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あいつもいたし、身をゆだねてみる。

月曜日の朝、大多数の人が憂鬱になり前日までの怠惰を求める

しかし、カイトにとっては普通を謳歌できる日々の始まりを告げるすがすがしい日だ


高校生にして、世界最強の暗殺者。


その普通の日常とはかけ離れた生活をしてきたカイトにとって、高校生としての普通の生活は楽しくて仕方のないもので大切な時間だった


そしてなにより、その日々を失うことが怖かった。


一度、中学生の時に、友人から

「普通じゃない」ときみ悪がられた時以来、カイトは普通を演じることに能力をそそいできた。


カイトの身体能力は、普通の高校生と比べると異常すぎる。バレたら絶対にきみわるがられる。


そのため、全力で手を抜くし、全力で普通をえんじるのだ。



ゲームをやっている時以外は。

「復活しろ!頼む、蘇ってくれえ!!」


むなしい声が教室に響く


「うう、弱いんだからむやみにデス量産しないで欲しいのですが」

「・・・ヘタすぎ」


カイトはゲームが好きである、そして下手である。


カイトには学校に二人のゲーム友達がいる、マサルとユイの二人だ、もともと人と話すことが得意ではない二人はカイトに誘われる形で一緒にゲームをするようになった



マサルは細い目に小太りが目立つ青年でゲームの腕は三人のなかで最もうまい、カイトと知り合ったのは隠れてトイレでゲームをしているところを見つかった。


ユイは肩に届かないくらいのサラサラのショートカットで前髪が長い女の子、大きい眼鏡をかけている。

もともとはそこまでゲームをするわけではなかったが本を読んでいるユイにカイトが声をかけてゲームを始めた



「ち、うるせーなあいつら、陰キャどもがしょぼいことで騒ぎやがって」


この学校は私立学校としてある程度の自由は認められているが、その中でもケンヤは不良と呼ばれている。


「まあそういうなよ、趣味があることはいいことじゃないか」


スクールカースト、学校内の目立つ生徒などを示す際に用いられる言葉だが、セイヤはその最上位にいる。目立つ地毛の金髪に整ったルックス、運動神経もよく学業の成績もトップクラス、人当たりも悪くない。

高校生にしてモデルまでやっており、人気はプロをも超えるほどだ


「セイヤが言うなら許してやるけどよ、お前もあいつらが自分より上とは思っていないだろ」

「・・・まあ、もっと青春を楽しむべきだと思っているよ、ああやって自分たちだけの殻に閉じこもっていたら、楽しみを知ることもできないからね」


内心、セイヤは自分がカイトたちより下だと思ったことはなかったが、一つ気がかりなことがあった


それが、ナツキの存在だ。



男がセイヤなら女はナツキ、女の子らしい華奢な体に幼い雰囲気に色気を漂わせる顔。

セイヤのように特に何かの活動をやっているわけではないが、その知名度は都会にあるこの学校では収まらず、周辺の町にまで知れ渡っていた。

性格も明るく時にはおしとやかで人気があった、たまに人を殺すかのような眼ををすること以外は。


毎日のように告白を受け、毎日のように散っていく男たち、それと似たような境遇にあるセイヤは、ナツキを自分のものにしようと、積極的に声をかけているが、他人と同じ対応をされるだけで脈があるような反応はない、しかし・・・


(・・・なぜナツキは、あの男と話す時だけあんなにいい笑顔をするんだ?)


それは、


「うふふ、カイト君、今日はなんのゲームをしているの?」

「ん?なんだっていいだろー、ほら、今いいとこなんだから、しっし」

ひょいひょいと手でおいやる


それはカイトだ。


カイトは学校で特段目立つタイプではないが、顔は少し幼く、人と話すのも苦手そうではない。

しかし、あまり学校のイベントに参加することもなく、放課後はなにかに誘われてもいつも断っていた。

部活にも入っていいないため、クラスメイト以外には知られていないことも多い。

しかし、学校にいる間のカイトは実に楽しそうで、クラスメイトに話しかけられると、宝くじでもあたったかのようなパアっと明るい表情になる。


学力普通、運動能力普通。


カイトに何一つ劣っていると思っていないカイトは、ナツキに話しかけられるカイトに少なからず嫉妬心を抱いていた。


キーンコーンカーンコーン


昼休みの終わりを知らせるチャイムがなり、ほかの教室などに行っていたものも自分の教室にもどり、席に座る。



その時だ。




一瞬。


その一瞬で教室は光に包まれた。



「「きゃあああ!!」」

「なんだ!?」


即座に生徒の悲鳴が上がるが、その一瞬で体を動かすまでの反応をできるものはいなかった。


二人を除いて。



この異常事態にナツキはカイトを見るので精いっぱいだった、


しかし、カイトの人間離れした反応速度は、この緊急事態にさえも教室から出るという選択肢を与えた。


反射的に逃れようとしたカイトはナツキの視線に気づくと、ほんの少し無邪気に笑い、光に身をゆだねることにした




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