライムを全て討伐する!魔法なら火以外な!」
「分かったよ。最近レベルが上がって覚えたこの魔法を使おう。グラウンドホール!」
僕がグラウンドホールの魔法を唱えるとミルキーゴブリン達の下に大きな穴が空いた。これは大きな落とし穴を作る魔法だ。
僕がミルキーゴブリン達に対して魔法を使ったと同時にサンが飛び出してシュガースライムの方に向かっていった。
「ナイスだ!エア!その魔法が使えるまでお前が〈地魔法〉を育ててたのは驚いたぞ。そのままミルキーゴブリン達を倒してくれ!」
「了解!」
僕は落とし穴から出ようとするミルキーゴブリン達に対して取り出しておいた【聖霊弓:ルナ】で魔法を放つ。
「行こう。ルナシア。初使用のこの魔法!グラビティプレッシャー!」
この魔法は〈重力魔法〉。聖霊ルナシアと契約してあり、かつ【聖霊弓:ルナ】を持っていなければ発動できない魔法らしい。本人?本聖霊?から聞いたから間違い無いはず。ルナシアは基本的に喋らない、というか契約した時以降は声を聞いていないんだよなぁ。無口だね。
グラビティプレッシャーでゴブリン達は潰されて倒れた。その後には、ミルクの瓶が3つ落ちていた。
なんで、瓶にミルクが詰められてるのかな‥‥?いや、ミルクだけだったら困るんだけどね?
「おーい。こっちは終わったぞ~そっちはどうだ~?」
「こっちも終わったよー!」
僕がミルキーゴブリンを倒しきったと同時辺りにサンは全てのシュガースライムを倒しきったらしい。サンがシュガースライムを倒した後を見てみると地面がガラスみたくなってる。何があった。
「結構あっさりミルキーゴブリンを倒せたんだな~エアも強くなったなぁ‥‥」
「そりゃあ、サービス開始してから半年くらい経過してるんだよ?攻略の最前線にいるサンみたいな人達には全然敵わないけどね」
「そりゃあ、のんびりプレイしてる奴に追い付かれたら攻略なんて出来ないぞ‥‥でも、ミルキーゴブリン3体をあっさり倒せるなら攻略チームにでも入れるぞ。てゆうか、早く俺たちのクランに来て欲しい」
「ま、気が向いたらね~」
「残念だ。まあ、気長に待つよ。それより、だ。エア。ミルクは手に入ったか?」
「うん。大丈夫だよ。サン。倒した後にミルクは瓶に入って落ちてた」
「そうか。なら、後はカカオトレントを倒してカカオを手にいれるだけだな!」
「そうだね‥‥けど、カカオトレントはどこにいるのかな?」
「流石に分からん。とりあえず、適当に南の方に行こうか。俺の勘だと南に村がある気がする。俺が〈気配把握〉を使いながら歩けばモンスターもプレイヤーも住人も大体分かる。だから、見つけたら伝えるな?」
「分かったよ。じゃあ、行こっか~」
こうして、僕達はサンの勘を頼りに南へ歩き始めたのだった。
エア「サンってゲームの中だけは頼もしいんだよねぁ‥‥現実でももう少し頼もしくなって欲しい所だね。友達として」
作者からのコメント
遅くなった言い訳をします。ゲームやラノベにのめり込み過ぎました。反省はかなりしてます。
バレンタインからほぼ1ヶ月たってやっとバレンタイン閑話が終わります。