里を封印
今回、過去最高に長くなりました。更新がおくれた理由はそれです。長くなったとしても後1話で精霊の泉編を終わらせると有言実行した結果こうなりました。
僕達は泉の封印を解除して姉妹の家に戻ってきた。
「あっさりと戻ってこれたね~」
「はい」
「おうちにかえってきた~!」
「そうだね。ライカちゃんは行きは寝てたけど帰りはどうだったかな?」
「えっとねー‥‥おねーちゃんのおんぶがたのしかった!あとね、あそこのもりがすごくきれいだった!けど‥‥もういちどはいきたくないの‥‥」
「それはどうして?」
「なんかねーきれいだったけどあそこにいるとすごくさみしいくてかなしいきもちになったのー」
「そうなんだ?」
綺麗だったけど寂しくて悲しい気持ちになった‥‥?どういう事だろう?
「うん」
「そうなんだ‥‥」
ライカちゃんには何かそういう雰囲気を察する力があるのかな?スキルとか。
「気になる事は色々とありますがそろそろご飯にしましょう」
「ごはん!」
「そう言えば僕ってこの世界の人達が作った料理を食べた事が無かったなぁ‥‥」
「そうなんですか?」
「うん。食べる機会が無かったんだよね」
「そうなんですね‥‥では、頑張って作りますね!」
「うん、ありがとう。楽しみにしてるよ」
「エアおにーさん。おねーちゃんのつくるごはんはすっごくおいしいんだよ!」
「それは良いね~」
ご飯の話をしていると玄関から聞き慣れない男性の声が聞こえた。
「やあ、ライラもライカも元気かな?もうすぐ君達姉妹の旦那になる私が来たよ」
そこには、ライラさんが語っていた特徴を持つ男性が立っていた。この人が里長の長男だろう。その後ろにはライカちゃんを誘拐しようと襲撃して来た人がいた。姉妹の家の中からいつの間にか助けられてたんだね‥‥この感じだとこの男がライカちゃんの誘拐を頼んだのは確定だね。なんで、連れてるのかは本当に分からないけど。
「‥‥なんの用事ですか?」
ライラさんはすごく嫌そうな顔をしている。そして、ライカちゃんはきょとんとした顔で里長の長男を見ている。良く分かってないようだ。分からない方がいいと思うから説明は絶対にしない。
「そんな嫌そうな顔をしないでくれたまえ。君達の家に君が助けた男が居座っているって聞いてね?本当かどうかを確認しに来たんだよ」
「わざわざどうもありがとうございます。確かに私が助けた男性はここにいますがなにか?確認出来ましたよね?では、お帰りください」
「まだ、帰らないよ。確認ついでに伝える事があったからそれを伝えなくてはね。だけどそれを伝える前に1つだけ言わせて欲しい。良いよね?」
「ダメと言っても言うんでしょう?」
「まあね」
「なら、勝手にしてください」
「じゃあ、言うよ。恐らく君は泉の封印を解除する為にその男に頼ったんだろうね‥‥私と夫婦になりたくないから。だが、その顔を見るとダメだったようだね!やっぱり君とは夫婦になる運命だったんだね!」
「‥‥」
「無言は図星と考えて良さそうだね!封印が解除されなくて助かったよ。君達と夫婦になれるのだからね!」
「‥‥伝えたい事はなんですか?」
「つれないなぁ‥‥まあ、良いや。伝える事は君達姉妹との婚姻が明日になったって事を伝えに来ただけだよ」
「え!?どういうこと!?」
「いやね?私は君が助けたっていう男を確認しようとして君達の家に来たんだよ。そして、そこには君達の家でやられている奴がいて君達がいないときた。だから、私は家に戻ってその事を伝えたら君達が狙われていて心配だから、帰ってきたら婚姻は早い方が良いってなってね?明日にするから伝えるようにと言われたからね。まあ、こいつは何故か記憶が全く無くてね。ここに来れば何か思い出すと思ってとりあえず連れてきたんだ」
「‥‥何故、私達が帰ってきたのが分かったの?」
「それは簡単だよ。人にお願いして帰ってきたら伝えて貰えるようにしてたからね」
「なるほど‥‥」
「まあ、伝えるのはそれだけ。じゃあ、明日を楽しみにしておくれよ?」
そう言って彼は襲撃犯と共に帰っていった。
「はぁ‥‥疲れました‥‥あの人と話すのはきついです」
「僕は見てただけだったのにすごく疲れたよ‥‥あんな人が居るんだね」
僕はあんな感じの人に始めてあったから余計にだよ。
「あのひとがはなしてたことはよくわからないけど、ライカはあのひときらい!おねーちゃんをいじめてたから!」
「ライカ~!そう言ってくれてありがとうね~!あいつはお姉ちゃんも嫌いだよ~」
「姉妹のスキンシップも良いけど婚姻は明日って急だね‥‥まあ、あの人は封印の解除を失敗したと思ってるから解除出来たのを伝えれば結婚は無しに出来るんじゃないかな?」
「無理でしょうね‥‥解除出来たのを確認できても恐らくは婚姻を無しにする事は無いでしょうから」
「ていう事は‥‥この里を完全に結界で覆って封印する感じになるんだね」
「はい。それしか逃れる方法はありませんので」
「里長の家だけ封印する事は出来なかったの?仲の良かった人もいるでしょ?」
「はい、そうですね」
「じゃあ‥‥」
「何故か狭い範囲を封印をしようとすると魔力が全く足り無いみたいなんですよね‥‥ギリギリ魔力が足りるのが里全体の封印からなんです‥‥かといって森全体に封印をしようとしても魔力が足りないんですよね‥‥意味が分からないです。なんでしょう‥‥」
「使いにくいねぇ‥‥」
「だから仕方の無い事なんです。皆も分かってくれるはずです」
「そっか‥‥分かったよ。僕の従者になってくれた君達を結婚させるわけにはいかないからね。その方法でいこう」
「ありがとうございます」
「仕方ないからね」
「ですね‥‥では、ご飯を食べましょう!作ってきますね!」
「おなかすいた‥‥」
「ライカごめんね。すぐ作るからね」
「がんばる‥‥」
ライラさんは何を作ってくれるのかな?ちょっと楽しみだね。
◇◇◇◇
10分後
「お待たせしました~!」
出てきたのは麻婆豆腐と肉と卵を炒めたシンプルな料理の2つだ。この世界特有のが出てくるのかと思ったらまさかのよく見る料理だった。調味料とかはどうやって手に入れてるのかは不明だけど美味しそうだから問題無い。
「おねーちゃんのつくったちょっとからいおとうふだ!これすき!たべてていい?」
「うん。お腹空いてるでしょ?食べてて良いよ。でも、お行儀良く食べなさいね?」
「はーい!いただきます!」
「はい。エア様。我が家の特製ピリ辛豆腐です。どうぞ。お食べください」
「ありがとう。美味しそうだよ」
麻婆豆腐がピリ辛豆腐‥‥この世界だとそんな名前になるんだね。
「ありがとうございます。後、こちらはピリ辛豆腐だけだと足りないと思われたのでレクスボアの肉とステラバードの卵、そして玉ねぎを使用して塩と胡椒で味を付けたシンプルな炒め物も作りました。両方ともお口に合えば良いのですけど‥‥」
なんか、凄そうな魔物の名前が出てきたけど気にしない。気にしないったらしないんだ!
「じゃあ、いただきます」
「はい。どうぞ‥‥ライカ以外の人に食べさせるのは初めてなので少し不安です」
まずは、ピリ辛豆腐を一口。うん。麻婆豆腐だね。完全に麻婆豆腐だからピリ辛豆腐は麻婆豆腐で良いね。これは、店を出せるくらい美味しいと思う。辛さはライカちゃんも食べられるようにかなり控えめだけどね。
「凄く美味しいよ。このピリ辛豆腐はこれくらいの辛さの方が僕は好きかもしれない」
僕は辛いのが苦手じゃないからもっと辛くても問題は無いけど麻婆豆腐は基本的に辛さ控えめが好き。白いご飯が食べたくなる味だなぁ‥‥
「そうですか‥‥」
「エアおにーさんもこのおとうふすきなの?」
「うん、そうだね。好きだよ」
「よかった~おねーちゃんのごはんはぜんぶすきだからおにーさんにもすきになってほしかったんだ!」
「ライカ‥‥!」
ライラさんが感動してライカちゃんを抱き締める。いつも、美味しいとは言われてても全部好きって言われると嬉しさが凄いんだね。きっと。
「おねーちゃん。ぎゅっとされるとごはんたべれないよ~」
「あぁ!ごめんね」
その状況を見て姉妹愛が強くていいね~と思いながら炒め物を食べる。
「うわ!美味しい」
肉の甘みが途轍もない。ボアって言ってたから肉は魔物の猪かな?こんなに美味しいものなんだね‥‥卵も濃厚な感じなのにくどくない。玉ねぎの味も肉や卵に負けてなくて‥‥あぁ‥‥説明が出来ない。分かる事は材料が良いのと、ライラさんの料理の腕はプロクラスになってるんだろうなぁ‥‥って事だ。
◇◇◇◇
あの後も箸を動かす手が止まらなかった。
「ふぅ‥‥ご馳走さま。凄く美味しかったよ」
「ありがとうございます。頑張って作ったかいがありました」
「ひさしぶりにおねーちゃんのおとうふたべられてうれしかった」
「良かったね。ライカちゃん」
「うん!」
「食べ終わってすぐのところ悪いけど、ライカ聞いて欲しい事があるの」
「なに~?」
「この後、私達はこの家を出なきゃ行けないの」
「何で~?」
「えっと‥‥さっき来てた人いるでしょ?」
「うん。あのひといやだー」
「あの人が意地悪をしてこの家に居にくくしちゃったの」
「そうなんだ‥‥」
「だからね?こっそりとこの家を出るの」
「このいえはすきだけど、おねーちゃんとあんまりいっしょにいられないからきらいでもあるの。だから、わたしね‥‥エアおにーさんのじゅうしゃ?になってかぞくになって‥‥おにーさんとおねーちゃんがいっしょならどこでもだいじょうぶだよ!」
「ありがとう。ライカ‥‥ごめんね‥‥」
「じゃあ、この家にお別れを済ませたら僕とライラさんとライカちゃんの3人でこの家から出て街で暮らそう」
「まち!わたし、もりからでたことないからたのしみ!」
「あはは!大丈夫そうだね。じゃあ、お姉ちゃんと一緒に荷物をまとめておいで?」
「うん!わかった!」
「ありがとうございます。では、行ってきます。少しだけお待ちください。荷物は少ないのですぐに終わりますので」
◇◇◇◇
3分程して、2人が戻ってきた。
「おまたせ~!」
「えっと‥‥お待たせしました」
「うん、じゃあ。荷物はしまっちゃうね」
そう言って僕は荷物をインベントリに収納した。
「え?」
「すごーい!」
「これは、異界人の全員が持ってるインベントリって言われてるスキル?なんだ。大体なんでも収納出来るみたいだよ。じゃあ、行こっか」
「は、はい」
「うん!」
僕達はこっそりと家を出た。監視は近くにはいないみたいだ。
「ごめん、ほんの少し待ってて?試したい事があるから」
「なんですか?」
僕は試しにインベントリに姉妹の家が入るか挑戦してみる。
《所有権限が無いので持ち出せません》
「所有権限?」
「どうしたのですか?」
「えっと‥‥僕をこの家の持ち主って事に出来る?」
「はい。もうこの里には帰れないので大丈夫ですけど‥‥」
《所有権限を取得しました》
「ありがとう。よし、これなら‥‥!」
家はさらっとインベントリの中に入った。
「!」
「うわぁ!おうちがきえちゃった‥‥」
「収納出来ちゃったよ‥‥」
「えっと何をしたんですか?」
「説明は後でね。さっさと里を出るよ」
「はい。後で絶対に聞きますからね!」
「おにーさんすごい‥‥」
こうして、僕達は里を脱出した。
「里を脱出してすぐですみませんが、私から少し離れててください。里を封印します」
「あ、うん。分かった」
「おねーちゃんはなにをするの?」
「あの太ってる人とかが僕達を探しに来る事が出来ないようにするんだよ」
「そっか~」
ライカちゃんと仲が良かった人とかは居なかったのかなとは思う。けど、ライラがそこを知らないわけ無いから居なかったのかな?ライカちゃんはよく分かって無いだけかも?
「行きます!私は時空の干渉を拒絶する・莫大なる魔力を糧とし・顕現せよ!〈拒絶結界・時空〉」
ライラさんの詠唱が終わり、何かが発動した瞬間。目の前にあった里は消え去った。
「え‥‥里が消えた‥‥?」
「おねーちゃん‥‥すごいけどつらそう」
ライカちゃんは少し辛そうにしているライラさんを心配そうに見つめてる。
「はぁ‥‥はぁ‥‥ふぅ‥‥終わりました」
「えっと‥‥何をしたのか教えてくれる?」
「里を覆うように時間と空間が拒絶される結界を作り出したんです。これで、結界の中の里は時間も空間も拒絶されて止まっています。そして、私が解除するか死ぬまでそのままです。そして、結界を確認出来るのは私だけです」
「そ、そっか‥‥魔力は大丈夫なの?」
そんな事をするとは聞いてはいたけど途轍もない事だった。
「ギリギリですね。貯蔵していた魔力を全てと私の持ってる魔力の殆どを持っていかれました」
「おねーちゃん‥‥」
「大丈夫だよ?ライカ。戦闘は魔力が無くても出来るし、体に問題も無いからね」
「でも‥‥」
「私は、ライカが笑ってくれる方が嬉しいし元気が出るの」
「わかった!」
ライカちゃんは全力の笑顔をライラさんに向けた。
「ありがとう、ライカ。元気出てきたよ」
「辛そうだったけどライカちゃんの笑顔で元気が出たみたいだね」
「はい、心配かけてすみませんでした」
「大丈夫だよ。さ、2人とも行こうか。アンファングの街へ!」
「はい!」
「うん!まちたのしみ!」
僕達はアンファングの街に向かって歩き始めた。
「あ。そう言えば僕‥‥里の場所を知らなかったから街への戻り方が分からない‥‥」
ちょっと、この先の事は不安だけどね。
エア「そういえば、ライラさんが僕を助けた時に僕を助けなきゃ森が大変になるとか聞いてたけどどういう事なんだろう‥‥森が大変になる要素は無かったよね?これからあるって事かな?」
作者からのコメント
今回、5000文字以上ありました‥‥エアとライラとライカの3人でご飯を食べるシーンがいれたかったのです。まあ、無くても今までからしたら長いと思いますが。1話が大体1000文字から2000文字程度で作ってるので3~5話分ですね‥‥
今回、3人で食べてたご飯は自分で食べたいなぁ‥‥と思う料理を書きました。麻婆豆腐が食べたい!




