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28 温かな?歓迎を受けました

次期、トランドル、領主…………

私はあまりの衝撃にオデコをゴンとテーブルに打ち付けて、しばらく動けなかった。

『セレ、知らなかったのか?ドンマイ!』

軽い!慰めが軽すぎるぞルー!


「おい、次期領主様が領民の俺たちに深々と頭を下げてるぞ!」

「初見の挨拶じゃな……なんと慎み深い……」

「そうか……リルフィオーネ、お前の娘は立派に育ったのだな……」


ちがーう!


「あ、あの、皆さま、その話はひとまずなかったことに……ね?私は今日は憧れの冒険者になりに来ただけですので」


「うわー!そりゃそうだ。後継問題は軽々しくしゃべるもんじゃないな」

「うむ、エルザ様がきっと口止めしていらっしゃるのだろう」

「セレフィオーネ姫が後継とわかったら、この領を狙ってる貴族に狙われるってことか?トランドルにケンカ売るなんざいい度胸してんなあ」

「リルフィーの娘を消すだと?」


キャー!S級ランカーの殺気がダダ漏れー!


「あの、お願いします。とりあえず新人冒険者として色々教えていただきたくて」


「ギルド長ー!冒険者として扱って欲しいだって!なんて慎ましいの?」

「俺たち先輩に色々教えて欲しいって!ホントに偉い奴は腰が低いんだな」


スキンヘッド、マットくん、君に先輩って言った覚えないんだけども?あーとりあえず流れ変えるべし!

「質問です!私の〈条件つきC級〉ってどういう意味ですか?」


「それはB級の実力があるけれども、本当の依頼をまだ受けたことがないからとりあえず、C級でスタートして、決められた依頼をこなせば、審査なしでB級になれるランクのことだ」


ギルバートさん説明あざっす。なるほど、実践で使い物になるかどうか確かめるのね。

「具体的にはどのような依頼ですか?」


「えーとこれだ。この10項目の中から5つクリアでワンランクアップだ」

手裏剣嫌いコダックさんがファイルから一枚の紙を取り出し見せてくれた。

どれどれ……ん?あら?

「あの、この採取系の依頼、既に持っているものを提出してもいいですか?改めて取りに行ったほうがいいのでしょうか」


「ん、何か持ってるのかな?出してごらん」


私はマントの中に手を突っ込み、いかにもカバンから出しましたの(てい)で私の作り出した品質保持魔法のかかった〈マジックルーム ナマモノ〉からアレコレ取り出し、机に並べた。


ネネル草20束、ブラックゲンキ草10束、オーロックスのツノ2本、イチジョウベッコウガメの甲羅一枚、生きたマレ蜂の巣一つ。


「「「「…………」」」」


「ララ……状態を確認してくれるかな?えー姫さま、これらは一人で採取されたのですか?」

「うーん、たまにはお兄様と一緒のときもありますが、最近はお忙しいので一人が多いですね」


「姫、ネネル草はどこで取った!」

「姫はやめて!場所は言うわけないでしょう?」

マツタケ取れる場所教えるおばさんいないでしょ?


「オーロックスはどうした?えっと……お嬢より10倍はデカイだろ?」


オーロックスは、たまたま出会ってルーに『ツノが生え変わったらちょうだい』って頼んでもらったんだよね。ツノは硬くて魔法を纏いやすくて飛び道具の素材にバッチリなのだ。手持ちのカステラを一緒に食べたら、ツノの生え変わりシーズンに仲間の分まで持ってきてくれて、カステラ100本上納することになって……マツキとマーサと二晩徹夜したっけ………


私が遠い目をしていると、

「とんでもない死闘だったんだな……」

マットくん、眼を輝かせて私に向かって手を合わせてる。私、死んでません!


「マレ蜂は?」

「おばあさまが欲しがるので見つけたら取っとくようにしてます」

「やはり!今回の依頼もエルザ様のものだ。マレ蜂の蜜は美容にいいと評判じゃからな」

違いまーす!おばあさま……どんだけかんざしに毒仕込むつもりなの………


「ギルド長、どれも鮮度バツグン、最高級品です。買取価格は総額1,548,277ゴールドです。スゴイです!姫さま。凄腕だわ!ここの男たち、繊細な採取系の依頼全然請けおってくれないんです!ほんっとに助かります!はあ、妖精で救世主で強い!うちの新領主サイコー!」


ララさん……性格変わった?新領主言うな!にしても、

「あの……ちょっと買取価格高すぎるのではないですか?100万越えって……」


「お嬢、その値段のほとんどは甲羅だ。貴族の連中でそれを玄関に飾るのが今ステイタスになってるんだ。持ってない貴族がこぞって欲しがってる。お嬢のとこも飾ったらどうだ?てか、そんなデカイのどうやって持ってきた?」


最後の質問はスルーするとして、ん……甲羅は実はルーが私に出会う前、ひっくり返してお風呂に使ってたやつなんだよね……今はうちのお風呂に入るからいらんって言うからとりあえずマジックルームに入れてただけなんだけど……私はルーに確認する。


『えー!イチジョウベッコウガメは爬虫類が好きな臭い出してるからねー、飾るとヘビやらトカゲやらよってくるぞ』

「即、売ります!是非買い取ってください!そして貴族にふっかけてやってください!」


「きゃー!姫さま太っ腹ー!ありがとうございます!S1素材を流通できて、うちのギルドの格がまた上がります!」

「これほど貴重なものを即決とは……」

「ギルドのために、領地のために……既に領主の自覚が……リルフィー……」



「これはもう……皆、よかろうて?」

ジークじいが皆に確認する。

「「「「異議なし!」」」」


「姫さま、条件は満たした。姫さまは今よりB級冒険者じゃ。では早速プレートを刻もうのう」


いきなりのB級プレートゲット……なんで?なんで素直に喜べないの?






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