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70 カビラ滝の神殿に着きました

島の北東のジャングルの中にあるカビラ滝には何の障害もなくたどり着いた。前世でいう平泳ぎで滝壺に入り、滝の裏側にまわると、そこは水面から一段高くなっており、巨石で塞がれている。


「あの奥が神殿なのかな?」

ミユたんと水滴を落としながら這い上がり、巨石にたどり着く。

押してみる。引いてみる。横にずらしてみる。


『開かないねえ』

「壊していいのかな?」

『セレちゃまの剣で?』

「もしくは爆破で」

『爆破って、セレちゃまの新作魔法は、中まで壊しちゃうよお?』

「うーん、じゃあミユたん、滝のお魚さん達にちょっと聞いてきて!」

『あーい!』


「どうだった?」

『壊しちゃメッ!て。『合言葉』を唱えなさいって!』


それ、絶対ギルドで伝承とかなきゃいけないよね。聞いてないし。

『どーするぅ?』


ここは……あれしかないよね……おまじないチートの名にかけて!


「ひらけーゴマ!!!」


ズズーン!!!


巨石は地面に吸収されていった。


いや、次の策なんてなかったけど……なんか開いたの残念?








中は小さな空洞で、グランゼウス邸と同じくらい清浄な空気でピリリとしていた。祭壇らしき場所にもはやミイラ化したお供え物と、ドライフラワーが載っていた。


「一体何年放置されてたんだろ?ミユたん、気合い入れてお掃除ターイム!」

『おー!』


ミユたんが口からジェット水流を吐き、水圧で一気に汚れを落とす!なんか……前世、テレビショッピングでこんな掃除用品あったな………


私はその後綺麗に雑巾で拭き上げる。お彼岸を思い出すわー!日本のお墓と違って蜘蛛の巣ないだけマシだね。ミユたんが私の手の届かないところも拭いてくれる。

小一時間キュッキュッ、キュッキュッと二人で磨くと、キラッキラッの空間になった。


私は自分達にドライヤー魔法と浄化魔法をかけて身綺麗にすると、森で摘んできた花と、イチジクやあんずのような果物をお供えする。そして、御神酒がわりにグランゼウス(うち)のとっておきのウィスキーの封を切り、石の器になみなみと注ぐ。


『ううーん、いい香り!』

「ノーノーノーノー!」

ダメダメミユたん!あなたが飲むとホンモノのウワバミになっちゃうから!!!


「じゃあ、ミユたん、お参りしよっか!」

私達は手を合わせ……あ、ヘビに手はなかった……神さまにお参りした。



「レーガン島の氏神さまー、長らくほったらかしてすいませんでしたー!誠心誠意お掃除しましたので、これからも島の生き物達をよろしくお願いしまーす。」

『しまーす!』




フイに頭上の岩の裂け目から光が射した。


光の下の祭壇に一匹の白ヘビが現れた。

『よく参られた、冒険者よ……ってぬおおお!何故東海王者がココにぃ!』


「……ミユたん、ちょっとゴメン、鑑定!」


青く光る。


ミユ (ヘビ<精霊、小龍の娘、西の四天とセレフィオーネのしもべ、南の四天の教え子、東海王者)

状態:良好

スキル:水魔法、反射魔法、毒霧、呪い


「確かに東海王者って項目増えてる!なんかボクシングのタイトルっぽい」

『それカッコいい?』

「マジかっけー!」


『うおおい!無視すんな、いや、しないでください!』





「えーと、白ヘビ様がここの神様なの?なんで話通じるの?」

『私はここの主人の御使だ。主人の力でヒトと話せる』


「なんでB級以上の冒険者に参拝させるのですか?」

『うむ、主人の願いは強者でしか叶えられんのでな。一定のレベルを設定し、ここで力を試させてもらっておる』


「えっとー、試す?」

『セレちゃま、セレちゃまが出るまでもありまちぇん。同族相手など、ミユで十分!』

『待て!待ってくれ!東海王者と……契約者の力を試すつもりなどない……ありません!』


「……契約者ってわかるの?」

ルーはここにいないのに……

『主人が教えてくれますゆえ』


「……それで……御用件は?」

『お二方の来訪、月の女神の差配だとしか思えません。……我が主人は……天命を迎えようとしております』


「『…………』」


『安らかな眠りにつくのを、お二方に見届けてほしいのです』


「それは……強者でなければ無理なの?危険ってこと?」

『危険はありません。ですが、心身ともに強くなければ認められません』

「でも、私達、ここの神殿に何の信仰もないよ?」

『西の四天様に(えにし)があるだけで十分です』


「……ミユたん、どう思う?」

『困っているなら、助けてあげよう?かわいそう』

『何卒、お願い申し上げます!』


『セレ、来い!助けるぞ!』

ルーの声が聞こえた気がした。


「私で力になれるなら、喜んで。何をすればいいの?」

『おお!主人(あるじ)様、見つけましたぞ!ありがとうございます!契約者、東海王者!』

私達は自己紹介した。






ここの神さまの御使の白ヘビくんはレンザくんとのこと。


「レンザくん、早速、お別れの会……って流れになるの?」

「いえ、実は巫女を連れてきてほしいのです。巫女の祝詞で見送られることが慣例でして」


「巫女?どこにいるの?この島?」

『いえ、島の巫女は数十年前に途絶えました。他所から招いていただきたい』


「ゴメン、私、全く知り合いいない」

『見つからなければ仕方ありません。その時は我々だけで送りましょう。ですが、一応探していただきたいのです』

『どのくらい猶予はあるの?』

『ギリギリ……あと1年かと……』



私とミユたんは1年後、巫女を連れているかいないかはわからないけれど、ここに戻ることを約束してレンザと別れた。


その足でギシナ山に一気に登り、高山植物であるスッキリ草をそっと少しだけ採取した。







7月です。4月に連載スタートして三ヶ月。70話です。

「今日の一冊」のおかげでまた異世界恋愛日間ランキング入りしました。

お読みくださる全ての皆様に感謝を!


今後とものんびり更新になりますがよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 巫女・・・親しい人にアテあるやん
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