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金城町商店街女子サッカー部  作者: ロッドユール
12/122

熊田権造

「今日からうちのコーチをやってくれることになった熊田権造さんだ」

 たかしが改めて熊田をみんなの前で紹介した。

「クスッ、権造ってすごい名前」

 熊田の直ぐ隣りに立つ繭は、思わず少し笑ってしまった。

「熊田先輩とは高校、大学、社会人とずっと一緒にプレーしてきた仲なんだ」

 たかしがうれしそうに言う。

「ええ!サッカー選手だったんだ。見えない」

 繭は驚いて、隣りの熊田を改めて見上げた。どう見ても、住所不定、職業不詳の犯罪者予備軍といった感じだった。

「こう見えても、先輩は日本代表にも呼ばれたことのあるすごい選手だったんだよ」

「えっ」

 繭は更に驚いた。

「本当はすごい人だったんだ。ごめんなさい。名前を笑って」

 繭は人知れず反省し、首をうなだれた。

「???」

 その時、隣りに立つ熊田は、そんな一人奇妙な動きの繭に、何だこの子は?、と首を傾げていた。

「あいつが代表までいったサッカー選手かよ」

 一方、選手たちの列の中では、野田が怒りを込めて呟いていた。

「監督の先輩だって」

 志穂が野田を見る。

「でも、変態に変わりはねぇよ」

 仲田が一人、気合を入れる。

「そうだそうだ」

 野田が賛同する。

「あたしなんかもろだよ。もろ。もろ見ちゃったからね」

 野田が続ける。

「あたしもだよ」

 野田と仲田は、真正面で、熊田の下半身をもろに見てしまっていた。

「私も・・」

 志穂も顔を赤くして、恥ずかしそうに小さく言った。

「まったくあの野郎。ぜってぇ~、許さねぇ」

 野田が息巻く。

「まじで むかつくな」

 仲田が続く。

「でも、どうするんです」

 志穂が言った。

「どうもこうもねぇよ。あんな奴がコーチなんて認めねぇよ。ねぇ、宮間さん」

 野田が宮間を見た。仲田、志穂も宮間を見る。

「ああ」

 しかし、宮間はやはり二日酔いで気のない返事だった。

「宮間さんしっかりしてくださいよ」

 野田は呆れた。


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