表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/173

81 16歳になりました

皆さまこんにちは!

ヘビがいなくなり、ヘビ使いでもヘビ使われでもない、ただの何でも屋さんのフィオ、女子です!




◇◇◇




ルーと再会を果たした後、ルーに不在の間の成長をチェックされながら、ルーの背に乗ってマルシュに戻った。ヨーコさんの下宿に着いて、私の今のお城を案内すると、ルーに少年設定は無理がある、止めろと言い渡された。


『こんな華奢な少年いるか!髪も長く手入れされてたから一定の抑止力があったというのに、こんなにクリクリに切ったのでは親しみやす過ぎて、誰もかれも寄ってきて鬱陶しいわ!』

ちんちくりんとか、クリクリとか言いたい放題言いやがって……


しょうがなくヨーコさんに、実は女子でした!と告白に行くと、残念な子を見る目で見つめられた。何故に!


「ヨーコさん、常連客の皆さんにも、偽っててごめんなさいって謝ったほうがいいですか?」

「いや……特に必要ない……かな……?ところで銀のヘビちゃんは?」

「修行の旅に出ました!」

「えええっ!一人……いやいや1匹で?フィオちゃん案外スパルタだねえ」

スパルタはミユの方だってば!


で、聖女エリスとの対面の場を設けてくれた、タブチ宰相に御礼を言いに旧城に行った。


「おお!西の四天様!契約者を傷つけてしまった前回の大罪、全て私の所為です。どうか、どうか我が国に天罰を下すことはお許しください!どうか!どうか!天罰は私一人に!!!」

タブチさんが床にオデコを擦り付けてひれ伏す。


『?セレ、すまん。何のことかわからん』

「すいません、タブチさん。うちの子マジ忘れしてます。だからもう気にしないでオッケーです。さあさあ、今日はケーキ作ってきましたよー!」


『ケーキィィィィィ!!!』


「……半身である契約者に刃を向けたことを、忘れたことに……してくださるのか……これ以上不問にするために……マルシュの復興に力を注げ……と……何と……慈悲深い……」



何でモフモフとおっさん、泣いてんの?


私はチーズケーキを切り分けて、緑茶を入れる。

ルーは目を充血させて食べる。怖いよちょっと。


「レーガン島の島神様、聖女様が祭祀を執り行ってくださり、なにもかも上手くいって、無事に天にお帰りになりました。タブチさんが聖女様と引き合わせてくれたおかげです。ありがとうございました!」


「お役に立てて良かったです。そしてセレフィオーネ様、良かったですね。四天様がお戻りになって。お顔から力が抜けて、柔らかくなられた」


そんなに不安定な顔してたのかな?苦笑いする。


「まだしばらく、マルシュにご厄介になります。よろしくお願いします」

『我の不在時のセレとミユへの忠心、感謝する』


「西の御方様!!!何のもてなしもできぬ状況で心苦しいのですが、末永く、お付き合いしたく思っております」


「ルー、タブチさんもルーのこと見えてたんだってさ!」

『なぬ!ぐっ、ご、ゴホゴホゴホっ………』


ケーキが気管に入ったらしい。ほっとこ。







「ねえねえルー、いつかまた私たち、シュナイダー殿下と衝突するでしょう?」

『まあ、避けられんな』

「シュナイダー殿下の弱点って、やっぱり炎系だと思うのよ」


氷に薔薇、燃やすのが一番手っ取り早い。

まあきっと、殿下も進化してそうだけど。


「私、これまで体力づくりと身体強化頑張ってきた。あとミユに水魔法をかなり鍛えてもらった。次は火魔法を強化したい」


『うーん……火魔法は正直なところ、既にオレとセレは同格で、特に教えられん。あいつを呼ぶか?』

「アスはダメ。ギレンの(そば)から離したら」


『ならば、俺の熱砂を覚えろ。温度をもっと上げれば、大抵の物は溶かせる』

「うん。ありがとう!」



ルーに人気のない海岸で熱砂の指導を受ける。ルーが私に魔力を与え、砂との親和性を高める。ドーピング万歳!


『砂は土よりも自由だ。土のように固まりをイメージするのでなく、一粒一粒を操る感覚を鍛えろ』

海岸の砂がルーの魔力のお陰で私の指先に集まる。


『集めろ!、よし、次は風を起こして振り撒け!そうだ、次。水を含ませ圧縮。まあまあだな。よし、これを100回、スタート!』


「うりゃあ!」

『セレ、もっと華麗に出せ!俺の属性を契約者のセレが汚く見せてどうする!ああ!雑!やり直し!清く!正しく!美しく!』


そのキャッチ、どっかの女の園で聞いたぞ?そりゃ私もこないだまで男装してたけどさー!


「ルー、そう言えば砂のない土地ではどうすればいいの?」

『砂のない土地などほとんどない。どんな粘土質の土壌でも、数十メートル掘れば砂層にぶち当たる。案ずるな。ほら、日没までに終わらせろ!』


「はーい」


砂を制御できるようになると、一粒一粒を高温で焼く過程に入る。その修行と並行して、何でも屋としての依頼を受けているうちに、日が短くなり、風が冷たくなり、冬が来て、年が明けた。


私は16歳になった。




16歳になって、よーやく身長160センチになった!チョッピリサバ読んでるけど、誰も誤差気にしないし!四捨五入四捨五入!前世を超えたぜ!


ただ……この世界、皆デカイ。エリス姉さん女子なのに頭一個分違うし。

もう……諦めた。嘆くのは今日でおしまい!私チビです!えへっ!


髪はこの半年で肩にようやく付くくらい伸びた。こないだヨーコさんにハサミで整えてもらったら……前世の名画、〈麗子像〉みたいになってて……泣いた。私の習得優先順位が変更した。熱砂より火魔法より先にシャギーカットを覚えるべし!


そんな16、こんな16。前世では法律で結婚できる年齢。


結婚、かあ。



私には……無縁だ。












お久しぶりです。よろしくお願いします。

セレとルーの仲良し新生活スタートです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ギレン「時は来た(ガタッ」
[一言] 8116歳かと思いました(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ