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3 家族にバレました

トントントン

ノックされた。


「セレフィオーネお嬢様、夕食でございます」

執事長のエンリケが声をかけてきた。パパの厳しいチェックをくぐり抜けた誠実な使用人なんだろなー。エンリケのほかの主要な使用人は私の母がわりのメイド頭マーサ。コックや庭師はいるけどほとんどこの二人で屋敷を切り盛りしていると思う。


「すぐまいります」

私は返事をして、膝の上でうたた寝をしていたルーに声をかける。

「ルーどうする?わたしごはんだけどいっしょにくる?ここでねとく?」

「セレと行く!」

そう言うとルーは私の頭によじ登った。気分はピ○チュウのしもべのサ○シだわ。何故か重さを感じないからいいんだけどさ。



◇◇◇


親子三人の食事は貴族らしからぬ小さな丸テーブルで、三人手を伸ばせば届く距離。パパンの小さな努力を感じて泣けちゃう。


「おとうさま、おにいさま、おまたせいたしました」


私はいつも通り席に着く。頭にちょっと乗っかってるけどあくまでいつもどおり。

私の言葉に対する応答ないので、あれ?っと思って顔を上げると、パパンもラルーザも口を開けて私の頭上を凝視してた。


んん?聖獣って…………契約者や主要登場人物以外の一般ピーポーには見えない設定だったよね。小説では。


「せ、セレフィオーネ、その、頭の上に、なんかモフモフが乗っているが?」


見えてますね……。ここは嘘無しのほうがいいよね。私も今のとこやましいことしてるわけじゃないし。


「おとうさま、このこはルーです。おにわでケガしてました。おともだちになりました」

「セレフィー、だが…………その波動、その者、聖獣ではないのか?」

むむ、聖獣って言葉はこの世界でも通じるのか。私は目玉を真上に向けた。


「ルー?ルーのこと、おとうさまとおにいさまにおはなししてもいいの?」

『特に悪意は感じないからかまわないよ。でもセレの家族だけ。おやじ様になるだけ人前に出るなと釘をさされてる。利用されるからって。そうだ!フルネームもセレ以外に教えちゃだめなんだった』


やだなあ、その特別扱い感。


私は改めてパパンに向き直った。

「ルーは〈してんのいちじゅう〉だそうです。わたしとおともだちになって、わたしのそばにいるそうです。でもこのことはグランゼウスだけのないしょにしないとダメだそうです。おきてです」


パパンは大きく眼を見開き、席を立つと私の足元に跪いた。ウソッ!?


「ルー?ルー?どうしよう?」

『ん?座っていいよって言って?』

「おとうさま、ルーがふつうにおすわりくださいって!」


パパンはゆっくり顔を上げて、恐る恐る元の椅子に座った。あれ?

「おとうさまはルーのことばはきこえないのですか?」

「はあ……聞こえないよ。お姿は見えるけど。セレフィーとはきっとテレパシーで意思疎通しているのだ」


「ルー、そなの?」

ルーは私の肩に移り、視線を合わせるとコクリと頷いた。

『おれが見える時点でよっぽど高い魔力持ちだ。そのうえ話が通じるってのは波長がピッタリあってるか、契約を結んでる間柄か、だよ』

…………聞こえたけど、聞かなかったことにしよう。



◇◇◇



「つまり、我が庭で大怪我をされて、お倒れになっていたということか……」


パパンが初めて見せる厳しい顔をしている。確かに見過ごせないよね。その刺客、我が家を狙ったのか?ルーを狙ったのか?

ルーはそんなパパンの心配をよそに、美味しそうに果物を食べている。結局食べるのね。皮は緑だけど、食べてみると前世の八朔そっくりの味で、ちょっぴり苦くてウマイ。


「おとうさま、ルーはわたしといっしょに、ここにいてもよいですか?」

「もちろんだ。聖獣様にはお健やかにお過ごしいただきたい。ルー様がここに住まうということは我が家がそれだけ清廉であると認められたということ。光栄なことだ。もちろん他言無用。エンリケはじめ使用人にも徹底しておく。ラルーザもいいね?」

「もちろんです」


ラルーザがルーに深々とお辞儀する。ルーは真っ白な尻尾をフリフリして聞き届けた合図をする。よかったあと思って、顔を家族のほうに戻したら、兄ラルーザ、思いっきり私を睨んでるし……イケメンの怒り顔、めちゃ恐い……







まだまだ説明ばかりの内容にもかかわらず、読み進めてくださる皆様、ブクマしてくださった皆様、ありがとうございます !


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