偽名の理由 後編
31話目です。頑張りました。最近は短めの話が多かったけどそれなりの長さになりました。良かった。今日は早めに完成したので予約投稿してみました。
僕の種族について話す前にサンにはプレイヤー全員に向けたアナウンスについて聞いたかどうかを確認しとこうかな?
「サン、プレイヤー全員に向けてのアナウンスがあったのを知ってるかな?」
「もちろん。流石にサービスが開始してすぐに流れたワールドアナウンスの内容については俺もかなり驚かされた‥‥か‥‥ら‥‥って、もしかしてお前が‥‥?」
「うん、そうだよ。僕がワールドアナウンス?で流れたユニーク種族だよ。びっくりしたよ初ログイン地点おかしいだろ!って叫んでたらさ~突然、プレイヤー全員に向けてユニーク種族が誕生しました!ってアナウンスだもんね~」
「まじかよ‥‥ユニーク種族になる確率って果てしなく低いんだぞ?お前がそれなりに運が良いからって予想外過ぎるぞ‥‥俺は真也がレア種族にはなるかな?とか考えてたんだが‥‥」
「あの時は僕もびっくりしたよ~好奇心でランダム種族選択したらユニーク種族になるんだもんね~笑えるよね~」
「お前な‥‥笑い事じゃねーぞ?恐らくお前の事をプレイヤーが特にベータテスター達がユニーク種族についての情報を手に入れようと血眼になって探してるぞ‥‥」
「そうだろうね~だから偽名を使う事にしたんだよ。チュートリアルでハンスさんって人が僕の探求者ギルドを登録してくれたんだけど、ハンスさんが偽名でも大丈夫だって言ってくれたからシンって名前で登録したんだよ」
「そのハンスさんって人にはユニーク種族だって事は言ったのか?」
「いやいや流石に言わないよ?」
「けど、バレてね?」
「ん~どうなんだろ?ハンスさんが言ってたのは貴族などがお忍びで登録する場合に偽名で登録するからだってさ」
「ユニーク種族だと国が放っておかないって聞いたのはどのタイミングだ?」
「探求者のランクについて聞いた後にそのまま説明してくれた」
「その後、偽名で登録したんだよな?」
「うん。そうだね」
「確実にバレてるだろ」
「そうかな?」
「俺はそう考えてる」
「そっか~‥‥まあ、ハンスさんなら国に報告とかしないでしょ」
「いや、その人の事は知らんが大丈夫なのか?」
「うん、勘だけどね」
「勘!?」
「だって、あの人はかなり優しいもん」
「優しいからって報告しないとは限らないだろ?」
「まあ、そうなんだよね~僕の勘が外れてたら大変だね」
「その時はどうするんだ?USO辞めちまうのか?」
ん~やっぱり拓哉は良い奴だね~でも辞めるつもりは無い。アーシェに再会するまでは絶対に辞めない。
「ううん?辞めないよ」
「辞めないなら良かった。だが、本当にその時はどうするんだ?」
「うーん‥‥とりあえず変装かな?どうするかってのはその時にならないと分かんないね」
「そうか‥‥なら、その時は俺も協力させてくれ!俺がベータで作ったクランのメンバーに頼んでなんとかしてやるよ!」
「えーと‥‥『アポロン』だっけ?」
「え!?なんでお前がその名前を知ってるんだ!?」
「えーとサンを探そうとしてふらふらと歩いてる時に偶然聞こえたんだ。『アポロン』のクランマスターのサンが時計台の下で誰かを待ってるようだって」
「マジかよ‥‥お前にクランの名前を教えるのはもう1度クランを作ってからって考えてたのに‥‥」
「えっと‥‥ドンマイ?アポロンって名前は凄くいいと思うよ?どっかの神話の太陽神の名前だね」
「そうなのか?」
「知らなかったの!?」
「いや~副マスが考えた名前だからな~」
「サンはなんて名前にしようとしてたんだ?」
「『サンタクロース』か『サンと愉快な仲間達』どうだ!良い名前だろ!」
「『サンと愉快な仲間達』は酷いけどまだましだよね。だけど、『サンタクロース』は無い!絶対にあり得ないね」
「お前も他のメンバーと同じ事言った‥‥」
「『サンタクロース』って誰かにプレゼントでも送りたいのかな?」
「夢があって良いと思ったんだよ‥‥」
サンにネーミングセンスがここまで無いとはね‥‥頭は悪くないはずなんだけど‥‥悲しくなるね‥‥
エア「拓哉は僕より成績が良い。だけど、なんでか宿題は全くやる気が無いんだよね。毎回、休みが終わる直前に見せてくれ!って泣きついてくる。宿題を見せてると僕が間違えてしまってる所を指摘してくる。疑問は色々あるけど‥‥まあ、間違いを教えてくれるのは助かるから気にしない事にしてるんだ」