閑話 ヒルダの過去 後編
昨日は更新を完全に忘れてました。日にちの計算がおかしくなってたのです‥‥本当にすみません。閑話 ヒルダの過去の後編です。1話で纏めたのでそれなりに長くなってしまいました。
私はステータスにあるユニーク種族についてエリスに相談をした。相談をした結果、エリスが言うには国にユニーク種族というのがバレたら何をされるか分からないらしい。
とりあえず、バレなければ影響はないので私が人族だったとするらしい。だけど、念のために偽装スキルを頑張って上げなさいとエリスに言われた。エリスが私の事を思って言ってくれているのが分かったので頑張って育てる事を決意した。
こうして、偽装スキルを育てながら生活をして行った。その過程で私のユニークスキルがかなり便利なスキルだと分かった。MPを消費して、空間を作り出す事が出来るスキルだった。作り出した空間はいつでも私の思い通りに作り替えられる事が可能だと分かった。空間に入る事が出来る人の条件を設定するまで出来た。凄すぎる能力だった。
さらには、作り出した空間に家まで作り出す事が可能だと分かった。なので、MPを上げるためにエリスと一緒にレベル上げを頑張ったりした。
そのような生活を続けていく内に私の種族がユニーク種族だと分かってから、20年程が経った。
20年程経っても成人した年齢から見た目が全く変わる事が無かった。エリスはどんどん年を重ねていくのに、私は見た目が変わらない‥‥
「エリス、なんで私は見た目が成人した時から変わらないんだろう‥‥ユニーク種族だから?」
「そうかもしれないね‥‥けど、私は少しだけヒルダが羨ましいよ」
「え?」
「女性にとっては長い間若くいれるってのは羨ましい事だからね」
「私はエリスみたいに年を取りたかったよ!」
「私はね、羨ましいってのもあるけど嬉しいのよ?ヒルダは綺麗でいて欲しいから‥‥」
「え?」
「私の娘が結婚もしないで老けていくのは寂しいからね」
「そうなの?」
「ええ」
「そっか‥‥」
「この先、エルフみたいに長い間見た目が変わらないとしてもヒルダは私の娘だからね?」
「ありがとう‥‥エリス」
「‥‥」
「どうしたのエリス」
「ねぇ、ヒルダ。そろそろ王都を出ない?」
「エリス、どうして?」
「最近ね、この辺りで見張ってるような気配を感じるの」
「え?」
「ヒルダがエルフでもないのに見た目が綺麗なままなのは何か理由があるのかを探っているのかしらね‥‥偽装スキルで隠していても種族がバレてしまう可能性を考えてるの。万が一、ヒルダがユニーク種族だってバレたら国がどんな手を使っても手に入れようとしてくるわ。国の伝承にユニーク種族という存在は伝説の存在だって伝わってるの」
「そうなの?」
「ええ。ユニーク種族は唯一無二のスキルを持って生まれる。そのスキルは国の行方を左右するような強力なスキルである。って伝わってる」
「私もそれなりにこの国にいるけど、そんな伝承知らない‥‥」
「案外、知られていない伝承だもの。おかしくないわよ」
「凄く今更だけどエリスって何者‥‥?」
「うふふ‥‥」
「教えてくれないんだね‥‥」
結局、エリスが何者かについては未だに分からない。いつか、分かる日が来るかな?まあ、この空間にいる限りそれはないけどね‥‥
「ねぇ、エリス。王都を出たとして何処へ行くの?」
「何処がいい?」
「私は、王都以外を知らないからなぁ‥‥」
「そうだよね‥‥」
「あ、海が見える所がいいかも。私、海を見た事がないから海を見てみたいなって」
「なるほど‥‥海がみたいのなら、アンファングって街があるの。あそこは王都並に大きくて、海が近くにあるのよ」
「なら、そこにしようよ」
「分かったわ。アンファングまでは馬車で一ヶ月ほど掛かるからしっかりと準備したいけど、急がなきゃダメそうなのよね‥‥」
「エリス。私のユニークスキルで作った空間にある家の中にある冷蔵庫に色々入ってるよ。家の中にある冷蔵庫はかなりの量入るようになってて、しかも時間が経過しないようになってるから」
「あなたのユニークスキルはそんな事まで出来るようになってたのね‥‥」
「何年も貯めてたんだ。いつか、こんな日が来るかもしれないからってね」
「そう‥‥凄くびっくりしたわ」
「エリスを驚かせようとしたんだ」
「充分驚いたわ‥‥」
「やった!エリスを初めて驚かせる事が出来た!」
「もう‥‥」
「じゃあ、エリス。すぐに行こ?」
「ええ。行きましょう。アンファングに」
こうして、私とエリスはアンファングに向かった。そして、何事もなくアンファングに着いた。運が良かったのだろう。
こうして、私達のアンファングでの新しい生活が始まった。アンファングでの生活が始まってから20年ほど経った。相変わらず、私の見た目は変わらない。しかし、エリスはすでにベッドから出る事が出来ないくらいに弱ってしまった。
「ヒルダ。あなたと親子になってから50年以上たったわね‥‥」
「そうだね‥‥私も50歳過ぎてるはずなのに見た目は少女のまま‥‥最初は親子、次に姉妹、最後に祖母と孫娘‥‥そんな感じになっちゃったね」
「ええ。そうね‥‥」
「今は、錬金術で作った魔道具やポーションを売る店を細々とやってるけど‥‥すべて、エリスが作ってる事になってるのよね‥‥」
「そうね‥‥でも、私もそろそろ限界が近いみたい」
「え‥‥?エリスがいなくなったら私、どうすればいいか分からない‥‥」
「ヒルダ。好きに生きなさい。このまま店を続けるのもいいし、店を閉めて何処かへ行っても良い。あなたは強いわ。だから、貴方がユニーク種族だってバレても何処へでも逃げられるわ」
「そんな事を言わないでよ‥‥」
「私はそろそろ神様の元へ行く事になるみたいだけど、貴方は幸せになってね?」
「え‥‥?そんな、突然に‥‥?」
「隠していたけどもう無理みたい‥‥ごめんなさい。でも、泣かないで?私はいつでもヒルダの事を見守ってるから‥‥」
「嫌だよ‥‥エリス‥‥お母さん‥‥」
「久しぶりにお母さんって言ってくれたわね‥‥貴方と同じような人がいつか、必ず来るからその時は助けてあげてね?男の人でいい人だなって思ったら結婚しても良いのよ?女の人だったら友達になってあげてね?」
「お母さん、約束するよ‥‥結婚は分からないけど‥‥絶対に私と同じ境遇の人が来たら助けるからね!」
「良かった。これで、安心して神様の元へ行ける‥‥愛してるわよ。ヒルダ‥‥」
その言葉を最後にエリスは動かなくなった。神様の元へ向かったのだろう。
その後、エリスを埋葬した後に私は今いる店の周辺を私が作った空間の中に入れた。そして、ユニーク種族以外は出入りを禁ずる条件を設定した。私のスキルで作った空間は私以外には認識されない。どんなスキルを使っても見つける事は不可能。例え、ユニークスキルであっても‥‥
それから私は外にほとんど出る事をせずに同じ境遇の人を1人で待ち続けた。それから数十年経ったある日、1人で待ち続ける日常は終わりを告げた。ユニーク種族になってこの世界に来た異界人の少年によって。
エリス「私が死んでから1人でずっと同じ境遇の人を助ける為に待ってたんだね‥‥でも、本当に良かった。あの、異界人の少年が来てくれて。ヒルダは寂しがり屋だから心配してたけどあの少年が来たなら大丈夫な気がするわ」
作者からのコメント
昨日は更新を忘れてすみません。今後はそういうことが無いように気を付けます。なので、見捨てないで~!