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30 初めて依頼を受けました

なんのかんのありましたがゲットしたB級プレート、とってもカッコいい。


S級はプラチナ、A級はゴールド、B級はシルバーで出来ており、ジークじいのカッコいい書体で名前が彫られている。苗字はジークじいのアドバイスで頭文字のGしか入れなかった。グランゼウス……貴族であることが冒険者としてマイナスになることもあり……そもそも冒険者とは己の名前一つで生きて行くのだから、と。


そして、表にも裏面にもトランドルギルドのTとGの意匠が透し彫りされている。ギルドと私のプライドの証。チェーンはお父様がプラチナのものを用意してくださった。何故プラチナ?と思ったら、

「チェーンだけプラチナでは恥ずかしいね?セレフィオーネ?」

つまり、はよS級になれという発奮材料だった。


そしてプレートは前世の軍で言うなれば〈識別票〉。二枚セット。

死んだ仲間を連れて帰れないときに、一枚口の中に入れてガチッと閉じさせて、もう一枚を家族に持ち帰る。そして……いつか亡骸を探しに来た時に髑髏の中のプレートを目印にするのだ。

首からかけると……自然と身が引き締まった。


ちなみにパパンは領地グランゼウスギルドのS級、おばあさまとアニキはトランドルのS級プレートを持っていた。アニキ、いつの間に?


「ん?おばあさまから許可の降りた学院1年のときギルドに登録行ったね。手裏剣?ああ、数年前おばあさまが手裏剣使って翻弄して、ギルドの体制引き締めろっていうから50人相手に100…いや200枚くらい投げたかな?あ、殺し(やっ)てないよ。その後も禁書の検証を兼ねてボチボチ依頼こなしてる」


コダックさん……その時の獲物だったんだ……


「お父様、トランドルギルドのギルバートさん、ご存知ですか?」

「…………誰だって?」


ひ、ひえええ、お父様殺気ダダ漏れえー!触れちゃならない過去ってやつっすね!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!


ということで?初めてのお仕事、頑張ります!




◇◇◇




「ララさーん!」

「セレフィオーネちゃん、ようやく来たー!待ってたわよ!。あら一人?最初だからラルーザさんと一緒かと思った」

「兄は10日前から西の砂漠に紅サソリ捕まえに行ってます。100匹分の毒で新手の薬?作れるとかなんとか?」

まあ、普通は付き添いがいるかもね。でも私にはモフモフがモフッているのだ!


「あ……そーなんだ。突き抜けてる兄妹だわー」


「で、今日、依頼受けてみたいです。どうすればいいですか?」

「んー、本当はね、自分のランクに来ている依頼が一番割がいいの。でもセレフィオーネちゃんのB級の依頼は今、商隊の護衛ばっかりで、セレフィオーネちゃん、泊まりの仕事なんて無理でしょう?」

「はい、今日中に帰る予定です」

「そーなると下のランクに来てる仕事になっちゃうのよね……セレフィオーネちゃんは下位のランクの仕事に抵抗ある?」

「へ?ないです」

我現金必要也。ぶっちゃけお金になるなら何でもします!


「……仕事を選り好みしない姿勢……報告案件ね、メモメモ」

「ララさーん、おっきい声で言って?聞こえないです」

「あら、ごめんなさい。えっとねえ、今ある依頼で姫……じゃなかった、セレフィオーネちゃんの日帰り希望に合いそうなのは、Eランクのヒエールの実の採取と、Cランクの沼地の大蛇の討伐かしら。あ、でもこれ遠いわ」

ララさんの手元にある地図を覗き込む。トランドルの領地の端のその沼地は馬で二日の距離だった。だがしかし!私にはルーがいる!


「ララさん、大蛇討伐行ってみる!地形的にヒエールの実もありそうだし、ギリギリトランドル領だしね」


「……トランドル領内の懸案には労力を惜しまない……メモメモ」

「ララさん?」

「はいはーい!では手続き進めるよー!」




十分にギルドから距離を取り、周りに人間の気配がないことを確認すると、私はマントを脱ぎ、マジックルームに収納する。全身グレーの忍装束の私が現れ、私の胸元に収まっていたルーがトンっと地面に降りたつ。


「ルー!お願い!」

『セレ、りょーかい!』


ルーの全身が七色に光り、一瞬で成獣になる。その大きさは前世で言えば普通車くらい。安定感ある。

私はピョンとルーの背に飛び乗り、ついついモフモフな毛並みに頬ずりする。


『セーレー!くすぐったい!どっちに行けばいいの?』

「はっ!ごめん!えーっととりあえず3時の方向に真っ直ぐ。レッツゴー!」

『れっつごー!!!』


私の白銀は力強く地面を蹴った。



領境のすぐそば、深い森の中にその沼はあった。沼の周りは樹々がなぎ倒され、何かが這いつくばり、草花を踏みつけた跡がある。

「ルー、大蛇がこのあたりの猟師に襲いかかったんだって。どーやったら沼から引っ張りだせるかな?血が出ると他の動物が寄って来そうだから、雷一発で仕留める?水属性だろうし?」


『せれえー!疲れたーお腹すいた〜!』

「はいはい、ただ今」


私はマジックルームから紅茶のケーキとタッパーに入った生クリームを取り出した。

「ルー、マツキさんの新作。砂糖の量、後で教えてほしいってさ」

『おークリームを後がけかあ。これだと激しく移動しても崩れない。マツキ、考えたな。甘さはオレはマツキを全面的に信頼している』

何そのいつのまにかの信頼関係?


ルーがモフモフサイズに戻り、私の膝の上でケーキにかぶりつく。私は冒険者になるにあたって作った新作魔法〈マップ〉でヒエールの実を探す。ヒエールの実は中をすり潰して熱冷ましにもなるし、小麦粉と混ぜて患部に貼ると鎮痛剤にもなる。…………あった。シイの木の上の方に宿り木してる。ヒエールはマーサの腰にもいいから少し多めに取っとくか。


『セレ、客だ』

「ん?」


目の前に、たった10センチくらいの沼と同じ青緑色したちっちゃなヘビが鎌首持ち上げて私達をジッとみてる。ヘビは正直苦手なんだけど……ここまで小さけりゃオモチャにしか見えないから大丈夫かな?


「えっと、こんにちは……ルー、お客様なんだって?」

『…………こいつのオヤジがケガをしたからお医者さんに見てほしいってさ。付いて来いって、行くぞセレ』


聖獣ルーは100パーセント森の動物の味方。

ふう……次回、セレフィオーネ、動物のお医者さんになるの巻!


私は大人しくヘビとモフモフの後をついていった。









30話です。

ようやくセレフィオーネは憧れの冒険者への道に一歩足を踏み出しました。

ブクマが666とゾロ目。ありがとうございます!


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